不正乗車を繰り返した男を逮捕

不正乗車を繰り返した男を逮捕

改札

不正乗車を繰り返したとして逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。

事例

京都府下京署は、今年1月23日、不正乗車などを繰り返していたとして、自営業の男を鉄道営業法違反の容疑で逮捕いたしました。
同署によりますと、この男は今年1月20日、大阪に出張先に行く際、京都駅から大阪駅までの特急列車の特急券を買わずにグリーン車に乗車し、電車を降りる際、不審な動きをしているところを駅員に呼び止められ、逃亡しようとしたところを駅員に取り押えられました。
取調べの中で男は、不正乗車を「一度成功したのが癖になり、何度も繰り返し行ってしまった」と述べ、過去20回程度繰り返し行った損害額は15万円程になるとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

不正乗車はどんな罪になる?

不正乗車とは、鉄道をはじめとして旅客輸送の旅客利用する際に本来定められた乗車券などを持たずに、運賃を不正に免れようとする行為のことをいいます。

事例の男は京都駅から大阪駅までグリーン車を利用したようですから、東海旅客鉄道株式会社が運送する鉄道を不正に利用したと考えられます。
東海旅客鉄道株式会社では、不正乗車について旅客営業規則第264条1項に規定しており、下記に該当する不正乗車を行った場合、乗車駅からの区間に対する普通旅客運賃と、その2倍以上に相当する額の増運賃を請求されるため、未払の通常料金と合わせて3倍以上の運賃を支払うことになります。

①係員の許諾を得ずに乗車券を持たずに乗車した場合
②改札を通らず、または不正に通り乗車した場合
③無効な乗車券で乗車した場合
④検札に応じない、または乗車券の回収に応じない場合
⑤定期券を利用して他の区間を利用した場合

適切な乗車券を持たずに不正乗車をした場合、基本的には鉄道営業法違反(第29条)が適用になるでしょう。
罰則規定は2万円以下の罰金又は科料です。
また、不正乗車を目的にした鉄道施設への立ち入りを軽犯罪法違反として摘発する場合があります。
罰則は拘留(1日以上30日未満の期間)または科料(1,000円以上1万円未満の金銭を支払う刑)です。
これらの刑は軽いと考えがちですが、有罪になった場合は前科となり、将来に影響を与える可能性があります。

加えて常習性があったり、損害額が高額、証拠隠滅を図るなど、悪質性が高いと判断される場合などは、鉄道営業法違反ではなく、以下のような犯罪が適用される可能性があります。
詐欺罪(第246条):10年以下の拘禁刑
電子計算機使用詐欺罪(第246条の2):10年以下の拘禁刑

今回の事例では不正乗車を意図して20回程度繰り返しているため常習性があると判断される可能性が高く、損害額も数百円ではなく10万円以上と高額です。
また逃亡をしようとしたことが要因になり逮捕にいたりました。
初動の容疑は鉄道営業法違反ですが、取調べにより、鉄道営業法違反ではなく、より重い刑罰が規定されている詐欺罪電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性があるでしょう。

不正乗車で逮捕されてしまったら

不正乗車が発覚した場合でも、逮捕される可能性はそこまでは高くなく、損害金を鉄道会社に支払いをすれば、警察に通報されず事件化なしで終了する場合もあるようです。
しかし、今回の事例のように悪質性が高いと判断されると警察に通報され、逮捕、ことによっては検察に送致され起訴される場合もあるでしょう。

不起訴処分を獲得して前科を避けたい、起訴されても量刑を少しでも軽くしてほしいといった場合は、鉄道会社と示談締結をしてもらい、捜査機関や裁判所に働きかけてもらうために弁護士に刑事弁護活動を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した弁護士がお困り事をお聞きし、丁寧にご説明いたします。
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