【事例紹介】ゴルフクラブを振りかぶり公務執行妨害罪で逮捕

京都府与謝野町で起きた公務執行妨害事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警宮津署は7日、公務執行妨害の疑いで、京都府与謝野町の無職の男(56)を逮捕した。
逮捕容疑は、7日午前9時10分ごろ、町役場加悦庁舎で男性職員に対し、持参したゴルフクラブを振りかぶり、「どついたろか、やったるぞ」などと言い、業務を妨害した疑い。(後略)

(9月7日 京都新聞 「「どついたろか」町役場庁舎でゴルフクラブ振りかぶり 容疑で無職男を逮捕」より引用)

公務執行妨害罪

刑法第95条第1項
公務員が職務を遂行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えた者は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。

職務遂行中の公務員に暴行や脅迫を行った場合は公務執行妨害罪が適用されます。

では、事例の男性の行為が暴行や脅迫にあたるかどうかを考えていきましょう。

公務執行妨害罪で規定されている暴行は、暴行罪で規定される暴行よりも幅広く、暴行罪で規定されているような人を殴る行為はもちろん、公務員の前で証拠品を破壊する行為も暴行に含まれます。
これを踏まえて、今回の事例のようにゴルフクラブを人に向かって振りかぶる行為は暴行にあたるのでしょうか。

過去には、狭い四畳半の室内で被害者を脅かすために日本刀を数回振り回した事件があり、その裁判では、日本刀を振り回す行為は暴行にあたると判断されました。(昭和39年1月28日 最高裁判所

事例と昭和39年の事件では、部屋の狭さや使用している凶器などが異なりますが、事例のようにゴルフクラブを振りかぶる行為が暴行にあたる可能性は十分に考えられます。

次に、ゴルフクラブを振りかぶり、「どついたろか、やったるぞ」と言った行為が脅迫にあたるのかを考えていきましょう。

脅迫を簡単に説明すると、生命、身体、自由、名誉、財産に害を加える旨を告知することをいいます。
脅迫罪が規定する脅迫行為は、本人かその親族に対する告知のみが対象ですが、公務執行妨害罪の規定する脅迫行為は、本人や親族以外への告知であっても公務員の職務が妨害される程度であれば脅迫にあたります。

今回の事例では、男性がゴルフクラブを振りかぶりながら、「どついたろか、やったるぞ」と言っていることから、公務員に対して生命や身体に害を加える旨を告知していると考えられます。
ですので、今回の男性の行為は脅迫行為であるということができます。

先ほど、公務執行妨害罪は、職務遂行中の公務員に対して暴行や脅迫を行うと成立すると説明しました。
男性の行為は間違いなく脅迫行為にあたりますし、暴行行為にもなり得ます。
男性は職務中の町役場の職員=公務員に対して暴行や脅迫を行っていますので、今回の事例では公務執行妨害罪が適用されています。

今回の事例のように、容疑者が暴行・脅迫を加えられた人(今回であれば町役場の職員)などの事件関係者の勤務先が分かっているというケースでは、事件関係者との接触を避けるということも考慮され、逮捕・勾留による身体拘束が行われたうえで捜査されることも多いです。
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