不法就労の助長について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
京都府警組対1課と下鴨署などは11日、入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで、京都市左京区の建設会社社長(56)を逮捕した。
(1月11日 京都新聞 「ベトナム人3人を工事現場で働かせた建設会社社長を逮捕 入管難民法違反の疑い」より引用)
逮捕容疑は、(中略)通訳などの専門職対象の在留資格で入国した28~38歳のベトナム人の男3人=いずれも同法違反罪で起訴=を、京都市の工事現場で建設作業に従事させた疑い。
(後略)
不法就労の助長
不法就労を行った場合は、不法就労を行った本人はもちろんのこと、不法就労を行わせた(不法就労の助長をした)人も罪に問われることがあります。
入管難民法では、不法就労をさせることを禁止しています。
ですので、不法就労の助長を行った場合には入管難民法違反になります。
また、会社側が不法就労であることを知らなかった場合であっても、入管難民法違反の罪に問われてしまいます。
しかし、知らなかったことについて過失がなかった場合には刑事罰が科されることはありません。(入管難民法第73条の2第2項)
今回の事例では男性3人が不法就労を行ったとされています。
従業員が不法就労を行っていた場合には会社側にも責任が問われますので、社長である今回の事例の容疑者も入管難民法違反に問われることになります。
実際に容疑者の会社で不法就労が行われており、容疑者が、不法就労について知らなかったことについて過失があった場合や知っていた場合には、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはその両方が科されることになります。(入管難民法第73条の2第1項第1号)
不法就労の助長により有罪になった場合
実際に、不法就労の助長の容疑により入管難民法違反で有罪になった場合にはどのような量刑が科されるのでしょうか。
例えば、失踪中の技能実習生らに在留資格外の仕事をさせていた事件では、入管難民法違反の罪で容疑者の会社員男性に罰金100万円の略式命令が出されています。
(2022年7月20日 神戸新聞 「ベトナム人技能実習生に不法就労させる 男に罰金100万円 神戸簡裁」より)
ご紹介した事例は今回の事例と異なる部分があるかとは思いますが、今回の京都の事例もご紹介した事例と同様に高額の罰金が科されるかもしれませんし、さらに重い懲役刑が科される可能性もあります。
刑事事件といえば裁判によって有罪、無罪の判決が下されることをイメージされる方も多いのではないでしょうか。
実は刑事事件だからといって必ずしも裁判が行われるわけではありません。
裁判は、検察官が起訴の判断を下した場合に行われます。
検察官が行う判断には起訴以外にも、先ほどご紹介した事例にも出てきた略式命令や不起訴処分があります。
略式命令や不起訴処分の判断が下された場合には、起訴された場合に比べて短期間で事件が終了するといったメリットがあります。
また、略式命令により科される刑事罰は科料か罰金に限られます。
加えて、不起訴処分になった際には、刑事罰が科されることはありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に強い法律事務所です。
経験豊富な弁護士による検察官への処分交渉やアドバイスなどにより、不起訴処分の獲得や刑罰の減軽を目指せるかもしれません。
ご家族やご友人が不法就労や不法就労の助長など入管難民法違反で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の初回接見サービスをご利用ください。