閉店作業中の美容室で店員にナイフを突きつけて現金を奪った男を逮捕

閉店作業中の美容室で店員にナイフを突きつけて現金を奪った男を逮捕

財産犯

閉店作業中の美容室で店員にナイフを突きつけて現金を奪った男が逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府南警察署は、京都市内に住む無職の男性(36)を逮捕した。
男は、京都市南区にある美容室に営業時間後に侵入し、レジ締め作業をしていた女性スタッフに対し所持していたナイフを突きつけて「レジの金を全てよこせ。出さないとナイフで刺すぞ」と脅し、恐怖で抵抗できない女性スタッフからレジの金を奪い取ったとして、強盗罪の疑いで逮捕された。
(フィクションです)

強盗罪とは

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

本件で、男は、ナイフを美容室の店員に突きつけてお金を無理矢理奪ったとして、強盗罪の疑いで逮捕されています。
このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが発生しやすいと言えますから、強盗罪は、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪に当たる行為が、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有するため、法定刑は5年以上の有期懲役となっています。

手段としての「暴行又は脅迫」

強盗罪を規定する刑法236条によると、強盗罪「暴行または脅迫」を手段とする犯罪です。
このように犯罪の手段として「暴行または脅迫」が用いられたことを要する犯罪は、強盗罪以外にも恐喝罪などがありますが、各犯罪によって、「暴行」「脅迫」の意味内容は異なると解されています。

強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されます。
その中でも特に暴行又は脅迫の態様が重視されます。
例えば、加害者が殺傷能力の高い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。

本件の容疑者は、営業終了後の美容室にのレジに入っていたその日の売上金(財物)を手に入れようとして、レジ締め作業をしていた女性スタッフにナイフを突きつけたようです。
本件において、容疑者は男性である一方で、被害者は女性です。
一般に、女性の方が男性より力は弱い上に、容疑者はナイフという殺傷能力の高い凶器を突きつけていますから、被害者の女性スタッフが男に対して抵抗すること難しいと言えるでしょう。
したがって、男が女性スタッフにナイフを突きつけた行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行に当たると言えそうです。

加えて、男は女性スタッフに対し、レジ金をよこさないとナイフで刺すぞと脅しています。
ナイフで刺すというのは、身体に対する害悪の告知です。
本件状況のもとで、女性スタッフが男に反抗するのは非常に難しいでしょうから、この行為は強盗罪における脅迫にあたりそうです。

したがって、男は、暴行と脅迫を手段として、その日の美容室の売上金(財物)を奪ったとして、強盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

本件では執行猶予がつかない可能性があります。
というのは、執行猶予がつくためには懲役刑の場合は下される量刑が3年以下である必要があるのに対し、強盗罪の量刑は5年以上の有期懲役となっているからです。
執行猶予がつかない場合、刑務所に服役することになり今まで通りの社会生活を送ることはできなくなります。
会社にお勤めの場合には、解雇される可能性が高いでしょう。
ただし、強盗罪を犯した場合であっても、被害者に真摯に謝罪して示談が成立していれば、刑の減軽がされて、3年以下の懲役が下され、執行猶予がつく可能性があります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となります。

もっとも、加害者本人が示談交渉を直接行うことはおすすめできません。
というのは、本件のように従業員に対しナイフを突きつけ、大切な売上金を奪い取った加害者に対し、被害者側は強い処罰感情を有しているでしょうし、そのような加害者と直接連絡をとることに恐怖を感じるのが通常だからです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめいたします。
加害者からの連絡を断固拒絶している被害者も、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

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