【事例紹介】京都市の傷害事件で外国人が逮捕されてしまった事例

京都市の傷害事件で外国人が逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警下鴨署は14日、傷害の疑いで、大阪府東大阪市、スリランカ国籍のアルバイトの男(23)を逮捕した。
逮捕容疑は6月19日午後4時ごろ、京都市左京区の路上で、会社員男性(61)=同区=の頭を後ろからウイスキーの空瓶で殴り、頭部に全治10日のけがを負わせた疑い。
(後略)

(9月14日 京都新聞 「「ごみ散らかさないで」注意の男性をウイスキーの瓶で殴る 容疑でスリランカ国籍の男逮捕」より引用)

傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

大まかに言うと、人の身体を傷つけた場合は傷害罪にあたります。
この傷害罪の対象には身体的な傷害だけでなく、精神的な物も含みますので、例えば、相手に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こさせた場合なども、傷害罪が適用されます。

傷害罪は故意犯ですので、傷害罪が成立するためには故意が必要になります。
ですので、相手にけがをさせるつもりはなく、誤ってけがを負わせてしまった場合は、傷害罪は成立しません(ただし、過失傷害罪などの他の犯罪が成立する可能性はあります。)。

今回の事例では、容疑者の男性が被害者の男性の頭を後ろから空の瓶で殴っています。
空の瓶で頭を殴った場合、皮下血腫や裂傷など何かしらのけがを負わせてしまうことは当然考えられますし、何より頭を殴る行為が危険なことは明白でしょう。
そういったことから、容疑者の男性に傷害の故意が認められ傷害罪で逮捕されたのだと考えられます。

傷害事件により、全治10日のけがを負わせてしまった場合どのような量刑が下されるのでしょうか。
茨城県で起きた傷害事件をご紹介します。
(今回の事例と茨城県の事例は事件内容などが異なります。)

茨城県に住む男性2人は共謀して、被害者男性の額に七輪で熱したスプーンを当て、全治10日間のやけどを負わせました。
麻生簡易裁判所は略式手続により、加害者男性それぞれに、罰金20万円と罰金15万円を科しました。
(2020年10月21日 朝日新聞 「市課長2人、職員を羽交い締めにして額に熱したスプーン」より)

今回取り上げた傷害事件の内容は異なりますが、今回の事例と茨城県の事例はどちらも全治10日間の怪我を負わせた傷害事件という点では共通しています。
怪我の程度が同じでも態様が異なるため、一概には言えませんが、今回の事例の容疑者の男性も、罰金刑を受ける可能性があると考えられます(もちろん、前科前歴の有無や被害弁償の有無、態様などによって異なります。)。
刑罰の軽減や不起訴処分の獲得を目指していくのであれば、被害弁償や謝罪などの被害者対応を行うことも考えられますから、早めに弁護士のサポートを受けることがおすすめされます。

また、今回取り上げた事例では、容疑者の男性がスリランカ国籍という外国人の方です。
こうした場合、日本語に慣れておらず、刑事手続や自分の持っている権利について適切に把握できていないおそれも考えられるところです。
日本語に不安がある場合には、通訳人の協力を得た上で弁護士が接見し、アドバイスをすることもできます。
慣れない土地・慣れない言語でさらに慣れない手続に対応しなければいけないという状況では、本人に大きな負担があると考えられますので、逮捕からすぐに弁護士の協力を得ることが望ましいと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、外国人事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
刑事事件のうち、特に逮捕の伴う刑事事件のご相談・ご依頼に早すぎることはありませんから、まずはお気軽にお問い合わせください。

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