罰則強化のながら運転で刑事事件①

罰則強化のながら運転で刑事事件①

罰則が強化されたながら運転について刑事事件化したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例①~

Aさんは、京都市東山区にある友人の家に向かう際、スマートフォンをカーナビ代わりにして運転していました。
しかし、友人宅への道がわかりづらかったため、Aさんはカーナビ画面を映していたスマートフォンを注視しながら運転していました。
すると、パトロールしていた京都府東山警察署の警察官がAさんのその様子を発見。
Aさんは、ながら運転をしていたとして、後日京都府東山警察署に呼び出されることになってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

~事例②~

Bさんは、京都市東山区内の道路で自動車を運転している際、スマートフォンでゲームアプリを起動し、ゲームをしながら運転する、いわゆるながら運転をしていました。
すると、赤信号に気づくのが遅れ、Aさんは横断歩道前で急ブレーキを踏みました。
交通違反を警戒していた京都府東山警察署の警察官にそれを見とがめられ、Aさんはながら運転で交通の危険を発生させたとして、道路交通法違反の容疑で話を聞かれることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・ながら運転の罰則強化

つい先日のことですが、今年の12月1日、改正道路交通法が施行されました。
今回の道路交通法の改正では、スマートフォンなどを操作しながら自動車等を運転するいわゆる「ながら運転」の罰則が強化されました。
上記事例①②を見ながらその内容を見ていきましょう。

今回罰則が強化された道路交通法の条文は以下の条文です。

道路交通法71条5号の5
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第118条第1項第3号の2において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第41条第16号若しくは第17号又は第44条第11号に規定する装置であるものを除く。第118条第1項第3号の2において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。

つまり、スマートフォンや携帯電話で通話をしたり、それらの操作をしたり、注視(その物をじっと見ていること)したりしながらの「ながら運転」を禁止しているのがこの条文であるということになります。
では、この条文に違反し、ながら運転をしてしまった時の罰則についての条文を確認してみましょう。

道路交通法117条の4
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
1号の2 第71条(運転者の遵守事項)第5号の5の規定に違反し、よつて道路における交通の危険を生じさせた者

道路交通法118条
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
4号 第75条(自動車の使用者の義務等)第1項第2号又は第5号の規定に違反した者

どちらも先ほど挙げた道路交通法に違反しながら運転をしてしまった時の罰則ですが、「交通の危険を生じさせた」かどうかによってその区別がなされています。
その刑罰の重さももちろんのこと、ながら運転をして交通の危険を発生させてしまった場合、反則金を支払うことで刑事事件化を免れることができる「反則金制度」の対象外となっていることにも注意が必要です。
つまり、ながら運転によって交通の危険を発生させてしまったら、すぐに刑事事件の手続きに乗ることになるということなのです。

このように、改正された法律違反の犯罪では、刑罰が重くなる以外にもそれまでと大きく違う点が出てきます。
刑事事件に詳しい弁護士に相談し、細かな変更点も一緒に確認していくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、交通違反から刑事事件に発展してしまったケースについてもご相談をいただいています。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

次回の記事では事例①②に照らし合わせて検討を行います。

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