酒に酔った男がタクシーの運転手を殴り現行犯逮捕

酒に酔った男がタクシーの運転手を殴ったとして逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。
事例
京都府亀岡警察署は今年3月15日、京都府亀岡市に住む医師の男(48)を現行犯逮捕したと発表しました。
男は3月15日未明、京都府亀岡市の路上で、50代のタクシー運転手の頭部を数回殴る暴行を加えた疑いが持たれています。
運転手にけがはありません。
同署によりますと、男は飲み会の帰宅途中に利用したタクシー運転手と口論になり、後部座席から運転手の頭部を数回殴ったということです。
近くを通った男性から「男がタクシーの運転手を殴っている」と110番通報があり、暴行が発覚しました。
警察官が現場に駆け付けたところ、通報した男性が男を確保していたということです。
男は酒に酔った状態で、調べに対して「何も覚えておりません」と話しているということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
人を殴ったら何罪になる?
人を殴った場合は、通常、暴行罪か傷害罪が成立することになるでしょう。
暴行罪(刑法第208条)とは他人に暴行を加え、その他人を傷害するにいたらなかった場合に成立します。
刑罰は2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料です。
一方、傷害罪は(刑法第204条)は他人に暴行を加え、その他人に傷害を負わせた時に成立します。
刑罰は15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金で、暴行罪より重い処罰が科せられます。
また意図していた犯罪以上に重い結果が発生した場合、重い結果の犯罪に該当することを結果的加重犯と呼びます。
例えば相手に傷害を負わせる意図がなく暴行をした末、結果的に相手が傷害を負った場合には傷害罪が成立し、さらに重い結果として相手が死亡した場合には、傷害致死罪が適用されることがあります。
泥酔状態で暴行をした場合の責任能力は?
泥酔した状態で暴行をした場合の刑事責任能力はどのようになるのでしょうか。
刑法第39条1項には心神喪失者(責任能力を欠く場合)の行為は、罰しないと規定されています。
心神喪失とは精神障害により物事の善悪を判断する弁識能力がなく、この弁識に従って行動する能力がない場合をいいます。
同じく刑法第39条2項には心神耗弱者(責任能力が限定される場合)の行為は、その刑を減軽するとあります。
心神耗弱とは精神障害により善悪を判断する弁識能力が欠如する程度に達してないものの、その能力が著しく減退する状態をいいます。
この心神喪失と心神耗弱に該当する酩酊状態が以下の異常酩酊になります。
酩酊状態には大きく分けて2種類あります。
普通(単純)酩酊:一般的な酔い方で、特に異常な興奮や幻覚がなく、血中アルコール濃度が徐々に高くなっていく過程が6つのステップで分かれています。
一方、心神喪失と心神耗弱に該当する異常酩酊はさらに分けて病的酩酊と複雑酩酊があります。
病的酩酊は意識障害が認められ、幻覚や幻聴などの症状が現れます。
複雑酩酊はいわゆる「酒乱」と呼ばれており、お酒を飲むと人格がかわったようになり、粗暴や異常な興奮がみられます。
病的酩酊は心神喪失、複雑酩酊は心神耗弱が認められる可能性があります。
しかし病的酩酊、複雑酩酊と判断されたとしても、その行為者の犯行時の飲酒状況、日ごろからの飲酒状況、その犯行時の事情を総合的に検討した上で責任能力を判断するべきといわれています。
今回の事例では男はタクシーの運転手の頭部を数回殴る暴行をしておりますが、相手に傷害を負わせておりませんので、暴行罪が該当するでしょう。
また犯行に関して「何も覚えていない」と供述していますが、もし以前からの自身の飲酒の態度や影響などを認識していたにもかかわらず事件を起こしてしまった場合は、未必の故意と判断され、責任能力は認められるでしょう。
暴行罪で逮捕されてしまったら
今回の事例の男は医師のため医師法第4条、同法第7条1項に規定されているように、罰金以上の刑に処せられた場合は、戒告、三年以内の医業の停止、免許の取消しになる場合があります。
そのため不起訴を目指す弁護活動が重要になってくると考えられます。
不起訴や減刑を目指すのであれば、被害者との示談交渉は大きな一歩となるでしょう。
示談交渉をする際、検察から被害者の情報は行為者には開示してもらえない可能性が高いため、代わりに示談交渉をしてくれる経験豊富な弁護士が強い味方になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、多くの刑事事件を取り扱ってきた実績があります。
被害者と示談したいなどとお考えの方はフリーダイヤル:0120―631―881までお気軽にお問合せください。
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