全国チェーンのカフェの雇われ店長が水増し請求して背任罪の容疑で逮捕

全国チェーンのカフェの雇われ店長が水増し請求して背任罪の容疑で逮捕

手錠とガベル

全国チェーンのカフェの雇われ店長が、水増し請求したとして背任罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府東山警察署は、全国展開するカフェ「Coffee Heaven」の京都店の店長Aを背任罪の疑いで逮捕しました。
Aは、Coffee Heaven京都店の雇われ店長として、店舗で使用するコーヒー豆やミルク、紙コップなどの消耗品の購入をオーナーVから一任されていました。
Aは、マイホームのローン返済に窮しており、友人が経営する「Beverage Supplies社」Cと共謀して、水増し請求を行うことにしました。
通常、京都店の規模であれば、毎月の消耗品代は20万円程度ですが、AはCに指示し、毎月50万円を請求させ、その差額をAとCで折半することにしました。
事件は、Coffee Havenグループの経理担当者が異常な経費の増加に気付き、内部調査を行ったことから発覚しました。
警察の取り調べに対し、Aは「ローンを返済に追われて手元に貯金がなくこのままではまずいと思い、水増し請求を思いついた。」と容疑を認めています。
(フィクションです)

背任罪とは?

刑法第247条が規定する背任罪は、他人のためにその事務を処理する者(①)が、自己もしくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的(②)で、その任務に背く行為(③)をし、本人に財産上の損害を加える(④)犯罪です。

背任罪の主体は、「他人のためにその事務を処理する者(①)」です。
Aは、全国展開するカフェ「Coffee Heaven」の京都店の雇われ店長として、京都店の消耗品の購入をオーナーから任されていたようです。
したがって、Aは、背任罪が規定する、「他人のためにその事務を処理する者(①)」に当たる可能性があります。

また、背任罪が成立するためには、図利・加害目的すなわち「自己もしくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的(②)」が必要です。
ここでの「本人」とは背任行為の行為者に事務処理を委託した者を言います。
本件では、グループ展開しているカフェのオーナーVが、京都店の店長であるAに、消耗品等の購入を任せていたようですので、オーナーVが「本人」に当たります。
そしてAは、「本人」であるオーナーVに支払わせた水増し請求分を、知人と山分けしていたようです。
したがって、自己と知人(第三者)の利益を図ったとして図利・加害目的があった(②)と評価されそうです。

次に、背任行為すなわち「任務に背く行為(③)」背任罪の成立に必要です。
背任行為とは、事務処理者として当該事情の下で信義則上当然行うべく期待される行為をしなかったことをいいます。
例えば、大審院の判決では、質物(ブランドバックなどの質入れされたモノ)の保管者が信任関係に違背し、質物を債務者に返還したことで財産上の損害を与えた行為が、背任行為に当たると判断されました(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
そのほかにも、信任関係の違背の例としては、他人から保管を任されていた物を壊す行為などがこれに当たります。

本件では、京都店の雇われ店長であるAは、紙コップなどの消耗品を適正価格で購入することをオーナーから任されていたにもかかわらず、それに反して、自身の友人の経営するBeverage Supplies社に水増し請求させ、過大な代金をCoffee Heaven社(V)に支払わせていたようなので、背任行為があったと言えそうです(③)。

最後に、「本人に財産上の損害を加えたこと(④)」も必要となります。
本件では、本人すなわちCoffee Heavenのオーナーは、水増し請求により適正価格よりも毎月30万円分多く支払っているので、Aは本人に財産上の損害を与えたと言えそうです(④)。
以上より、本件では背任罪が成立する可能性が高いと言えそうです。

なるべく早く弁護士に相談を

背任罪を犯してしまった場合には、早期に被害者との間で示談を成立させることができるかどうかが重要となりますから、示談交渉のプロである弁護士に相談されることをお勧めします。
仮に早期に示談がまとまれば、不起訴処分が得られたり、量刑が軽くなる可能性があります。

本件のAが、Coffee Heaven京都店の店長として、オーナーから信用されていたにもかかわらず、それを裏切って毎月30万円の損害を生じさせたように、背任罪の加害者は被害者からの信頼を裏切って損害を与えています。
したがって、通常加害者は被害者に対して強い処罰感情を有していることが多く、加害者自ら示談交渉に乗り出しても対応してもらえない可能性が高いです。
このような場合であっても、弁護士相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありませんので、弁護士に一度相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
加害者自らではなく交渉のプロである弁護士が、示談交渉を行うことで不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付き判決を得ることができる可能性があります。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は0120-631-881にて受け付けております。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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