威力業務妨害罪について①

威力業務妨害罪について①

サイバー犯罪をする男性

今回は、インターネットの掲示板に虚偽の爆破予告をした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市右京区在住のAさんは、世間から注目されたいと思い、インターネットの掲示板に「A中学校に爆弾を仕掛けた。」という書き込みをしました。
書き込みを見た人が通報したことで、A中学校は安全を確保するためにその日は休校となり、警察が爆発物の捜索を行いましたが、爆発物は設置されていませんでした。
Aさんはどのような罪となるのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

Aさんはどのような罪となるのか

Aさんの行為は、威力業務妨害罪が成立すると考えられます。

威力業務妨害

威力業務妨害罪とは、威力を用いて人の業務を妨害するおそれのある行為をした場合に成立します。
条文にはこのように記載されています。

威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条による。
(刑法234条)

前条とは刑法233条のことを指します。
刑法233条は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処すると規定しています。

威力

威力業務妨害罪における威力とは、人の意思を制圧するような強い力や勢いの事をいいます。
暴行・脅迫行為の他に、団体の力を誇示したり、騒いだり、物を損壊することも威力と言えます。

実際にどのような行為が該当するのでしょうか。
例をあげると
・インターネットの掲示板に爆破予告の書き込みをする行為
・店の店員等に暴行や脅迫する行為
・大声で怒鳴ったり騒いだりする行為
・毎日、執拗なクレームを繰り返す行為
・殺害予告などの参考予告をする行為
等の行為によって業務を妨害するおそれが生じれば威力業務妨害罪が成立することとなります。

このように、威力を用いて人の業務を妨害するおそれのある行為を行い有罪判決となれば、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金となってしまうでしょう。

偽計と威力の区別

偽計と威力は、どちらも業務妨害の手段として用いられるものになります。
偽計とは、「人を欺く」「人を錯誤させて利用する」「計略や策略を講じる」等、威力以外の不正な手段の事をいいます。

偽計の例をあげると
飲食店に大量の注文や嘘の注文をする
店舗に対して根拠のない悪評や嘘の情報を流す
等の行為を行い、相手の業務を妨害するおそれを生じさせることで偽計業務妨害罪が成立するでしょう。

つまり、業務妨害罪における偽計は、「虚偽の情報を流す」「相手を騙す」「勘違いさせる」等の威力にあたらない行為により業務を妨害することで、威力は、「暴行」「脅迫」「威嚇」等の行為により業務を妨害する危険性を生じさせることを指します。

事例の検討

Aさんは、インターネットの掲示板に虚偽の爆破予告の書き込みをおこなっています。
この行為は、A中学校の生徒の安全を確保するために休校の措置を取らせているため、学校の業務を妨害した(業務を妨害するおそれを生じさせた)といえるでしょう。
事例の爆破予告は、虚偽とはいえ、実際に爆破行為が行われてしまうと、多数の死傷者や物が破壊されてしまうことから、A中学校関係者に恐怖心を抱かせて、その意思を制圧するに足りる強い力を示したと判断されて、Aさんには、威力業務妨害罪が成立すると思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では無料法律相談を行っています。
威力業務妨害罪で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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