自白と自首は違う?
自白と自首は違うのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
〜事例〜
Aさんは、京都市西京区に住んでいる21歳の大学3年生です。
Aさんは、小遣い欲しさに振り込め詐欺グループの募集していた闇バイトに応募しました。
そして、振り込め詐欺グループから渡された通帳やキャッシュカードを利用してATMからお金をおろすと、そのお金を振り込め詐欺グループに渡して報酬をもらうという、いわゆる「出し子」の役割をしていました。
Aさんがこうした闇バイトを開始してしばらくした頃、いつも通りにATMでお金をおろそうとしたAさんの元に、京都府西京警察署の警察官がやってきて、Aさんは職務質問を受けました。
どうやら過去の出し子行為の際にATMの防犯カメラなどに映っていた映像をもとに捜査が進められ、Aさんに目星がつけられていたようでした。
Aさんは、警察官に問い詰められて出し子行為を認めて自白し、京都府西京警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんは、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に、「職務質問の時点で認めて自白したのだから、自首したことになって罪が軽くならないか?」と相談しました。
(※この事例はフィクションです。)
・自首は必ず罪が軽くなる?
多くの方が「自首をすれば罪が軽くなる」というイメージをお持ちなのではないでしょうか。
刑事事件をモチーフにしたドラマや映画などでも、「自首して罪を軽くしよう」といった話が出ることもあります。
しかし、こうしたイメージに反して、実は自首をしたからといって必ず罪が軽くなるというものではありません。
刑法第42条第1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
刑法に定められている自首は「その刑を減軽することができる」となっているため、あくまで刑の減軽は任意的なものであることがわかります。
ですから、自首が成立したからといって必ずしも刑罰が軽くなるというわけではないのです。
ですが、自首をするということは、自発的に罪を認めて出頭するということですから、反省の度合いが深いことなどを表すことにつながり、刑の減軽を主張するために有利な事情になることに違いはありません。
・自白と自首は違うもの?
では、今回の事例のAさんのように、職務質問などをされてその場で罪を認めて自白したというようなケースは「自首」とならないのでしょうか。
自首の条文を見てみると、「捜査機関に発覚する前に」「自首」することが自首成立の要件となっています。
これは、犯罪の事実が捜査機関に発覚していない場合、もしくは犯罪の事実は捜査機関に発覚していてもその犯人が誰かは捜査機関に発覚していない場合(「捜査機関に発覚する前に」)に、自発的に自己の犯罪事実を申告して訴追を求めること(「自首」)を指しています。
この自首成立のための条件を考えると、職務質問で警察官から声をかけられ、その末に自白したような場合には、刑法上の「自首」が成立する可能性は低いと考えられます。
今回のAさんのような職務質問で自白に至った場合はもちろん、警察署に任意同行されて取り調べを受けそこで自白した場合、警察から取り調べのための呼び出しを受けて出頭し自白した場合なども刑法上の「自首」には当たらないでしょう。
自ら罪を認めるという点では「自白」も「自首」も重なるところがあるかもしれませんが、法律上は意味が異なるものとなっています。
刑事事件では、一般に知られた言葉でも法律上の意味は一般に浸透していないこともあります。
だからこそ、刑事事件の当事者になってしまったら、専門家である弁護士に早い段階で相談・依頼し、手続きや意味について早期に理解しておくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が逮捕された方向けの初回接見サービスもご用意しています。
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