シンナーを吸引したとして毒物及び劇物取締法違反の罪に問われた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
シンナーを吸引して同居する父親を包丁で刺殺したとして、殺人と毒物劇物取締法違反の罪に問われた(中略)被告(50)の裁判員裁判の判決公判が20日、京都地裁であった。(中略)裁判長は「強固な殺意に基づく犯行で、残忍さが際立っている」として完全責任能力を認め、懲役14年(求刑懲役17年)を言い渡した。
(3月20日 京都新聞 「シンナー吸って父親刺殺、被告に懲役14年判決 完全責任能力を認定」より引用)
(後略)
シンナーの吸引と毒物及び劇物取締法
毒物及び劇物取締法第3条の3
興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する毒物又は劇物(これらを含有する物を含む。)であつて政令で定めるものは、みだりに摂取し、若しくは吸入し、又はこれらの目的で所持してはならない。
今回の事例では、シンナーを吸引したことで毒物及び劇物取締法違反の罪に問われています。
シンナーといえば、塗料の希釈などに使用されますし、身近なもののように思われるかもしれません。
シンナーを吸引することで毒物及び劇物取締法違反は成立するのでしょうか。
多くの場合、シンナーは主成分としてトルエンを含有しています。
トルエンには幻覚作用があり、トルエンやトルエンを含有するシンナーは、毒物及び劇物取締法第3条の3で規定している興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する毒物又は劇物に該当します。(毒物及び劇物取締法施行令第32条の2)
毒物及び劇物取締法では、興奮や幻覚作用がある毒物や劇物の摂取、吸引、それらの目的で所持することを禁止していますので、トルエンを含むシンナーを吸引すると毒物及び劇物取締法違反が成立することになります。
シンナーを吸引し、毒物及び劇物取締法違反で有罪になった場合には、1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます。(毒物及び劇物取締法第24条の3)
塗料の希釈に使われるシンナーですが、シンナーの吸引や摂取を行った場合には、毒物及び劇物取締法違反の罪に問われることになります。
また、シンナーを塗料の希釈などの正当な理由で所持していた場合であっても、吸引や摂取の目的で所持していたと判断された場合には、同様に毒物及び劇物取締法違反が成立してしまいます。
シンナーを正当な理由で所持していた場合でも、摂取や吸引目的の所持だと疑われ、毒物及び劇物取締法違反の冤罪をかけられる場合があるかもしれません。
冤罪を晴らすためには、取調べ対策をしっかりと行うことが重要になってきます。
取調べの際に事実に反した供述調書を作成された場合は、後の裁判であなたにとって不利な証拠として扱われてしまいます。
そういった事態を避け、冤罪を晴らすためにも、取調べ対応は重要になります。
また、弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
弁護士が処分交渉を行うことで不起訴処分の獲得や科される刑が少しでも軽くなるかもしれません。
シンナーの吸引や摂取、それらの目的による所持で毒物及び劇物取締法違反で有罪になってしまった場合には、最悪の場合、懲役刑と罰金刑の両方が科されてしまいます。
刑事事件に精通した弁護士による取調べ対応や処分交渉などの弁護活動により、あなたにとって少しでもいい結果が望めるかもしれません。
毒物及び劇物取締法違反の容疑で逮捕、捜査されている方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。