(事例紹介)デリヘル採用の講習を装って準強制性交罪
デリヘル採用のために必要な勤務の講習と信じさせて女性を乱暴し、準強制性交罪の疑いで20代男性が逮捕されたケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
~ケース~
京都府警中京署は14日、準強制性交の疑いで、京都市右京区のコンビニアルバイト店員の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は3月22日午後9~10時ごろ、中京区のビジネスホテルで、自分がデリバリーヘルス(派遣型風俗店)の経営者であるように装い、採用のために必要な勤務の講習と信じさせ、大阪市の無職女性(46)を乱暴した疑い。
(4月14日 京都新聞 「「デリヘル採用の講習」装い女性に乱暴 準強制性交容疑で27歳男を逮捕」より引用)
~準強制性交等罪が成立するケース~
準強制性交等罪とは、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をする犯罪です(刑法第178条2項)。
準強制性交等罪において心神喪失・抗拒不能と認定されうる状況として、被害者が睡眠している場合、酩酊している場合、高度の精神遅滞が認められる場合の他、性交等自体は認識できたとしても、錯誤により自由意思に従って行動する能力を失っている場合が挙げられます。
過去の裁判例では、モデル希望の女子学生に対して、モデルになるために必要であると称し、全裸にさせて写真撮影をしたり、陰部等を撫でまわしたケース(東京高等裁判所昭和56年1月27日判決)、英語の個人レッスン生である女子高生に対し、英語上達につながるリラックス法であるとしてわいせつな行為に及んだケース(東京高等裁判所平成15年9月29日判決)につき、「心理的に抗拒不能の状態」にあったと認定されています(当時は刑法改正前であったため、旧準強姦罪としての判断です。)。
今回の事例でも、これらの裁判例同様に、「デリヘル採用の講習で必要だ」と思いこませて性交等をした=被害者を「心理的に抗拒不能の状態」にして性交等をした=準強制性交等罪にあたると判断されたのでしょう。
何らかの目的のために性交等が必要であると誤信させ、性交等を行い、準強制性交等罪として検挙されるケースは少なくありません。
準強制性交等罪は軽い犯罪ではありません(5年以上20年以下の懲役)から、準強制性交等罪の嫌疑をかけられた場合には、すぐに弁護士と相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
準強制性交等事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。