チケット転売に関連した詐欺事件
京都市伏見区でチケット転売仲介サイトを運営しているAさんは、チケット転売業者であるBさんと共謀して、自身の運営するチケット転売仲介サイトの出品数を増やし、シェアを拡大していこうと考えました。
そこでまず、Bさんは転売目的でチケット販売会社から人気歌手のコンサートチケットを他人名義で購入しました。
そして、Bさんは後日、Aさんの運営しているチケット転売仲介サイトにて、定価の約2倍の値段でチケットを販売しました。
その際、Aさんは本来出品者にかかるはずの手数料を値引きし、手数料無料でBさんがチケット転売を行えるようにしていました。
その後、京都府伏見警察署が詐欺罪の容疑で捜査を開始し、AさんとBさんはともに詐欺罪の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
(※平成30年1月11日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・チケット転売と詐欺
昨今話題になっているチケット転売ですが、最近ではいわゆるチケット転売規制法が成立したことがよく報道されていました。
2020年の東京オリンピックも控え、ますますチケット転売については厳しい取り締まりが予想されます。
今回の事例で取り上げたのは、昨年1月に報道された事例を基にしたチケット転売に関連した詐欺事件です。
チケット転売に関わる詐欺事件といえば、転売サイトやフリマアプリ、ネットオークションでの取引きにおいてなされるイメージがありますが、このように、それらを運営する側や実際にチケット転売を行った側が詐欺罪によって摘発された事例もあります。
まずは今回の事例を詳しく見てみましょう。
今回の事例では、チケット転売をするためにその目的を隠してチケット購入を行ったチケット転売業者(Bさん)と、その業者を優遇してチケット転売仲介サイトを利用させていたチケット転売仲介サイト運営者(Aさん)です。
まず、Bさんの行為について検討してみましょう。
多くのチケット販売会社では、その利用規約にチケット転売目的でのチケット購入を禁止する事項が規定されています。
つまり、チケット転売目的であるのにチケットを購入するということは、チケット販売会社の利用規約に反することになりますから、もしもチケット販売会社がそれを把握していれば、当然チケットを引き渡すことはしないでしょう。
しかし、Bさんはそのチケット転売目的があることを隠してチケットを購入しています。
ここで、Bさんの逮捕容疑である詐欺罪の条文を見てみましょう。
詐欺罪(刑法246条)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
この詐欺罪の「人を欺」く行為とは、財物を交付するうえで重要な事実について偽ることであるとされています。
今回のBさんの場合、先ほど触れたように、チケット販売会社の利用規約に反することを隠してチケットを購入していますが、それが分かっていればチケット販売会社はチケットを引き渡さなかったと考えられますから、「人を欺いて」いると言え、さらにチケット=「財物」を交付させているために、Bさんには詐欺罪が成立すると考えられるのです。
そして、Aさんについては、このBさんの詐欺行為の共犯であると考えられています。
今回の事例の基となった事件では、AさんがBさんのチケット転売仲介サイト利用手数料を無料として優遇していたことや、頻繁に連絡を取り合っていたことなどから、チケット転売目的でのチケット購入を促す意図があると判断され、詐欺罪の共犯関係にあると判断されたようです。
こうした態様の詐欺事件以外にも、チケット転売に絡んだ詐欺事件は多く起こっています。
例えば、チケット転売をうたって出品されたチケットを購入したにもかかわらず、チケットが送られてこなかったり、届いたチケットが使えないものであったり全く別のものであったりといったチケット転売詐欺事件の被疑者が検挙された、という報道もたびたびなされています。
チケット転売についての刑事事件は被害者が遠方に住んでいて示談交渉がしづらいというケースがあったり、被害が複数件に上って把握が困難であったり、逮捕による身体拘束がなされたりと、当事者だけで対応していくには非常に難しい事件です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、チケット転売に関連した詐欺事件、刑事事件ももちろん対応しています。
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(京都府伏見警察署までの初回接見費用:3万6,800円)