【事例紹介】改正後京都初、不同意性交等致傷罪で逮捕された事例

不同意性交等致傷罪の容疑で、京都府で初めて逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警宇治署は14日、不同意性交致傷の疑いで、京都府宇治市、飲食業の男(41)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)、京都府内に住む20代女性の自宅で両腕をつかむなどして性的暴行を加え、けがを負わせた疑い。容疑を認めているという。
(後略)

(7月15日 京都新聞 「知人女性に性的暴行、「不同意性交致傷」疑い男逮捕 京都府内で法改正後初」より引用)

不同意性交等罪

第176条1項(不同意わいせつ罪)※一部条文を省略しています。
1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法第177条(不同意性交等罪)
1項 前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3項 16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。

不同意性交等罪という罪名に聞き覚えの無い方も多いのではないでしょうか。
7月13日の刑法改正により、強制性交等罪不同意性交等罪に変更されました。
名称が変わったことに加え、犯罪の構成要件や処罰範囲が変更になっています 

主な変更点は、
・陰茎以外の挿入(口以外)でも適用されること
・相手が13歳以上であっても16歳未満の場合は、5歳以上の年の差がなければ、同意があったとしても罪に問われること
・暴行や脅迫、アルコール等による心神喪失以外にも、社会的地位を利用して拒絶することを困難にする行為や拒絶する時間を与えない行為なども不同意性交等罪の構成要件にあたること
・婚姻関係の有無は関係ないこと
・誤信や人違いを利用する行為も対象となること

です。*詳しくは、こちらをご覧ください。

今回の事例では、容疑者が女性の両腕をつかむなどして性的暴行を加えたとされています。
両腕をつかむ行為は暴行にあたります。
刑法176条1項1号、177条1項にあるように、暴行により性行為等同意しない意思表示をすることを困難な状態にさせて、性行為等を行うと不同意性交等罪が成立します。
女性が男性に両腕をつかまれた状態では、相手の行為を拒むことは、一般的には難しいでしょうから、容疑者がどういった性的暴行を行ったのかは報道からではわかりませんが、実際に容疑者が性交等にあたる行為をしたのであれば、不同意性交等罪が成立する可能性が高いです。

不同意性交等致傷罪

不同意性交等致傷罪は簡単に説明すると、不同意性交等罪に当たる行為をした際に、相手にけがを負わせると成立します。
不同意性交等致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役(刑法第181条2項)ですので、不同意性交等罪5年以上の有期拘禁刑に比べて重く規定されていることがわかります。

今回の事例では、容疑者が性的暴行を加えて、けがをさせたと報道されていますので、容疑者の行為が不同意性交等罪の構成要件に該当し、その行為の伴って被害者が負傷したのであれば、不同意性交等致傷罪が成立してしまう可能性が高いです。

不同意性交等罪と示談

不同意性交等罪不同意性交等致傷罪は、改正前の強制性交等罪強制性交等致傷罪に比べて、適用される行為が幅広くなりました。
ですので、今までは罪に問われなかった行為であっても、不同意性交等罪不同意性交等致傷罪が成立してしまう可能性があります。

不同意性交等罪不同意性交等致傷罪は、被害者と示談を締結することで不起訴処分を得られる可能性があります。

原則、示談は被害者本人と締結するため、被害者とやり取りを行う必要があります。
今回の事例では、被害者宅で行為に及んでいることから、おそらく被害者と容疑者は知り合いなのでしょう。
知り合いだからといって、加害者が被害者に直接連絡を取ってしまうと、証拠隠滅を疑われる可能性があります。
また、恐怖心などから加害者本人と話をしたくないと思う被害者もいますので、加害者が被害者に直接連絡をしたとしても、示談交渉を行えない場合があります。
弁護士が間に入って連絡を取ることで、そのような事態を避けれる場合がありますので、示談を考えている方は、一度、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、数々の性犯罪による事件を解決に導いてきました。
不同意性交等罪不同意性交等致傷罪、その他性犯罪による刑事事件でお困りの方は、土日祝日対応可能弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら