SNSで知り合った他県の未成年者を自宅に招いた男が逮捕された事件

SNSで知り合った他県の未成年者を自宅に招いた男が逮捕された事件

逮捕、連行される男性

SNSで知り合った未成年者を自宅に招いた男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府北警察署によると、SNS上で知り合った女子高校生(17)を車に乗せ自宅に招いたとして、京都市内に住む会社員の男(35)を未成年者誘拐罪の疑いで逮捕した。
男は取り調べに対し、被害者に「人生相談に乗って欲しい、車で迎えに来て」と言われたからその通りにしただけ、女性が未成年だと知らなかったとして、容疑を否定している。
(フィクションです)

未成年者誘拐罪

刑法第224条 
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

刑法224条は、未成年者略取罪未成年者誘拐罪を規定しています。
両罪は、対象を未成年としているで共通しています。
異なるのは、どのようにして、未成年者を本来の生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の実力的支配下に移すか、という点です。

未成年者略取罪は、略取、すなわち暴行又は脅迫を手段として、人を本来の生活環境から不法に離脱させ自己又は第三者の実力的支配下に移す犯罪です。
未成年者誘拐罪は、誘拐、すなわち欺罔(虚偽の事実を告知すること)又は誘惑(甘言により判断を誤らせること)を手段として、人を本来の生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の実力支配下に移す犯罪です。

本件では、男は暴行又は脅迫を用いていません。
また、男は「人生相談に乗って欲しい、車で迎えに来て」と被害者に言われ実行に移したようですので、被害者の相談に乗るといった甘言を用いて被害者の判断を誤らせたと判断される可能性があることから、未成年者略取罪ではなく未成年者誘拐罪が成立するケースかと思われます。

もっとも、被害にあった女子高生(被拐取者といいます)は未成年ではあるものの、男に対して人生相談がしたいとして自分から車に乗っています。
そうすると、本来の生活環境から離脱することについて、被拐取者の承諾があると言え、不法ではないとして未成年者誘拐罪は成立しないのではないでしょうか。

未成年者の同意があっても未成年者誘拐罪は成立するか

判例によれば、未成年者誘拐罪を規定する刑法224条が守ろうとしているもの(保護法益といます)は、被拐取者の自由だけでなく両親などの監護者の監護権も含むため、仮に被拐取者の承諾があったとしても監護者が承諾していなければ未成年者誘拐罪は成立するとしています(大判対象13年6月19日、福岡高裁判決昭和31年4月14日)。

本件についてみてみると、男は確かに被拐取者の承諾は得ていると言える可能性がありますが、その両親からの承諾を得ているわけではないようです。
したがって、判例によれば、本件では未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。

未成年と知らなかったことは未成年者誘拐罪の成否に影響するか

本件では、男は、被拐取者が未成年とは知らなかったと言っています。
未成年者誘拐罪が成立するためには、故意、すなわち被拐取者が未成年であることの認識が必要です。
男の言う通り、被拐取者が未成年であることを知るすべがなかったといえるのであれば、未成年者誘拐罪は成立しない可能性があります。

逆に言うと、男と被拐取者のやり取りを通じて得た情報を元に合理的に考えれば、被拐取者が未成年であるかもしれないと、男が認識可能だったと判断されれば、本罪の故意ありとして未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。

早めに弁護士に相談を

未成年者誘拐罪の故意が成立するかどうかの判断にあたっては、被拐取者の容姿や言動など様々な事情を踏まえて判断されます。

本件のように被拐取者が17歳の場合、容姿から未成年と判断できない可能性があり、メッセージのやり取りなどを踏まえてもどちらとも言えない可能性があります。

このような微妙なケースでも、警察が故意ありと考えれば、取調べで故意を認めるかのような供述をするように誘導され、求められるがままに供述調書にサインをしてしまう可能性があります。
そのような供述調書は、裁判において故意認定の強力な証拠となり、覆すのは非常に困難です。
したがって、可能であれば取調べを受ける前逮捕された場合には逮捕の直後に弁護士に直接会ってアドバイスをもらい、取調べでどのような供述をすべきか、またすべきでないか精査することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、未成年者誘拐罪を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
逮捕前であれば、初回無料で弁護士に相談していただけます。
逮捕後の場合には、弁護士を留置場まで派遣させていただきます。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
詳しくは0120ー631ー881までお電話ください。

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