SNS上で隣人を薬物中毒者と言って名誉を毀損した事例

SNS上で隣人を薬物中毒者と言って名誉を毀損した事例

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SNS上で隣人を薬物中毒者と言って名誉を毀損した事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府東山警察署は、京都市東山区に住む60代の男性Aを逮捕した。
Aは、隣に住むVさんに昼夜問わず大音量でテレビを流されたことで夜眠れなくなったため、たびたびVさんに音量を下げるよう要求したが、一向に聞き入れてくれなかった。
頭にきたAさんは、最近使い始めたSNSで、Vさんを本名で名指しして「Vは頭がおかしい。あいつは薬物中毒者で近所の人全員が迷惑にしてる」などと投稿した。
これに気づいたVさんは警察が相談したところ、Aさんは逮捕されるに至った。
取調べに対し、Aさんは「家族に愚痴を言う感覚で投稿してしまった。こんな大事になると思ってなかった。」と容疑を認めている。
(フィクションです)

名誉毀損罪

刑法230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

本件Aさんは、隣に住むVさんが昼夜問わずテレビを大音量で流すことに腹を立て、SNS上でVさんを頭のおかしい薬物中毒者などと罵ったようです。
本件Aの行為は名誉毀損罪にあたるのでしょうか?

まず、「公然と」というのは、摘示された事実を不特定または多数人が認識できる状態をいいます(最判昭和36年10月13日)。
不特定とは、相手方が限定されていないという意味です。
多数人とは、社会一般に知れわたる程度の人数という意味であり相当の多数であることを必要とします。

Aさんは、SNS上でVさんを、頭がおかしい薬物中毒者だと投稿しています。
SNS上の投稿は誰でもみることができますから、Aの書き込みは、不特定の人が認識できる状態にあったと言えそうです。
したがって、Aさんは「公然と」人の名誉を毀損したと言えそうです。

次に、「事実を摘示」したといえるかも問題となります。
ここでの事実とは、事実証明の対象となりうる程度に具体的であり、かつ、それ自体として人の社会的評価を低下させるような事実をいいます。

本件Aさんは、「Vが頭のおかしい薬物中毒者」と投稿しています。
頭のおかしい薬物中毒者かどうかは、真実かどうか照明の対象となりうる程度に具体的です。
また、頭のおかしい薬物中毒者と思われた場合、その人は関わってはダメな反社会的な人物であるとして、社会的評価が低下する可能性があります。
以上より、Aは、公然と事実を摘示してVさんの名誉を棄損したとして、名誉棄損罪が成立する可能性があります。

なお、名誉棄損罪の成立には、現実にAさんの発言によりVさんの名誉が棄損されたことが必要でしょうか?
この点、条文の文言からは必要であるように思われます。
しかし、被害者の名誉が現実に棄損されたかどうかの判断は非常に困難ですから、判例によれば被害者の名誉が現実に侵害される必要はありません(大判昭和13年2月28日)。

できるだけ早く弁護士に相談を

名誉毀損罪親告罪ですから、Vさんが告訴しないければAさんは起訴されません(刑法232条)。
起訴されなければ、前科がつくこともありませんから、告訴を防げるかどうかは非常に重要です。

被害者の告訴を阻止するためには、被害者に真摯に謝罪をして告訴をしないという内容の示談をまとめることが重要になります。
もっとも、加害者が直接被害者と交渉することは得策ではありません。
Vさんからすれば、Aさんは自分のことを頭のおかしい薬物中毒者などとSNS上で投稿して自分の名誉を毀損するような行為をした人物ですから、通常は強い処罰感情を有しており、謝罪すら受け入れてもらえないかもしれません。
仮に交渉に応じてくれたとしても過大な要求をされる可能性もあります。

そこで、被害者との話し合いは、示談交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と連絡を取ることに強い抵抗を感じる被害者であっても、弁護士相手であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、名誉毀損事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が示談交渉を行うことで、告訴されることを防げる可能性があります。
可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

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