近江八幡市の窃盗・特殊詐欺事件なら
Aさんは、滋賀県近江八幡市に住む高齢者Vさんに電話し、「私は金融庁の職員です。あなたのキャッシュカードが偽造され、不正利用されていることが分かりました。確認と対策を行いたいので、キャッシュカードと暗証番号のメモを封筒に入れて用意しておいてください」と伝えました。
VさんはAさんの言う通り、封筒にキャッシュカードと暗証番号を書いたメモを用意したところ、金融庁の職員を装ったAさんがVさん宅を訪れ、「被害が特定できるまで、これから誰もカードを利用できないように封筒に封をして、万が一封筒が開かれれば分かるように封筒に押印しておきましょう。そのために印鑑を持ってきてください」と伝えました。
VさんがAさんの指示に従って印鑑を取りに行っている間に、Aさんは持参していた偽のカードの入った封筒と、Vさんのキャッシュカードが入った封筒を入れ替え、Vさんのキャッシュカードを持ち帰りました。
そして、AさんはVさんのキャッシュカードを利用し、滋賀県近江八幡市内の銀行で現金をおろしました。
後日、Vさんの話を聞いたVさんの家族がおかしいと感じたことからAさんの犯行が発覚し、Aさんは滋賀県近江八幡警察署に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※平成30年11月3日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)
・特殊詐欺?窃盗?
オレオレ詐欺などに代表される特殊詐欺事件は後を絶ちません。
特殊詐欺事件では、被害者に対して身分を偽ったり、身内を装ったりして金品をだまし取る手口が用いられます。
今回の事例も一見するとそうした特殊詐欺事件のように見えますが、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されています。
これはいったいどうしてでしょうか。
詐欺罪が成立するためには、大まかに①被害者を騙す行為があること、②被害者が騙されること、③被害者が③に基づいて財物を交付することという条件がそろうことが必要とされます。
特殊詐欺事件では、被害者に嘘の身分や話等を信じさせ(①・②)、それによって被害者に指定した口座までお金を振り込ませる(③)、という流れをたどるために、詐欺罪が成立します。
しかし、今回のAさんの場合、自分の身分が金融庁の職員であり、Vさんのキャッシュカードが不正利用されている、という嘘を話してVさんを騙してはいるものの、Vさん自身にキャッシュカードを渡させたわけではなく、Vさんが席を外した隙に封筒をすり替える、という手口で自分のものとしています。
つまり、Aさんの行為には、詐欺罪が成立するための③の条件が不足していると考えられ、そのために詐欺罪が成立しないと考えられるのです。
もしも今回のケースで、AさんがAさんの嘘を信じたVさんに「キャッシュカードを渡してください」と言ってキャッシュカードを渡させていれば、①②③の条件が満たされ、詐欺罪が成立すると考えられます。
こうしたことから、Aさんには詐欺罪が成立せず、「他人の財物を窃取した者」として窃盗罪が成立するにとどまると考えられます。
さらに、Aさんは盗んだVさんのキャッシュカードを利用し、銀行で現金をおろしています。
この行為についても、Aさんは窃盗罪に問われる可能性があります。
銀行に預けられている現金は、銀行が管理しているお金ですから、Aさんのように盗んだ他人のキャッシュカードを使ってその現金を不正に取得することは、「他人の財物を窃取」する行為と考えられるためです。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
今回のような窃盗事件の場合、被害者を騙して窃盗行為をするという点などから、その悪質性を考慮され、前科等がなくとも起訴され裁判に臨むことになる可能性もあります。
こうした窃盗事件で逮捕されてしまったら、その後の活動をスムーズにするためにも、早いうちに弁護士に相談してみることをおすすめいたします。
特殊詐欺事件も起きている中、最近ではこうしたキャッシュカードのすり替えや、隙を見て通帳等を盗み出すといった形での窃盗事件も起き始めています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所として、こうした「最近多発している」「近年起き始めた」という犯罪の手口にも対応していきます。
滋賀県の窃盗事件・特殊詐欺事件を始めとする刑事事件にお困りの際は、ぜひ弊所弁護士までご相談ください。
(滋賀県近江八幡警察署までの初回接見費用:3万9,000円)