【名誉毀損罪(刑法230条)】
1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2項
死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
【侮辱罪(231条)】
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若し
*令和4年7月7日の法改正で重くなっているので注意してください。
1.名誉毀損罪はどのような犯罪ですか?
名誉毀損罪は、公然と人の名誉を毀損するような事実を摘示することにより成立する犯罪です。
この犯罪は、事実の摘示によって人の社会的評価を低下させる行為を処罰するものです。
そして、この社会的評価を低下させたかどうかを立証することは非常に難しいといえます。
そこで、この犯罪は、被害者の方の社会的評価を低下させるに足る事実を公然と摘示すれば名誉毀損罪が成立し、現実に名誉が侵害されたことは必要ないと解されています。
ここで、「人の名誉」とは、人に対する積極的な社会的評価をいいます。
この「人」には、法人等の団体も含むと解されています。
また、「公然と」とは、摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいいます。
2.名誉毀損罪Q&A
①名誉毀損罪があるため、政治家を痛烈に批判するようなことができなくなり、表現行為をするのに躊躇・萎縮することになりませんか?
人の名誉の保護と表現の自由の調整を図るため、下記のような特例があります。
公共の利害に関する事実で、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合で、適示した事実が真実であることの証明があったときには罰せられません。
また、事実を真実だと思った場合(真実性の誤信)には、「確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるとき」は犯罪の故意がなく名誉棄損罪は成立しないと考えられています。
②SNSに私の名誉を毀損するような書込みがあったのですが、何か方法はありませんか?
名誉棄損に当たる事実を含む情報をSNSに書きこんだ者には、名誉毀損罪が成立します。
放置していれば、どんどん拡散してゆくので早急に対策が必要です。
具体的には、
- 加害者本人や管理会社に削除・訂正を要請する
- 加害者本人に対して損害賠償請求をする
- 刑事告訴をする
などの方法が挙げられます。
名誉毀損罪は、親告罪といって告訴がなければ起訴することができません。
名誉毀損罪の告訴期間は、犯人を知った日から6か月以内に限定されています。
ここでいう「犯人を知った」とは、犯人が誰であるか特定できたという意味です。
犯人の氏名や住所を知らなくても、犯人が特定できたら犯人を知ったことになり、告訴期間が起算されます。
なお、下級審の裁判例ですが、「インターネット上の名誉棄損的行為に関し、インターネット上の名誉毀損的事実適示の存在を知ったが、実際に告訴をしたのはその時から6か月を超えた時点であった」という事例に関し、犯人がホームページの管理者に名誉棄損的記事の削除を申入れた時点で被害発生の抽象的危険が解消されることにより初めて名誉毀損罪は終了するとして、名誉毀損的事実摘示の存在を知った日から6か月を超えていたとしても、犯罪終了時から6か月以内の告訴であるため適法であるとしたものがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、自分の名誉を害した人をどうにかして罰してもらいたいとお考えの方に対しても、豊富な知識・経験に基づいて法的なアドバイスをさせていただいております。
3.侮辱罪はどのような犯罪ですか?
事実を摘示しないで、公然と人を侮辱したことが求められます。
事実を摘示した場合が名誉毀損罪であるのに対して、事実を摘示しなかった場合が侮辱罪であると考えられています。
名誉毀損罪と同じく「人」には法人も含まれます。
なお、侮辱罪も親告罪とされているため、起訴するためには被害者の告訴が必要な犯罪です。
名誉毀損事件・侮辱事件における弁護活動
1 告訴の取下げ
名誉毀損罪・侮辱罪の大きな特徴としては、親告罪であるということが挙げられます。
被害者による告訴を取り下げてもらうことが出来れば、裁判にかけられることを防ぐことが出来ます。
したがって、前科が付くということもありません。
このような親告罪の場合には、被害者との示談を成立させ、告訴を取り下げてもらうことが重要です。
示談が成立していれば、民事裁判で損害賠償請求されることも回避できます。
2 名誉毀損罪・侮辱罪不成立の主張
名誉毀損行為・侮辱行為をしていないにもかかわらず、捜査機関に逮捕されたり取調べを受けたりしている場合、弁護士は捜査機関の見解が十分な事実や証拠に基づくものではないこと、あるいは客観的な証拠に基づいて名誉毀損罪・侮辱罪が成立しないことを主張し、不起訴処分・無罪判決を得られるように活動します。
また、名誉を毀損すべき事実の適示が、免責の対象となり得る場合には、その適示した事実が、専ら公益のために行われたもので、公共の利害にかかわるものであり、真実であることを、証明できるよう証拠の収集や主張を行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。
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