エステのクーリングオフに関わる特商法違反事件②

2020-01-23

エステのクーリングオフに関わる特商法違反事件②

エステクーリングオフに関わる特商法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府八幡市で個人経営のエステ店を経営しています。
ある日、Aさんは、自身のエステに来店した客Vさんに対し、10万円で半年間エステに20回通える長期コースを勧めました。
その際、AさんはVさんに対し、あえてクーリングオフの説明をせず、案内をしていました。
その後、VさんはAさんに勧められたエステの長期コースを契約し、帰宅しました。
しかし、帰宅したVさんが家族にエステのことを話したところ、クーリングオフの話題となりました。
Vさんがクーリングオフの話をされていないことを話すと、Vさんの家族がおかしいと気づき、京都府八幡警察署に相談。
その結果、Aさんは特商法違反の容疑で京都府八幡警察署に話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・エステの長期コースは特商法の対象?

前回の記事では、特商法の対象となる「特定商取引」の1つ「特定継続的役務提供に係る商取引」は、サービスの提供をしている事業者が「政令」で決められた基準より長い期間にわたって「特定継続的役務」にあたるサービスを提供する内容であり消費者がその内容に応じて「政令」で決められた基準よりも多い料金を支払う契約(1項)や、サービスの販売業者が「政令」で決められた基準より長い期間にわたって「特定継続的役務」にあたるサービスを受けられる内容のものを消費者に「政令」で決められた基準よりも多い料金によって販売する契約(2項)であるということを取り上げました。
では、その「特定継続的役務」にあたるサービスはどういったサービスなのかというと、前回取り上げた特商法の条文の次の項に規定があります。

特商法41条2項
この章並びに第58条の22第1項第1号及び第67条第1項において「特定継続的役務」とは、国民の日常生活に係る取引において有償で継続的に提供される役務であつて、次の各号のいずれにも該当するものとして、政令で定めるものをいう。
1号 役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもつて誘引が行われるもの
2号 役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの

各号のいずれにも該当するもの」とされていることから、この特商法の条文の1号にも2号にも該当するとして「政令」で定められているものが特商法のいう「特定継続的役務」というサービスになるのです。
今回の事例のようなエステの長期コースはこの「特定継続的役務」に当てはまるサービスなのでしょうか。

ここで、今まで見てきた特商法の条文の中に出てくる「政令」とは、特商法施行令のことを指しています。
その特商法施行令を確認してみると、「特定継続的役務」とされるサービスの中には、「1 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと(2の項に掲げるものを除く。)。」や「2 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであつて、主務省令で定める方法によるものに限る。)。」が含まれています(特商法施行令12条、別表第4)。
これらは、まさにエステのサービスの内容と言えるでしょう。
エステのサービスは、先ほど確認した特商法41条2項の「役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもつて誘引が行われるもの」でもあり、「役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの」でもありますから、これを継続的に行う有償サービスであるエステの長期コースは「特定継続的役務」であると考えられるのです。

ということは、今回のAさんのエステの長期コースが特商法の適用対象である「特定継続的役務提供に係る取引」かどうかは、あとは「政令」の定めた基準より長い期間・高い料金かどうかによるということになります。
特商法施行令では、先ほど挙げた「1 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと(2の項に掲げるものを除く。)。」や「2 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであつて、主務省令で定める方法によるものに限る。)。」とするサービスについて、基準の期間を「1月」、基準の料金を「5万円」としています(特商法施行令11条1項・2項、別表第4)。
つまり、半年間の契約=1月より長い期間で、10万円=5万円より高い料金のAさんのエステの長期コースは、特商法の対象となる「特定継続的役務提供に係る取引」であるといえるのです。

では、特商法で「特定継続的役務提供に係る取引」のクーリングオフはどのように規定されているのでしょうか。
次回の記事で詳しく取り上げていきます。

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