学校行事用物品の水増し請求により私立中学校総務部長が逮捕された事例

学校行事用物品の水増し請求により私立中学校総務部長が逮捕された事例

犯罪行為で得たお金

学校行事用物品の水増し請求により私立中学校総務部長が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府中京警察署は、京都市中京区に住む私立中学校の総務部長である男性Aを逮捕しました。
Aは、学校行事に用いる物品の購入を一任されており、その際に物品の水増し請求を行った疑いが持たれています。
Aは、離婚後の養育費の支払いや住宅ローンの返済のため多額の資金が必要となり、その資金を捻出するために背任行為に及んだとされています。
Aは業者Pと共謀し、本来10万円程度の物品を30万円に水増し請求させ、差額の20万円をPと山分けをしていたようです。
年度末に学校の経理担当者が物品の購入金額の不自然さに気付き、校長に報告したことから事件が発覚。
取り調べに対し、Aは「家庭の問題で急に多額の金が必要になり、つい魔が差した」と容疑を認めています。
(フィクションです)

背任罪とは?

刑法247条が規定する背任罪は、他人のためにその事務を処理する者(①)が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的(②)で、その任務に背く行為(③)をし、本人に財産上の損害を加える(④)犯罪です。

背任罪の主体は、「他人のためにその事務を処理する者(①)」です。本件のAは、私立中学校Sの総務部長として、学校行事に用いる物品の購入を一任されていたため、背任罪が規定する「他人のためにその事務を処理する者」に当たる可能性があります。

また、背任罪が成立するためには、図利・加害目的すなわち「自己もしくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的(②)」が必要です。
ここでの「本人」とは事務処理を委託した者を言います。
本件では、私立中学校SがAに物品の購入を任せていたため、S校が「本人」にあたります。
そしてAは、「本人」である学校に支払わせた水増し請求分をPと山分けしていたため、自己と第三者の利益を図ったとして図利・加害目的があったと評価されそうです。

次に、背任行為すなわち「任務に背く行為(③)」背任罪の成立に必要です。
背任行為とは、事務処理者として当該事情の下で信義則上当然行うべく期待される行為をしなかったことをいいます。
本件では、Aは、総務部長として業務に必要な物品を適切な金額で購入することを学校から任されていたにもかかわらず、それに反して業者と共謀し水増し請求を行い過大な代金を学校に支払わせていたため、背任行為があったと言えそうです。

最後に、「本人に財産上の損害を加えたこと(④)」も必要となります。本件では、学校は水増し請求により適正価格よりも20万円分多く支払っているため、Aは本人に財産上の損害を与えたと言えそうです。
以上より、本件では背任罪が成立する可能性が高いと言えます。

なるべく早く弁護士に相談を

背任罪を犯してしまった場合には、できるだけ早く弁護士に示談交渉を依頼することをお勧めします。
早い段階で被害者との間で示談を成立させ、真摯な謝罪と損害を弁償することができれば、不起訴処分になる可能性があります。
仮に不起訴処分にならなかったとしても、判決前に被害者との間で示談を成立させることができれば、量刑が軽くなったり執行猶予付判決を得ることができるかもしれません。

本件のAのように、加害者は被害者からの信頼を裏切り損害を与えた人物であるため、被害者は加害者に対し強い処罰感情を持っている可能性があります。
加害者本人が示談交渉に乗り出すのは得策ではありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任事件など刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

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