友人から預かっていたPCを無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例
友人から預かっていたPCを無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都府下鴨警察署は、京都市左京区に住む男子大学生Aを横領罪の疑いで逮捕した。
Aは、同じ大学に通う友人が1年間アメリカの大学に留学することになったため、友人が大切に使っていたデスクトップPCを帰国するまで預かることになっていた。
ところが、Aは、友人が出国してから半年が過ぎた頃にギャンブルにはまりお金に困るようになったため、預かっていた友人のPCをフリマアプリで売却したとされている。
日本に帰国した友人は、PCを返却するように求めても一向にAが返してくれないので問い詰めたところ、売ってしまったことが判明し、警察に被害届を提出したことで事件化した。
取調べに対し、Aは、「もらったものと思っていた。」と容疑を否認している。
(フィクションです)
横領罪とは
刑法252条1項
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
本件では、Aは、友人から預かっていたデスクトップPCをお金欲しさに勝手に売ってしまった結果、横領罪の疑いで逮捕されています。
横領罪とは、簡単にいうと他人から預かっている物などを売るなどすると成立する犯罪です。
まず、252条1項に書かれている通り、横領罪を犯しうるのは、他人の物を占有している人に限られます。
本件では、Aは、友人のPCを預かっていたようですから、Aには横領罪が成立する可能性があります。
次に、横領罪の客体は、条文上「自己の占有する他人の物」とされていますが、文字通り自己の占有する他人の物すべてが客体となるわけではありません。
偶然に自己が占有することになった物を横領する行為については、刑法254条の占有離脱物横領罪が成立します。
したがって、252条1項の横領罪の客体となるのは、持ち主から頼まれて預かった場合のように、委託信任関係を原因として事実上または法律上支配力を有する状態下にある他人の物に限定されます。
本件では、Aは友人の大切にしていたPCを帰国するまで預かっているようですから、このPCは、252条1項の横領罪の客体となる可能性があります。
そして、本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
例えば、物を売るという行為は、その所有者にしか許されない行為ですから、横領に当たります。
本件では、Aは、友人が帰国するまでの間、PCを預かることになっていたにもかかわらず、その任務に背き無断でフリマアプリでPCを売却したようです。
したがって、Aの行為は横領にあたり、横領罪が成立する可能性があります。
加えて、横領罪が成立するためには、故意すなわち男が横領にあたる行為を認識しながら実行したことが必要です。
この点、本件Aは、PCは預かっていたのではなく貰ったものだとAは主張しているようですが、友人はPCを譲り渡したつもりはないようです。
警察が疑っているように、Aがお金を得るために友人の物とわかっていながらPCを売却したのであれば、故意もあったということになり、横領罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
多くの場合、本件のように、被害者が被害届を提出したことをきっかけに捜査機関の捜査が始まります。
横領罪は被害者のいる犯罪ですが、加害者と被害者は見ず知らずの他人ではなく、元々物を預けるというような関係性があるという特徴があります。
知らない仲ではないため、被害弁償がされれば被害届を出さない被害者もいらっしゃるようです。
したがって、きちんと謝罪と被害弁償をして示談をすれば、被害届が提出されず、事件化を防げる可能性があります。
加害者にとって、被害者は知人であることから自分で示談交渉ができると思われるかもしれません。
しかし、被害者にとって加害者は、信頼して物を預けていたのにその信頼を裏切った人ですから、妥当な金額以上の金銭や条件を要求されるかもしれません。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が、被害者側と示談交渉を行うことで示談を成立させることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
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