無許可営業のマージャン店から売上金を受け取った疑いで、組織犯罪処罰法違反の容疑で逮捕されている事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
京都市右京区のマージャン賭博事件で、京都府警生活保安課と右京署は8日、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)の疑いで、京都市南区の不動産会社社長の男(76)を逮捕した。
(3月8日 京都新聞 「違法マージャン店から売上金898万円受け取る 容疑の会社社長逮捕」より引用)
逮捕容疑は、2020年7月~今年1月、右京区の無許可マージャン店の売上金898万円を犯罪収益と知りながら、計113回にわたり借金返済の名目で受け取った疑い。
(後略)
組織犯罪処罰法
今回の事例を見て、犯罪によって得られたお金を受け取るだけでも犯罪が成立するのかと驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織犯罪処罰法」といいます)では、犯罪によって得られたお金などを受け取る行為を禁止しています。
ですので、もしも犯罪によって得られたお金を受け取ってしまうと、場合によっては、組織犯罪処罰法違反の罪に問われる可能性があります。
では、根拠となる条文を見てみましょう。
組織犯罪処罰法第11条
情を知って、犯罪収益等を収受した者は、7年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約(債権者において相当の財産上の利益を提供すべきものに限る。)の時に当該契約に係る債務の履行が犯罪収益等によって行われることの情を知らないでした当該契約に係る債務の履行として提供されたものを収受した者は、この限りでない。
条文だけでは分かりにくいかと思いますので、組織犯罪処罰法第11条大まかに説明をしていきます。
犯罪収益等とは、簡単に説明すると、犯罪によって得られた財産などをいいます。
また、情を知ってとは、犯罪によって得られたものだと知っている状態のことをいいます。
つまり、犯罪で得られた財産だと知りながら、その犯罪によって得られた財産などを受け取ると、組織犯罪処罰法違反が成立することになります。
逆にいえば、犯罪によって得られた財産などを受け取ったとしても、犯罪によって得られたものであると知らなければ、組織犯罪処罰法違反は成立しません。
今回の事例では、容疑者が無許可マージャン店の売上金を犯罪収益だと知りながら受け取ったとされています。
無許可でマージャン店を営業する行為は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反が成立し、犯罪行為にあたります。
ですので、実際に容疑者が無許可で営業しているマージャン店だと知りながらお金を受け取ったのであれば、組織犯罪処罰法が成立する可能性があります。
取調べ対応と処分交渉
犯罪によって得られたものを受け取っていたとしても、知っていたことに合理的疑いが残ると判断されれば、組織犯罪処罰法違反は成立しません。
そのように判断をしてもらうためには、取調べの対応が重要になってきます。
取調べで作成される供述調書は後の裁判で証拠として扱われます。
ですので、もしも取調べであなたにとって不利な供述調書が作成された場合には、裁判であなたに不利な状況になってしまう可能性があります。
そのような事態を避けるためにも、刑事事件に精通した弁護士を付けることが望ましいでしょう。
また、弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
弁護士による処分交渉と取調べ対応により、不起訴処分や無罪の獲得を目指せるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
組織犯罪処罰法違反、その他の刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。