前科を避けたい

1.前科とはなにか(前歴との違い)

前科を避けたい

「前科」「前歴」は法律上の用語ではありません。

一般的に「前科」とは、過去に確定した有罪判決を受けた事実・経歴を意味します。

懲役や禁固のみならず罰金や科料も含まれ、また、実刑に限らず執行猶予も含みます。一方で、不起訴処分は前科に含まれません。

これに対して、「前歴」というのは、過去に捜査機関によって一定の捜査の対象となった事実・経歴を意味します。

不起訴処分を受けた場合も含まれます。

2.前科の具体的な内容

前科には、日常用語の意味での広い意味での前科と狭い意味での前科の2種類があります。

(1)日常用語の意味での広い意味での前科

前科がついた場合には、法務省所管のもと検察庁のデータベース内に犯歴票等として記録され、前科者が死亡するまで管理されます(犯歴事務規定18条)。

これがいわゆる日常用語の意味での広い意味での前科です。この犯歴票等に基づき検察事務官が作成した書面を前科調書といいます。

前科調書は、検察官が容疑者の前科の有無を調べたり、裁判において前科の有無・内容を証明する証拠としたりするのに用いられます。

よって、再度犯罪をした場合には前科が量刑に影響を及ぼすことがありえます。

つまり、前科の存在により判決が重くなる可能性があるのです。

一方、捜査や事件解決に用いるため、前科だけでなく前歴も警察庁のデータベースで管理されています。

ただ、誰でも閲覧できるわけではなく、事件解決などに必要な場合に権限を持つ者のみが閲覧することができることになっています。

なお、前科が戸籍や住民票などに記載されることはありません。

(2)狭い意味での前科

「罰金以上の刑(執行猶予付き判決を除く。)」を受けた場合には、本籍地の市区町村で管理される犯罪人名簿に一定期間掲載される等の措置がとられます。

これが狭い意味での前科であり、一定の職につく資格又は選挙権・被選挙権の有無の調査・確認のために掲載されるものです。

ただし、犯罪人名簿に記載された前科は、刑の言渡しの効力の消滅に合わせて、記載が削除されることとなっています。

執行猶予期間の経過や、実刑になったとしても刑期の満了から10年間(罰金の場合には5年間)罰金以上の刑に処せられなければ刑の言渡しが効力を失うことになる(刑法第34条の2)ので前科はなくなります。

この結果、例えば、職業上の欠格事由としての前科にはこれ以降、当たらないことになります。

3.前科が付くことによる不利益

刑事事件を起こし、刑事手続きの対象になった場合、捜査機関は必ず前科の有無を調査します。

容疑者に前科があった場合には、その内容や前科の個数にもよりますが、重い処分へとつながりやすくなります。

特に同種の犯罪を短期間の間に繰り返し行っている場合には、前回よりも重い処分となる可能性が極めて高いです。

また、前科があることによって、社会生活上一定の不利益を受けることがあります。

たとえば、職業上の制約として、一定の資格が制限されることがあります。

禁固以上の刑に処せられた場合には、国家公務員や弁護士、公認会計士などの資格の欠格事由に当てはまることとなります。

前科の有無は、基本的に厳格に管理されていますので、一般に公開されることはありませんし、たとえ本人であっても照会することはできません。

しかし、事件が報道されていた場合には、興信所などの調査によって発覚する場合もありますし、人伝えに知られてしまう可能性もあります。

企業の就職の際でも、積極的に前科について話す必要はないものの、嘘をついてしまうと経歴詐称となり、後に発覚すれば懲戒解雇事由となる場合もあります。

4.略式起訴や即決裁判でも前科はつくのか

略式起訴がなされると、通常罰金刑が課せられますし、即決裁判手続きはその日のうちに判決が出る簡易な手続きではありますが通常執行猶予付きの判決がでます。

よって、通常略式起訴、即決裁判のいずれも前科がつくと考えられます。

5.前科を避けるためには

前科を避けるためには、不起訴処分を勝ち取りましょう!

不起訴処分というのは、検察官が行う終局処分の1つであり、起訴しないという判断をすることを言います。

不起訴処分の理由はいくつかありますが、典型的な例としては、親告罪の告訴がない場合です。

また、犯罪の成立は明らかではあるけれども、事案が比較的軽微な場合や、被害者との示談が成立していること等の諸般の事情を総合して、起訴猶予と判断される場合があります。

検察官が起訴すると、現在の実務ではおよそ99%が有罪となります。

確かに、例えば本当に「自分はやっていない」ということであれば真剣に無罪を勝ち取りに行く意味はあります。

一方、心当たりがあるのであれば不起訴を目指すのが有効な方法であるのも確かです。

検察官に送致された事件のうち検察官の起訴率は40%程度です。

言い換えると、約60%は不起訴処分で処理されているのです。

ですから、刑事事件として捜査機関により事件化された場合には、この不起訴処分を目指すことが有益であるといえます。

特に、身体拘束されている事件であればご自身で不起訴獲得に向けた活動を行うことは困難極まります。

前科がつくことに不安を抱えている方、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部はあなたの強い味方です。是非、ご相談ください。

6.不起訴処分を勝ち取る方法

では、不起訴はどうのようにすればかちとることができるのでしょうか?

軽微な交通事犯等では、被疑者が初犯で事故の罪を認めて素直に反省している場合には、起訴猶予ということで不起訴処分になることがありえます。

ただ、一般的に不起訴処分に向けた最も有効な弁護活動は、やはり被害者の方との示談です。

親告罪が問題となる場合では、被害者に告訴を取り下げてもらえれば、起訴されることはありません。

その他にも、弁護士としては、証拠が不十分であること、容疑者にはアリバイがあること、十分な反省をしていて再犯防止のための環境も整っていることなどの有利な事情を示して、検察官に働きかけます。

そして、これらのことは、検察官が起訴・不起訴の判断をするまでの間に行う必要があります。

限られた時間の中で十分な弁護活動を行うためにも、早い段階から積極的に動くことが大切です。

不起訴処分を勝ち取り前科を避けたい場合は、早いうちに弁護士に相談することをお勧めします。

お困りの際には、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にぜひご相談ください。

 

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