事件
Aさんは京都市左京区にある工事を請け負う会社で働いています。
ある日、Aさんは公務員であるCさんから工事の依頼を受け、工事を行いました。
工事にかかった費用は、工事前にAさんが出した見積もりよりも多くかかっていましたが、見積もり段階で安くしてしまったのは会社側のミスだったので、AさんはCさんに見積もり通りの金額を請求することとしました。
その後、京都府下鴨警察署の警察官は、AさんがCさんに対して請求した工事費用が実際にかかった工事費用よりも安いことに気が付き、Aさんが公務員であるCさんから何かしらの利益を受け取っているのではないかと疑いました。
以降、Aさんは京都府下鴨警察署の警察官から贈賄罪の容疑をかけられ、任意で取調べを受けることになりました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
事件解決のながれ
Aさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士の相談を受ける数日前から警察の捜査を受けており、連日にわたって長時間の取調べを受けていました。
取調べから解放されたかったAさんは、警察官に誘導されるまま事実とは異なる内容を供述し、その調書に署名押印をしてしまっていました。
Aさんは、弁護士との相談の中で、弁護士から、取調べでは自身の認識を正しく伝えることの重要さや、被疑者として取調べを受ける際の権利、例えば、取調べの途中に帰ってもいいことや、調書への署名押印を拒否できること、調書を訂正できることを聞き、今後の取調べの対応にいかし、きちんと自身に贈賄の意思はなかったことを伝えていくことにしました。
加えて、Aさんやそのご家族は連日の警察の取調べに対して強い不安を感じていたため、弁護士は、Aさんの取調べに同行し、Aさんに取調べのアドバイスなどを行うとともに、警察官に対して弁護士が選任されている旨などを伝え、適切な取調べを求めました。
また、Aさんが誘導に乗って作成してしまった供述調書が存在することから、弁護士は、その後の刑事手続きも見据え、Aさんの本来の主張である、贈賄をしたわけではないという主張を聞き取ってまとめ、証拠として提出できるよう準備を整えておきました。
その後も、弁護士はAさんと打合せを重ねながら、Aさんに対して適宜取調べ時のアドバイスを行いました。
こうした弁護活動の結果、警察官はAさんに対して口頭での注意に留める判断をし、今回のAさんの事件は書類送検されずに終了することとなりました。
刑事事件が送検(検察官のもとへ事件が送られる)された場合は、検察官がその刑事事件について起訴、不起訴の判断を行うことになります。
起訴されてしまった場合、有罪になる確率が圧倒的に高くなります。(日本では起訴された事件の99%以上が有罪になっています。)
つまり、起訴されるということは高確率で前科がつくということになるので、前科を避けたいという場合には、不起訴処分を求めたり、そもそも送検されないよう微罪処分などを求めたりすることが考えられます(なお、微罪処分は限られた犯罪・犯情のものにしか適用することはできません。)。
そして、送検された後も捜査が終わるわけではなく、送検後は検察官が捜査を行うことになります。
加えて、起訴、不起訴の判断がすぐにされるわけではないので、判断をされるまでは取調べ等の出頭に応じる必要があります。
一方で、今回の事例のように、送検されずに事件が終了した場合は、検察官が判断を行う前に事件が終了しますので、今後起訴されることや取調べを受けることはありません。
送検された場合とされなかった場合では、後者の方が事件収束に要する期間が短いので、当事者の方やそのご家族にかかる負担を軽減できることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
今回の事例のように取調べで事実と異なる調書が作成された場合など、取調べでお困りのことがございましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
その他、刑事事件でお困りの方もお気軽に弊所までご相談くださいませ。