「家賃を滞納して家から追い出されそう」心配した男性から30万を騙し取った女を逮捕
「家賃を滞納して家から追い出されそう」と泣きつき、心配した男性から30万を騙し取った女が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都府伏見警察署は、SNSで知り合った男性Vを騙して合計30万円を自身の口座に振り込ませたとして、京都市内に住む無職の女A(28)を逮捕しました。
Vは、AとSNSで親しくなり、予定を合わせてご飯に行こうという話をした後、Aと連絡が取れなくなりました。
心配になったVが何度か留守電を残すと、Aから折り返し電話があり「家賃を滞納しており、すぐに支払わないと追い出される」と告げられ、泣きながら話すAに対して、Vは心配し、家賃を肩代わりすることを決めました。
Aは、大家から滞納を理由に向こう2ヶ月分の家賃を先払いするように要求されたということだったので、Vは、10万円ずつ3回に分けて計30万円を送金した。
送金後、VがAに電話をかけたところ、この電話は使われていませんと自動音声が流れてきたため不審に思い最寄りの京都府伏見警察署に相談したところ、捜査の末Aは詐欺罪の疑いで逮捕されました。
京都府伏見警察署の取調べに対し、Aは「留学費用の足しにするためにお金が欲しかったので、適当に嘘をついてVからお金をもらおうと思ってやった。」と容疑を認めています。
(フィクションです。)
詐欺罪とは
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
「人を欺いて財物を交付させた」とは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が処分行為を行い、④その処分行為により財物が行為者に移転することを意味します。
本件で逮捕された女Aは、SNSで知り合った男性Vの好意を利用して、家賃滞納を理由に追い出されそうだという嘘をつき、Vを騙して30万円を騙し取った疑いが持たれています。
まず、詐欺罪となりうる欺罔行為(①)とは、財物の交付に向けて人を錯誤に陥らせることを言い、その内容は財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることであるとされています。
逮捕されたAは、Vに30万円を振り込ませるために家賃滞納で追い出されそうだと訴え、家賃が払えれば問題が解決するという錯誤に陥らせています。
仮に、家賃滞納が実際には存在せず30万円を振り込まなくてもAが追い出されることはないと知っていれば、Vは30万円を振り込まなかったでしょうから、Aは財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ったと言えます。
したがって、AはVを欺いて(①)、その欺罔行為によりVは家賃滞納が解消されればAが追い出されないという錯誤に陥り(②)、その錯誤に基づいて30万円をAの口座に振り込み(③)、その処分行為により30万円がAに移転したと言えますから、詐欺罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
詐欺罪のように被害者のいる犯罪では、示談を早期に成立させることができるかどうかが重要となります。
早い段階で示談が成立していれば、不起訴となる可能性がありますし、仮に起訴されたとしても示談が成立していれば、罪の減軽や執行猶予付判決が得られる可能性があります。
ただし、本件のAが自分でVと示談交渉をしようとすると上手くいかない可能性が高いです。
Vからすれば、Aは自身の好意を利用して30万円を騙し取った相手であるわけですから、もう二度と関わりたくないと思っているでしょうし、Aに対する処罰感情も強いでしょう。
そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任することをおすすめします。自分を騙した加害者本人と連絡を取ることに強い抵抗を感じる被害者であっても、弁護士が相手であれば、示談交渉に応じてくれることは少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉は、弊所の弁護士にお任せください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120-631-881にて受け付けております。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。