~事例~
リフォーム工事を依頼した際に知り合った工務店の営業マンにストーカー行為をしたとして、長岡京市の49歳の会社員が警察に逮捕されました。
(※2022年9月26日20:00NHK NEWS WEB配信記事より引用)
(中略)容疑者はことし7月、長岡京市の工務店に勤務する男性にショートメッセージを送るなどしてつきまとったとして、ストーカー規制法違反の疑いが持たれています。
(中略)
調べに対し、メッセージを送ったことは認める一方、「恋愛感情はなかった」などと供述し、容疑を否認しているということです。
男性の職場には汚物で「しね」と書かれた匿名の手紙や、注文していない「めんたいこ」が着払いで送りつけられるなどの嫌がらせが続いていたということで、警察が関連を捜査しています。
~嫌がらせとストーカー行為~
今回の事例では、ショートメールを送信するなどしてつきまといを行ったとして、ストーカー規制法違反の容疑で容疑者が逮捕されています。
このほか、被害者の勤務先に嫌がらせが続いていたということで関連が捜査されているということのようです。
今回報道されている内容では、容疑者の逮捕容疑はストーカー規制法違反という犯罪になっています。
ストーカー規制法は、その名前の通り、ストーカー行為を規制する法律です。
ストーカー規制法で規制されているストーカー行為とは、物理的に周囲をつきまとうことのほか、メールや電話などによって接触すること等を繰り返し行うことを指します。
そして、そのつきまとい行為やストーカー行為は、単に周囲をうろついたりメールなどを送信したりすることだけでなく、その行為が「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行われることが必要です(ストーカー規制法第2条第1項)。
すなわち、単に嫌がらせ目的で特定の人物に拒否されても周囲をうろついたりメールを送信し続けたりといった行為をしていた場合には、たしかに一般にイメージされるストーカー行為のように思えますが、ストーカー規制法の中の「ストーカー行為」とはいえないということになります。
では、嫌がらせ目的で周囲を付けまわしたり電話やメールを繰り返したりした場合には罰せられないのかというと、そうではありません。
「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」以外の目的でこうしたつきまとい等を繰り返した場合には、各都道府県の迷惑防止条例違反として処罰されるケースが多いです。
京都府でも、京都府迷惑行為等防止条例によって、ストーカー規制法違反にならない範囲のつきまとい等の処罰を定めています(京都府迷惑行為等防止条例第6条)。
このように、同じ様に見える行為であっても、目的がどういったものなのかということによって、成立する犯罪が変わります。
今回の事例では、逮捕容疑がストーカー規制法違反となっていることから、捜査機関としては、容疑者の嫌がらせ行為の目的が「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」であると考えているのでしょう。
しかし、報道によれば、容疑者はその目的ではないと供述しているようですので、そうなれば、ストーカー規制法違反ではなく迷惑防止条例違反となる可能性もあるということになります。
さらには、嫌がらせの態様によっては、刑法などの他の法律による犯罪が成立する可能性もあります。
もちろん、詳細な事情によっては犯罪自体が成立しないということもあります。
今回取り上げた事例に限らず、刑事事件や犯罪の成立には細かな検討が必要ですから、詳細をきちんと把握して刑事手続に対応するためにも、早い段階から弁護士に相談して専門的な部分も説明してもらうことをおすすめします。
ストーカー規制法違反や嫌がらせによる迷惑防止条例違反の容疑をかけられている場合、被害者との接触のリスクから、逮捕・勾留などの身体拘束を受けた上で捜査されるというケースも少なくありません。
逮捕・勾留によって身体拘束された状況下では、家族などにも自由に会えず、事件について相談することも満足にできないため、心細く感じられる方も多いでしょう。
だからこそ、早い段階で専門家のサポートを受けることが望ましいといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕された方向けの初回接見サービスを受け付けていますので、ストーカー規制法違反事件や迷惑防止条例違反事件など、嫌がらせから刑事事件に発展して逮捕されてしまったという場合でも、すぐにご相談いただけます。
まずはスタッフがご案内いたしますので、0120-631-881までお問い合わせください。