選挙ポスターに落書きをしたとして公職選挙法違反で逮捕
選挙ポスターに落書きしたとして逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。
事例
京都府宇治警察署は令和6年6月10日深夜、選挙ポスターにマジックで落書きをしたとして、宇治市内に住む大学生の男(20)を逮捕しました。
同署によると、男はふざけ半分で掲示板に貼付されていた選挙ポスターに落書きをしたということです。
後日、被害の連絡を受けた選挙管理委員会から同署に通報があり、防犯カメラや目撃情報などから男を特定し逮捕したとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
落書きは何罪に該当する?
落書きはその対象物によって該当する罪名が異なります。
公用文書、私用文書、建造物や艦船などを除いた「他人の物」(他人の土地や動物も対象になります)を「損壊」又は「傷害」する行為でしたら器物損壊罪(刑法第261条)になります。
また「他人の建造物又は艦船」を「損壊」する行為は建造物等損壊罪(刑法第260条)に該当します。
他にも、国の重要文化財への落書きなどは文化財保護法違反(第195条)に該当することになります。
もしも、東京都渋谷区内で公共の場所などに落書きをしたのであれば、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」(第11条3項)に違反することになり、罰金が科せられる可能性があります(同法第22条1項)。
このように、落書きは各自治体が制定する条例に違反してしまうケースもあります。
今回の事案は選挙ポスターの落書きになりますので、以下のように公職選挙法に規定されている選挙の自由妨害罪(第225条2号)に該当することになるでしょう。
公職選挙法第225条(1、3号省略)
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
2号 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。
公職選挙法では、選挙に係る「文書図画を毀棄」することを禁止しています。
「毀棄」とは物の効用を減失・減少させることです。
選挙ポスターは候補者が自分の名前・顔・主張・イメージなどを投票者に広く認識してもらうことが目的です。
そのため落書きをすることによって、名前・顔・主張が分からなくなる、イメージが悪くなるなど本来のポスターの効用を減失・減少させてしまうことになります。
選挙ポスターに落書きをする行為は公職選挙法が規定する「文書図画を毀棄」することに該当し、公職選挙法違反が成立すると考えられます。
公職選挙法違反で逮捕されてしまったら弁護士へ
今回の事例のように、選挙ポスターへの落書きはふざけて行われる場合がございます。
しかし、選挙ポスターへの落書きは公職選挙法違反に該当する犯罪になり、警察の捜査により特定されると逮捕される可能性は十分にあります。
逮捕後も身柄が拘束された場合、仕事や学業に支障をきたすことがあるでしょう、
また、選挙ポスターへの落書きによる公職選挙法違反は刑罰として「四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金」と定められており、たとえ罰金でも前科がつくことに変わりはないです。
職場や学業に復帰するために早く釈放してほしい、前科を避けるため不起訴処分を獲得したい、起訴された場合は量刑を少しでも軽くしてほしい、といった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをおすすめします。
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