【事例紹介】クーリングオフの書面を交付せず逮捕

訪問販売クーリングオフなどの内容が記載された書面を交付しなかったとして、特定商取引法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警山科署は10日、特定商取引法違反(契約書面不交付)の疑いで、住所不定、自営業の男(34)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)3回にわたり、山科区の女性(71)と屋根の修繕工事の契約をしながら、クーリングオフの説明などをする契約書面を交付しなかった疑い。
同署によると、女性宅を訪問した容疑者が、50万円で屋根の工事をすると口頭で契約。(後略)

(5月10日 京都新聞 「屋根修繕でクーリングオフの説明書面交付せず 容疑で自営業の34歳男逮捕」より引用)

訪問販売と書面の交付

特定商取引に関する法律(以下では、特定商取引法といいます。)では、訪問販売に関する事柄が規定されています。

訪問販売の場合、役務提供契約を締結した際には、直ちに契約の解除に関する時効が記載された書面を交付しなければならない特定商取引法第5条1項で規定されています。

今回の事例では、容疑者は被害者宅を訪問し、屋根の工事を口頭で契約し、クーリングオフの説明などをする書面を交付しなかったと報道されています。
クーリングオフとは、一定期間の間であれば契約を解除できる制度のことをいいます。
報道によれば容疑者は被害者宅に訪れて営業を行っているので訪問販売にあたります。
また、役務とは大まかにいうと、労働力の提供をいいますので、屋根の工事を行う行為は特定商取引法で規定する役務にあたると考えられます。
特定商取引法では、役務提供契約を締結した際には契約解除の事項を記載した書面の交付を義務付けられていますので、報道のとおり書面を交付していなかったのであれば、今回の事例では特定商取引法違反が成立する可能性があります。

契約解除の事項を記載した書面を交付せず、特定商取引法違反で有罪になった場合は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると規定されています。(特定商取引法第71条1号)

特定商取引法違反と弁護活動

刑事事件の嫌疑をかけられるのが初めての方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
刑事事件では捜査の一環として、取調べが行われます。
特定商取引法違反の嫌疑をかけられた場合も例外ではなく、取調べを受けなければなりません。
初めての取調べであれば、勝手がわからない状態でしょう。
あなたが取調べを受けることが初めてだからといって、警察官は手心を加えてくれるわけではありません。
取調べでは重要な証拠となる供述調書が作成されますので、後に不利な状況に陥らないようにするためにも、事前に取調べの対策を立てておくことが重要になります。

ですが、取調べの対策を立てると言っても何をすればいいのかわからない方がほとんどでしょう。
ですので、取調べ対策を行う際には、刑事事件に精通した弁護士と共に取調べ対策を行うことが望ましいといえます。
おそらく今回の事例のように訪問販売での書面不交付の事例であれば、契約の内容、契約締結の際にした説明内容、作成していた契約書の内容などを聞かれることになるのではないでしょうか。
刑事事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士であれば、聞かれる内容をある程度予想することも可能ですから、取調べ前に供述すべき内容や黙秘した方が良い内容などを整理することができます。

また、被害者と示談を締結することで、不起訴処分の獲得や少しでも科される刑罰を軽くできる場合があります。
示談交渉は加害者が直接行うことも不可能ではありませんが、連絡先を教えてもらえない可能性やトラブルに発展してしまう可能性があります。
弁護士示談交渉を行うことで、円滑に示談を締結できる場合がありますので、示談締結を考えている方は、弁護士を代理人として示談交渉を行うことをお勧めします。

弁護士は、取調べ対策示談交渉以外にも検察官への処分交渉など様々な弁護活動を行います。
刑事事件に精通した弁護士による弁護活動で、不起訴処分の獲得など少しでも良い結果を得られるかもしれません。
特定商取引法違反でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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