滋賀県米原市の口座譲渡詐欺事件で逮捕
Aさんは、滋賀県米原市にあるV銀行で自身名義の預金口座を開設し、通帳やキャッシュカード等を受け取りました。
しかし実はその口座は、Aさんが知人であるBさんから頼まれて開設したものであり、Aさんはその口座を自分で利用するつもりは一切ありませんでした。
Aさんはキャッシュカードや通帳をBさんに渡して暗証番号なども教えることで、お礼として5万円をもらいました。
その後、Aさんのもとに滋賀県米原警察署の警察官がやってきて、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
どうやらAさんがBさんに譲渡した口座が特殊詐欺に使われ、そこから捜査の手が伸びたようです。
Aさんの家族は、すぐに逮捕に対応してくれる刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※平成31年1月24日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・譲渡するつもりで口座開設すると…
昨今、オレオレ詐欺などに代表される振り込め詐欺・特殊詐欺が話題に上ることも多く、これらの犯罪を防止しようという動きも活発になってきています。
各都道府県の警察が周知のためにホームページ上や交番等で情報を掲載したり、報道番組でこれらの詐欺事件の手口や注意点を報道したり、といった場面も多く見られます。
こうした詐欺事件は組織的に行われていることも多く、バイト感覚で行ったら実は詐欺の片棒を担がされていた、というケースも見られます。
さて、今回のAさんは、他人に譲渡する目的で銀行口座を開設し、逮捕されてしまっています。
先ほど触れたような特殊詐欺事件では、他人の口座を譲受け、それを利用して特殊詐欺を働いているというケースも多くあります。
特殊詐欺を行うことはもちろん詐欺罪に該当することですが、他人への譲渡を目的として自身の口座を作ることも詐欺罪となってしまうのでしょうか。
まず、そもそも、金融機関では、口座を他人に譲渡することや、他人がその口座を利用することについては、利用規約などで禁止していることがほとんどです。
上記で例としてあげた特殊詐欺などに利用されてしまうことが考えられるほか、銀行にしてみればその人を信用して口座を開設するわけですから、その人本人が利用するのかどうかは大切なことなのです。
ですから、他人に口座を譲渡することを隠して預金口座を開設するということは、銀行からすれば口座を開設するかどうかに関わる重要な事項を偽られているということになるのです。
ここで、詐欺罪の条文を確認してみましょう。
刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪の「人を欺いて」というのは、財物を交付する際に交付するかどうかを判断する重要な事柄を偽るということを指します。
先述のように、銀行は他人にその預金口座を譲渡するという目的を知っていれば、預金口座を開設して通帳やキャッシュカード=財物を渡すということはしないでしょう。
ですから、今回のAさんのように、預金口座を他人に譲渡する目的で開設し、通帳やキャッシュカードを受け取るという行為は、銀行に対する詐欺罪に該当すると考えられるのです。
なお、もしもAさんが、譲渡した口座が特殊詐欺に使用されることを知っていたり、そもそも特殊詐欺の計画を一緒に立てて口座を調達する役割を負っていたりするような場合には、銀行に対する詐欺罪だけでなく、特殊詐欺の共犯として、特殊詐欺の被害者に対する詐欺罪についても問われてしまう可能性があります。
・口座譲渡詐欺事件の弁護活動
今回のような口座譲渡詐欺事件の場合でも、詐欺行為の被害者が存在するため、まずは被害者である銀行への被害弁償や謝罪が必要となってくるでしょう。
また、こうした口座譲渡詐欺事件では、特殊詐欺事件の方への関与も疑われ、逮捕や勾留といった身体拘束をともなっての取調べが行われることが予想されます。
組織的詐欺であれば、証拠隠滅のおそれもあると判断され、逮捕・勾留の可能性が高まると同時に、家族であっても面会を禁止される可能性が出てきます。
こうした場合には、取調べへの対応を逐一確認しながらの受け答えや、身柄解放活動や接見禁止の一部解除を目指した活動が重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、口座譲渡詐欺事件を含む詐欺事件のご相談も多く承っています。
弊所の初回接見サービスでは、お申込みから24時間以内に弁護士が派遣されるため、最短即日での対応も可能です。
口座譲渡詐欺事件の逮捕にお困りの際は、まずは弊所弁護士までご相談ください。
(滋賀県米原警察署までの初回接見費用:3万9,960円)