肩がぶつかった男性への傷害致死の疑いで男を逮捕

肩がぶつかった男性への傷害罪の疑いで逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。
事例
京都府綾部署によりますと昨年(2024年)5月20日、京都府綾部市内で面識のない大学生の男(21)と会社員の男性(45)が道ですれ違った際、肩がぶつかったことで口論になり、男は男性に対し殴る蹴るの暴行をし、男性は頭を殴られた際打ちどころが悪く意識不明の状態が続いていましたが、その後死亡しました。
男はかけつけた警察官により現行犯逮捕されました。
会社員は意識がない状態で病院に運ばれましたが、意識を回復することなく一週間後に死亡したということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
結果的加重犯とは?
結果的加重犯とは犯罪行為をした際、予想していたより重い結果が生じてしまった場合、その重い結果について罪を問われることを言います。
例として強盗致傷罪があります。
コンビニに強盗に押し入った場合、刃物をつきつけ店員に怪我を負わせない「暴行」「脅迫」によってお金を奪取する(強盗罪)つもりが、店員に抵抗されたため怪我をさせ「傷害」を負わせてしまった場合は、強盗致傷罪になります。
強盗罪の刑罰は「5年以上の有期懲役」(刑法第236条1項)になりますが、強盗致傷罪では「無期または六年以上の懲役」(刑法第240条)とより重くなっています。
では予想できなかった場合でもより重い罪に問えることができるのでしょうか。
判例によれば、基本の犯罪と故意の範囲を越えた重大な結果との因果関係の存在を必要とするにとどまり、予見可能性は不要とされています。
強盗をもくろんでの犯罪の結果として致傷が生じた場合、刃物をつけつけた結果、相手が刃物に当たり怪我を負ったわけですから、そこに強盗と致傷との因果関係は認められるので、強盗傷害罪が該当することになります。
今回の事例では、相手に暴行を加えた結果怪我を負わせており、傷害罪が成立します。
ですが、怪我を負わせた行為と打ち所が悪く男性が死亡してしまった結果には因果関係があり、結果的加重犯である傷害致死罪が適用され、傷害罪よりもより重い刑が科されることとなります。
傷害罪(刑法第204条)の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですが、傷害致死罪(刑法第205条)は「3年以上の有期懲役」となっています。
つまり傷害罪は1カ月~15年の懲役又は50万円以下の罰金、傷害致死罪は3年~20年の懲役であり、傷害致死罪は傷害罪よりも重い罰則が規定されております。
なお、最初から殺意をもって暴行を加えていた場合は殺人罪(刑法第199条:死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)が該当することになるでしょう。
傷害致傷罪をおこしてしまったら
結果的加重犯は自分が予想していた以上の重い犯罪に該当するため、減刑や執行猶予を目指したいのであれば、法律に詳しい弁護士にいち早く依頼するのが大事になってきます。
また検察からの請求、裁判所の決定によっては最大20日間、留置所や拘置所に勾留される可能性があり、休業・休学により大きく社会生活に影響がでてくるでしょう。
一日でも早く釈放されるためには、弁護士によって「証拠隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」があると疑うに足りる相当な理由がないと裁判所が判断するよう、働きかけることが大事になります。
また被害者との示談交渉をすすめてもらうことにより、減刑や執行猶予の可能性もみえてくるでしょう。
刑事弁護のご相談は
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