約200回の無言電話をかけ偽計業務妨害の疑いで逮捕

約200回の無言電話をかけ偽計業務妨害の疑いで逮捕

電話

約200回の無言電話をかけ偽計業務妨害罪の疑いで逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。

事例

京都府右京警察署は建設事務所に、約200回にわたって無言電話をかけるなどして業務を妨害したとして、京都市右京区在住の女(52)を逮捕いたしました。
同署によりますと、女は昨年(2024年)6~9月にかけ、同区内の男性(45)の事務所に約200回にわたって無言電話をかけるなどした疑いが持たれています。
女は警察の調べに対し、「電話をかけたことは間違いない」と容疑を認めています。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の違いは?

業務妨害罪には妨害の「手段」の違いにより偽計業務妨害罪威力業務妨害罪の二種類があります。

偽計業務妨害罪信用毀損罪とともに刑法第233条に規定されています。
「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
偽計業務妨害罪とは虚偽のうわさを流したり、偽計(人を騙す、人の勘違いや不知を利用する、人を誘惑する、また計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いること)を用いて、法人・団体(営利を目的としていない場合も含む)の経済的な社会的信用を低下させることをし、またその業務を妨害する行為を行うと成立します。
保護法益は社会的活動の自由ですので、妨害は現実に業務が妨害されている必要ではなく、妨害の結果を発生される可能性がある行為で足りるとされています。
例えば、飲食店の料理に害虫が混入していたとする嘘をネットで流したり、営業中のお店にも関わらず、入口に休業の張紙を掲示したり、などがあります。

一方、威力業務妨害罪は刑法第234条に以下のように定められています。
「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。」
つまり両者の違いは「威力」を行使したかどうかの違いになります。
「威力」とは人の意思を制圧するような勢力をいいます。
意思の抑圧は脅迫や暴行まで至らずとも、客観的にみて他人の自由意思を抑圧する程度のものかで判断し、被害者の主観的な程度を要しないとされています。
例えば、店内で暴れて営業妨害をする、株主総会中に大声を上げるなどがあります。

今回の事例では無言電話を建設会社に繰り返し電話をしたことにより、業務を妨害する行為をしています。
無言電話ですので「威力」は使われてはいませんが、業務を妨害する恐れのある行為ですので、偽計業務妨害罪にあたります。
もしこの電話が執拗なクレームや「アホ!」など相手を罵倒する電話の場合は威力業務妨害罪に該当することになるでしょう。

偽計業務妨害罪で逮捕されてしまったら

偽計業務妨害罪で逮捕された場合、被害を受けた会社と示談が成立すれば、減刑や不起訴の可能性がでてくるでしょう。
しかし被害会社と示談をする場合、担当者の名前を直接確認しそこから被害金額の交渉をするなど、個人が対応するのには限界があるでしょう。
また警察や検察もプライバシーの観点から、加害者に被害者の情報を教える状況は考えにくいです。
しかし被害者の了承が得られれば弁護士への開示は可能でしょうから、示談交渉は弁護士を通じてお行うことが望ましいでしょう。
そのため弁護士を通して、速やかに被害があった相手と交渉できるよう、警察や検察に働きかける防御活動が重要になってきます。

刑事事件において被害者と示談する際、弁護士の専門知識と経験は被疑者が最適な結果を得るために不可欠です。
特に、法律や手続きに詳しくない方にとって、弁護士のサポートは心強い味方となります。

お困りのことがございましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までお気軽にお問合せください。
またご家族が逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
フリーダイヤル:0120―631―881(24時間365日受付中)

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