背任と詐欺・横領・窃盗①

2019-02-28

背任と詐欺・横領・窃盗①

京都市下京区の会社で働くAさんは会社で経理を担当していました。
経理の仕事で銀行から1000万円を融資してもらうことが必要になり、Aさんがその担当となりました。
しかし、Aさんは銀行との交渉の中で会社からの指示に背いて1200万円を銀行から融資してもらい200万円を自分のために使おうとしました。
このことが会社に発覚し、刑事責任を問われ、京都府下京警察署に逮捕されることを心配したAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです)

【背任罪】

今回のAさんの行動はまずは背任罪に当たるおそれがあります。
背任罪とは、他人のためにその事務を処理する者が自己の利益を図る等の目的を持って任務に背いた行為をして、他人に対して財産上の損害を与えることに対して適用されます。
背任罪の法定刑は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

背任罪の主体は他人のために事務を処理する者です。
ここにおいては、他人のために事務をするようになった過程・経緯は問われません。
法律や契約はもちろん、慣習によって事務を任されているような場合にも背任罪の主体となります。

背任罪の実行行為は任務違背行為、すなわち任せられた事務ついて誠実な事務処理者としてなすべきものと期待されているところに反する行為です。
背任罪のいう任務が何であったかは、任せられていた事務の内容によって決まります。
背任罪における財産上の損害は既存の財産が減少することだけではなく、財産の増加の妨害といった消極的なものも含まれます。
金銭で言えば、元本が既存の利益であり、利息が将来の財産の増加となりますがそのどちらも失われれば財産上の損害と認められます。

ただし、ただ単純に財産上の損害を与えるだけでは背任罪は成立しません。
その行為に①自己の利益を図る目的、②第三者の利益を図る目的、③事務を任せた本人に損害を与える目的のいずれかが必要です。
本人のことを考え、本人に経済的に利益を与えるつもりだったが結果として失敗し、損害を与えてしまった場合等は①②の目的もない上に③に該当せず、背任罪が成立しない余地もあります。

また、不良貸し付け等が問題となったときにはそれがどのような目的でなされたのかにより背任罪の成否が決まります。
貸し付け業務を行う自己のメンツを保つためであれば①に該当し、貸し付け先に便宜を図ろうとしたのであれば②に該当します。
その結果、背任罪が成立することになります。
しかし、その一方、貸し付けを行うことで本人の経済状態が良好であることをアピールしようとしたなどの事情であれば①②③に該当せず、背任罪が成立しない余地があります。

このように場合によってはある行為がどのような目的でなされたのかが背任罪の成否に影響を与えることがあります。
ただし、近年は委託者のためであっても、違法行為のように委託者本人でもおよそできない行為であれば、本人のためであるという目的が否定され、背任罪が成立する傾向にあります。

今回の事例を見てみましょう。
Aさんは会社で経理を任されており、1000万円の融資を得なければいけないところ、融資を自分が利用する目的で権限を超えて過剰に融資を受け、会社に200万円とその利息分の財産上の損害を会社に与えています。
このような点を考慮するとAさんの行為に対し背任罪が成立する可能性が高いでしょう。

背任事件では、背任罪が成立するか否か、関係はどうなっているのか等、検討すべき事情が多く、さらにそれらは非常に複雑です。
だからこそ、背任事件となってしまった、背任事件となりそうだとなったら、弁護士のサポートを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門弁護士が、背任事件にお困りの方のフルサポートを行います。
まずはご相談予約から、0120-631-881までお電話ください。
次回は、Aさんに他の犯罪は成立しうるのか、というところに焦点を当てます。