外国人事件・外国人犯罪

1.外国人事件・外国人犯罪での注意点

外国人の方の事件・犯罪でもっとも注意すべきことは、「在留資格」との関係です。

つまり、事件の処分が終了した後、日本に滞在することが可能かどうか、という点です。

刑事裁判の結果が在留資格にどのような影響を与えるかについては出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)に規定があります。

入管法24条に退去強制事由が列挙されていますが、この中に刑事裁判の有罪判決を受けた場合の規定も含まれており入管法上の手続きにより退去強制手続き(いわゆる「強制送還」)に付されます。

法文上は、有罪判決が退去強制に結びつくのは、1年を超える実刑判決である場合が原則とされています。

しかし、薬物犯の場合等は執行猶予付き懲役刑であっても、判決の確定とともに退去強制になります。

なお、不法滞在の場合は、たとえ不起訴、罰金、執行猶予付き有罪判決が出たとしても、入管法職員に引き渡され、直ちに入管の施設に収容されます。

【退去強制事由の例】

 刑事事件の判決確定の要否等
不法残留不要
売春関係業務への従事不要
無期または1年を超える懲役もしくは禁錮に処せられた者刑事事件の判決確定は必要(執行猶予の言渡しを受けた者を除く)
旅券法上の刑罰法令有罪判決(執行猶予を含む)の確定が必要
入管法上の刑罰法令(集団密航等)有罪判決(執行猶予を含む)の確定が必要
入管法上の刑罰法令(資格外活動等)禁固以上の刑(執行猶予を含む)の確定が必要(「専ら」の要件を満たさない場合)
資格外活動「専ら」行っていると明らかに認められる者刑事事件の判決確定の確定は不要
薬物関係刑罰法令(麻薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、麻薬特例法等)有罪の判決(執行猶予も含む)の確定が必要
暴力行為等処罰に関する法律1条、1条の2、1条の3(刑法の脅迫罪・器物損壊罪に係る部分を除く)懲役又は金庫の有罪判決(執行猶予を含む)の確定が必要
盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪懲役又は金庫の有罪判決(執行猶予を含む)の確定が必要

※刑事事件の判決の確定が不要な退去強制事由に該当する場合、刑事事件で執行猶予判決を受けた後、判決の確定を待たず、入管に移送されて退去強制手続きが始まります。

2.外国人事件・外国人犯罪Q&A

①退去強制事由に該当した場合、送還は避けられないのですか?

必ずしもそうではありません。

ハードルは極めて高いですが、在留特別許可(入管法50条)が得られると強制送還を避けることができます。

また、被疑者・被告人の方が本国で政治的な弾圧を受けている場合には、「難民認定」を受けることが可能な場合もあります。

②外国人の場合、保釈を得ることは難しいですか?

実際に保釈請求を行う際は、事実上、日本人の場合より高いハードルが要求されることが多いです。

また、被告人に在留資格がない場合のみならず、在留資格があったものの被疑事実の内容自体が退去強制事由に該当するような場合(EX.売春防止法)には、仮に保釈請求が認められたとしても、別途、入管法上の退去強制手続きによる身体拘束が開始してしまいます。

よって、あらためて入管に対して仮放免(入管法の保釈のようなもの)の申請を行って許可を得る必要があります。

また、仮放免において要求される保証金は、刑事手続きにおける保釈保証金とは別に用意しなくてはならないので注意を要します。

外国人事件の弁護活動のポイント

外国人事件は、通常の刑事事件と比べ、在留資格との関係で、入管法上の問題が常につきまとってきます。

外国人事件でお悩みの場合には、直ぐに弁護士に相談し、適切な弁護活動と説明を受けることが重要です。

弁護士は、当人が日本へ今後も在留したいのか、そうではないのか等の当人の希望を聞いたうえで、今後の見通しや対応について、しっかりと説明します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。

 

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