「校則破ってバイトしてるのバラすぞ」高校生を恐喝した疑いで大学生を逮捕
「校則破ってバイトしてるのバラすぞ」などと言って高校生を恐喝した疑いで大学生が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府宇治警察署は、京都市内の大学に通う大学生Aを恐喝の疑いで逮捕した。
Aは、京都府宇治市内の抹茶専門店に抹茶パフェを食べに行ったところ、友人の弟である高校生Vが働いているのを見かけた。
Vの高校は、校則でバイトが禁止されていることを知っていたAは、Vに声をかけ「高校バイトダメじゃなかったっけ?バイト終わったら駅で話そう」などと言って、バイト終わりのVと駅で落ち合う約束をした。
Aは、約束通りに駅までやってきたVの胸ぐらを掴んで、「調べたらやっぱりVの高校バイト禁止やんな?校則破ってバイトしてるのバラされたくなかったら、口止め料として残ってる先月分のバイト代渡せや」などと言って、5万円をVから受け取った。
一部始終を見ていた近くの駅員が警察に通報し、駆けつけた警察官にAは逮捕された。
京都府宇治警察署の取調べに対し、Aは「金欠だったので、ついやってしまった」と容疑を認めている。
(フィクションです)
恐喝罪とは
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
本件で、Aは、友人の弟であるVから、校則違反のバイトをしていることをバラされたくなければ5万円を寄越せと脅して、5万円という財物を自身に交付させたと言えますから、恐喝罪が成立する可能性があります。
恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
Aは、Vの胸ぐらを掴んで口止め料として現金をよこせと言ったようです。
胸ぐらを掴むのは、暴行にあたります。
また、年上の人に胸倉を掴まれると怖い思いをするでしょうから、Aは財物交付に向けて、人を畏怖させるに足りる暴行をしたと言えそうです(①)。
では、Aの上記行為は、世間一般の人から見て反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか?(②)
例えば、鋭利な刃物を突きつけながら金銭を要求する行為は、反抗を抑圧するに至る程度の暴行又は脅迫に当たると考えられます。
なぜなら、反抗した場合、刃物で刺されて命を落とす可能性があるので、抵抗せずに要求を飲むしかないと考えられるからです。
このような場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。
本件Aは、Vの胸ぐらを掴んで現金を要求したようです。
確かに年上の人から胸ぐらを掴まれると怖い思いをするかもしれませんが、駅員など周囲の人に助けを求めたり逃げ出すなどの反抗は可能でしょうから、Aの行為は世間一般的に見て反抗を抑圧する程度には至っていない可能性が高いでしょう。
ですので、今回の事例の場合には、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役となっているため、執行猶予がつかない可能性があります。
というのは、執行猶予がつくためには、下される量刑が3年以下であることが条件の1つだからです。
仮に執行猶予がつかなかった場合、刑務所の中で服役することになり大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇や退学処分となることが珍しくありません。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、科される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があり、そのためには被害者との間で示談を締結できるかが非常に重要となります。
本件の被害者Vは、校則違反のバイトをしていたという理由で、Aから理不尽にも先月分の給料を交付させられていますから、VはAに対して強い処罰感情を有していると考えられ、A自らVに接触して示談交渉を進めようとしてもうまくいかない可能性が高く、連絡を取ること自体拒絶されるかもしれません。
そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
加害者と直接連絡を取ることに強い抵抗を示す被害者であっても、弁護士を通じてであれば示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
ご予約のお電話は0120-631-881で承っています。