児童ポルノ所持事件と略式手続
児童ポルノ所持事件と略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
~事例~
京都府福知山市に住んでいるAさんは、海外の動画サイトから16歳の女子学生が性交する動画1本と衣服を一切に身に着けていない女子学生の画像1点をダウンロードして保存していました。
これらの動画は、Aさんが個人で見るために、Aさんのパソコンで保管していました。
しかし、ある日、Aさんの自宅に京都府福知山警察署の警察官が来て、児童ポルノ所持による児童ポルノ禁止法違反の疑いで家宅捜査を受けました。
Aさんは京都府福知山警察署で取調べを受けることになり、その後も何回か取調べに呼ばれると伝えられました。
その中で、自分の刑事事件について略式手続が取られるかもしれないと耳にしたAさんは、詳しい話を聞いてみたいと弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・児童ポルノ所持事件
児童ポルノの所持の禁止は、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」という法律(以下、児童ポルノ禁止法)で定められた犯罪行為です。
児童ポルノ禁止法では、以下の条文で児童ポルノの所持を禁止しています。
児童ポルノ禁止法第7条第1項
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
自己の性的好奇心を満たす目的で、第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
児童ポルノ禁止法において、児童ポルノの単純所持は、たとえその所持の目的が自身の性的欲求を満たすためであっても禁止されています。
児童ポルノの単純所持の場合は、児童ポルノの販売目的の所持の場合に比べて法的刑は軽くなっています。
これは、販売目的で児童ポルノを持っていたのであれば、児童ポルノがさらに広がるおそれがありますが、単純所持であればその可能性は低いことから、性的虐待の程度が小さいと判断されるためです。
本件の場合には、Aさんは児童ポルノの単純所持に当たり、かつ所持している児童ポルノは計2点と少ないため、罰金刑も考えられる事案です。
・略式手続
では、Aさんが受けるかもしれないと言われた略式手続とは、どういった手続きなのでしょうか。
一般に略式手続と呼ばれる手続きは、刑事訴訟法第461条から第470条にかけて定められている刑事裁判の手続です。
略式手続の特徴は、簡易に迅速に裁判が行われるため、迅速な裁判が行われる点です。
この略式手続をするためには、
1 簡易裁判所の管轄に属する事件であること
2 100万円以下の罰金、科料などを科すことができる事件であること
3 被疑者が略式手続を行うことに異議がないこと
が必要になります。
以上の要件を満たす場合に、検察官が簡易裁判所に対して書面で公訴を提起することによって行われることができます(刑事訴訟法第462条第1項)。
また、略式手続の日数ですが、略式手続の請求を受けた裁判所は、略式命令が可能かつ略式命令が相当と判断した場合には略式手続の請求を受けた日から14日以内に判断することになっています(刑事訴訟法規則第290条第1項)。
そのため約2週間という速さで罰金などの判断が出ることになります。
また、略式判決に不服がある場合には、公判を請求することもできます(刑事訴訟法第465条)。
今回の事案についてみると、児童ポルノの単純所持の量刑は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
そのため、Aさんが同意すれば、管轄の簡易裁判所に公訴を提起することによって略式手続となる可能性も考えられるでしょう。
ただ、実際にAさんの立場になった場合、どうするべきかよくわからないと思う人も多いでしょう。
その場合には、刑事事件に強い弁護士に相談しながら決めることをおすすめいたします。
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