知人をロリコン性犯罪者などと中傷した疑いで大学生を逮捕

知人をロリコン性犯罪者などと中傷した疑いで大学生を逮捕

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知人をロリコン性犯罪者などと中傷した疑いで大学生が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例解説

京都府下鴨警察署は、京都市内に住む大学4年生の男Aを、名誉毀損罪の疑いで逮捕した。
Aは、自分が最終面接で落ちた第一希望の会社Cに、同じサークルに所属するVが自分は内定をもらったと自慢された挙句、「俺は第一希望じゃないからAに分けてあげたいわ笑」と言われたことに腹を立て、SNS上で、「VがC社に内定もらったらしい。そいつロリコン性犯罪者ですよ」「Vみたいなロリコン性犯罪者を採用するとか見る目ないな」などと投稿した。
Aの投稿に、サークルのメンバー伝えにVが気づき、被害届を提出したところ、Aは京都府下鴨警察署に逮捕された。
取調べに対しAは、「あいつはサークルの合宿で小学生と付き合いたいと言っていた。だからロリコンだし性犯罪者予備軍だから本当のことを言っただけ」などと供述している。
(フィクションです)

名誉毀損罪とは

刑法230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

本件で、Aは、SNS上でVをロリコン性犯罪者などと中傷する投稿をしたようですが、このAの行為は、「公然と」「事実を摘示して」人の名誉を棄損したといえるのでしょうか?

まず、「公然と」とは、摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいいます(最判昭和36年10月13日)。
不特定とは、相手方が限定されていないという意味です。
多数人とは、社会一般に知れわたる程度の人数という意味であり相当の多数であることを必要とします。
本件では、Aは、SNS上で、Vがロリコン性犯罪者と中傷する投稿をしたようです。
SNSに投稿された内容は、だれでも見ることができますから、Aによって摘示されたVがロリコン性犯罪者だと中傷する投稿は、不特定の人が認識しうる状態にあったといえますから、「公然と」人の名誉を棄損したといえそうです。

次に、「事実を摘示」したといえるかも問題となります。
ここでの事実とは、事実証明の対象となりうる程度に具体的であり、かつ、それ自体として人の社会的評価を低下させるような事実をいいます。
Aの「Vはロリコン性犯罪者」とする投稿は、真実かどうか証明の対象となりうる程度に具体的です。
加えて、ロリコンで性犯罪者であるといわれると、Vは常人には理解し難い特殊な性癖の持ち主であり、あまり関わってはいけない人物だと思われて社会的評価が低下する可能性があります。

以上より、Aは、公然と事実を摘示して人の名誉を棄損したとして、名誉棄損罪が成立する可能性があります。

条文にも書いてある通り、ここでの事実とは、真実と虚偽のどちらも含まれます。
したがって、仮にBが本当にロリコンで性犯罪者であったとしても名誉棄損罪の成立は妨げられません。

なお、条文の規定上、名誉棄損罪の成立には、現実にVの名誉が棄損されたことが必要であるかのように思えます。
しかし、被害者の名誉が現実に棄損されたかどうかの判断は非常に困難ですから、判例によれば被害者の名誉が現実に侵害される必要はありません(大判昭和13年2月28日)。

できるだけ早く弁護士に相談を

名誉棄損罪親告罪、すなわち検察官が起訴するために被害者などの告訴が必要な犯罪です(刑法232条)。
名誉棄損罪親告罪とされるのは、起訴されることで、かえって被害者の名誉を侵害する恐れがあるためです。

したがって、名誉毀損罪を犯してしまった場合には、被害者に対して真摯に謝罪をし、必要な示談金を支払うことを約束した上で、告訴をしない旨を約束してもらう形で示談を成立させることが重要となります。

本件Vは、SNS上でAからロリコン性犯罪者と罵られ、内定先の企業等に悪いイメージを持たれてしまう可能性などの被害を受けていますから、Aに対して強い処罰感情を有しており、Aが直接謝罪しようとしても取り合ってくれない可能性があります。
そこで、示談交渉のプロである弁護士に示談交渉をお任せすることをおすすめします。
加害者からの示談交渉を拒絶する被害者であっても、弁護士相手であれば交渉に応じてくれることは珍しくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、名誉毀損事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行い、告訴を取り下げてもらうことで不起訴処分を得ることができる可能性があります。
一度起訴されてしまうと、告訴を取り下げることはできません。
ですので、可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

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