【事例紹介】インターネットを通じたわいせつ電磁的記録媒体陳列罪で逮捕

京都府警察本部少年課と京都府右京警察署が、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪、児童ポルノ禁止法違反で男性を逮捕した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警少年課と上京署は25日、わいせつ電磁的記録媒体陳列と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的所持)の疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)女性のわいせつ動画など16点をインターネットの動画共有サービスに保存し、自身の運営するネット掲示板に閲覧用のパスワードを投稿し、不特定多数が見られる状態にした疑い。
(中略)ネット利用者に提供する目的で、児童ポルノ動画など8点を所持した疑い。
男は「児童ポルノは提供目的で持っていたのではない」と容疑を一部否認している。
(後略)

(10月25日 京都新聞「女性のわいせつ動画をネット公開、児童ポルノ動画も所持 容疑で男を逮捕、1500万円収入」より引用)

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪を大まかに説明すると、わいせつな電磁的記録媒体を公然に陳列した場合に適用される犯罪です。
電磁的記録や公然陳列など耳慣れない言葉があると思いますので、用語の意味から確認していきましょう。

刑法で規定する電磁的記録とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいいます。(刑法第7条の2)
また、公然陳列とは、不特定多数の人が見れるような状態にすることをいいます。

では、今回の事例の男性の行為はわいせつ電磁的記録媒体陳列罪にあたるのでしょうか。

知覚によって認識できない記録は電磁的記録になるので、動画は電磁的記録に該当します。
男性はわいせつな動画をインターネット上の動画共有サービスに保存しているので、動画共有サービスが使用しているサーバーにわいせつな動画を保存したことになります。
サーバーは記録媒体にあたりますので、男性が動画を保存したサーバーはわいせつ電磁的記録媒体だといえます。

男性はインターネット上の動画共有サービスのサーバー内にわいせつ動画を保存し、掲示板にパスワードを投稿することで、不特定多数の人がサーバーにアクセスし、わいせつ動画を見れる状態にしていました。
前述したように、不特定多数の人が見れる状態にすることを公然陳列といいますので、男性の行為とされているものが事実であれば、公然陳列に該当すると考えられます。

報道の内容が事実であれば、男性はわいせつな動画(わいせつ電磁的記録)を不特定多数の人が見れる状態(公然陳列)にしていたので、男性の行為は公然わいせつ電磁的記録媒体陳列罪にあたります。
わいせつ電磁的記録媒体陳列罪で有罪になった場合は、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金または懲役刑と罰金刑が併科されます。(刑法第175条1項)

児童ポルノ

児童ポルノとは、写真や電子的記録に係る記録媒体等で、児童(18歳未満)の以下のような姿を撮影しているものを指します。(児童ポルノ禁止法第2条3項)
1、児童相手の性交や性交類似行為
2、他人が児童の性器を触っている姿、児童が他人の性器を触っている姿で性的興奮を生じさせるもの
3、全裸または服の一部を着ていない状態で性的な部位が露出、強調されていて性的興奮を生じさせるもの

児童ポルノの所持と提供

児童ポルノは所持しているだけでも児童ポルノ禁止法違反の罪に問われることになります。(児童ポルノ禁止法第3条の2)
児童ポルノを所持していることで有罪になった場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。(児童ポルノ禁止法第7条1項)
また、児童ポルノを提供する目的で所持または提供した場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。(児童ポルノ禁止法第7条2項、同条3項)
加えて、児童ポルノを不特定多数の者に提供し、または公然と陳列した場合、もしくはその目的で所持した場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金または懲役刑と罰金刑の併科となります。(児童ポルノ禁止法第7条6項、同条7項)

以上のように、提供目的で児童ポルノを所持していた場合は、単純に所持していただけの場合に比べて科される刑罰が格段に重くなっています。

今回の事例では、男性は児童ポルノ動画など8点を所持していたと報道されています。
所持しているだけでも児童ポルノ防止法違反になるので、男性は少なくとも所持に関して、児童ポルノ禁止法違反の罪に問われることになるでしょう。

また、容疑者の男性は「提供目的で持っていたのではない」と否認していますが、仮に提供目的の所持であると認められた場合には、3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科されることになります。
加えて、容疑者の男性がわいせつ動画と同様に児童ポルノ動画もインターネット上で不特定多数の人間が見られるようにする目的で所持していた場合は公然陳列にあたりますので、より重い刑罰が科されることになります。

今回の事例では、容疑者の男性は提供目的での所持を否認しているので、否認事件になります。
否認事件では取調べ時の対応などが重要になってきますから、弁護士のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。

加えて、逮捕・勾留の伴う身柄事件の場合は、早期の弁護活動が重要になります。
わいせつ電磁的記録媒体陳列罪や児童ポルノ禁止法違反で逮捕された場合は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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