盗品の時計を買い取ったとして逮捕された事件

盗品の時計を買い取ったとして逮捕された事件

犯罪行為で得たお金

盗品の時計を窃盗犯である友人から、盗品であると知りながら買い取ったとして逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都府中京警察署は、盗品等有償譲受け罪の疑いで、京都市内に住む会社員の男性(30)Aを逮捕した。
Aが友人から購入した時計は、先日京都市内で発生した時計店で盗まれたものの1つで、売主である友人はすでに逮捕されている。
問題の時計の相場は中古品で100万円ほどだが、Aは85万円で譲り受けたとされている。
取調べに対し、Aは、「盗品であることは知らなかった。相場より安いかもしれないが、もともと友人には金を貸していて利子を取っていなかったし、友達価格で売ってもらっただけ。」と容疑を否認している。
(フィクションです。)

盗品等有償譲受け罪とは

刑法256条1項
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
同2項
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

盗品等有償譲受け罪とは、刑法256条2項が規定する盗品等に関する罪の1つです。
窃盗罪などの犯罪によって持ち主から奪われた物などを、盗品等と知りながら有償で譲り受けるような行為を罰しています。

刑法は、盗品等有償譲受け罪の法定刑を10年以下の懲役「及び」50万円以下の罰金としており、これは窃盗罪の法定刑である10年以下の懲役「又は」50万円以下の罰金(刑法第235条)よりも重くなっています。
窃盗罪を犯した人は、懲役のみが課されるか、罰金のみが課されるかのどちらかですが、盗品等有償譲受け罪はその両方が課されることになります。
これは、窃盗犯は盗んだものを売って現金化することが多いところ、盗品などを有償で譲り受ける人が存在することが、窃盗などの動機付けとなりうるためです。

本件では、男性は、時計を窃盗犯である友人から85万円で買い取ったことまでは認めているようですから、盗品等有償譲受け罪が成立する可能性があります。

盗品であることの認識

盗品等有償譲受け罪故意犯、すなわち、自分のする行為が犯罪であると分かっていながら行為に及んだ場合に犯罪が成立します。

本件で言うと、Aが、時計が盗品であると分かっていながら買い取った場合に盗品等有償譲受け罪は成立します。
逆に、Aが、時計が盗品と知らずに買い取った場合には、犯罪が成立しない可能性があります。

Aは、取調べに対して時計を85万で購入したことまでは認めていますが、盗品であるとは知らなかったと容疑を一部否認しているようです。
時計の相場である100万円より安くAは時計を購入していますから、警察は盗品であるという事情が関係していると疑いっているのかもしれません。

弁護士に早めに相談を

上述のように、盗品等有償譲受け罪の成立には、Aが盗品であると知っていたことが必要ですから、捜査機関は取調べで、この点を明らかにしようとするでしょう。
「相場よりも10万以上安く売ってもらえるということは、何かおかしいと思わなかったのか」「金を無心するほど金に困っていた友人が高価な時計を持っているのはおかしいと思わなかったのか」などと、盗品である可能性を認識していたと受け取れるような供述を引き出そうと誘導してくる可能性もあります。

仮に、取調べ盗品である可能性を認識していたかのような供述をし、その供述を文書化した供述調書にサインしてしまった場合、これを裁判で覆すのは非常に困難です。

したがって、取調べ前に、何を認めて何を認めないのか、しっかり線引きしておくことが重要となります。
このような判断を十分な法律の知識なしに適切に行うことは、非常に困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、盗品等に関する事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、冤罪を防げるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

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