1.DV防止法とは?
配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的とする法律です。
2.「配偶者からの暴力」とは?
(1)「配偶者」
- 男性、女性を問いません。
- 事実婚が含まれます。
- 元配偶者(離婚前に暴力を受け、離婚後も引続き暴力を受ける場合)が含まれます。
- 生活の本拠を共にする交際相手、元生活の本拠を共にする交際相手も含まれます。
Q&A
①配偶者の浮気が発覚して離婚した女性が、勤務先からの帰途に元夫に待ち伏せされて暴力を振るわれた場合にDV法が適用されますか?
DV防止法の対象とはなりません。
離婚前に暴力を受け、離婚後も引続き暴力を受ける場合に対象となるからです。
但し、ストーカー規制法で対応することは可能です。
②単なる婚約者で同棲に至らない交際相手からの暴力は対象とされますか?
DV防止法の対象とされません。
あくまで、生活の本拠を共にする交際相手が対象となります。
③「事実婚」と「生活の本拠を共にする交際相手」の違いは何ですか?
「婚姻意思」「共同生活」「届出」のうち、「届出」がないものが「事実婚」、さらに「婚姻意思」も認められない「共同生活」のみを送っている場合を「生活の本拠を共にする交際相手」と一般的に言われています。
なお、「婚姻意思」の有無については、挙式をしたこと、同じ住居に住民票の届出がなされていること、表札の掲示、外部的な表示、家計の共通等を考慮することになります。
④「暴力」には、精神的・性的暴力も含まれますか。
身体的暴力のみならず、精神的・性的暴力も含まれます。
但し、保護命令の申立て(下記説明を参照)は、身体に対する暴力または生命等に対する脅迫のみ対象となります。
「身体に対する暴力」とは、一般的には刑法上の暴行罪・傷害罪にあたる行為をさすと解されています。
一方、生命等に対する脅迫とは、脅迫罪に該当するもののうち、生命・身体に対し害を加える旨を告知して行われるもので、「殺してやる」「殴ってやる」などが具体例として挙げられます。
3.被害者の対応策
(1)相談したい⇒配偶者暴力相談支援センター、警察への相談
(2)自立して生活したい⇒自立支援
(3)配偶者から逃れたい⇒一時保護
(4)配偶者が近づかないようにしたい⇒保護命令
(5)第三者の発見⇒通報
(1)①配偶者暴力相談支援センター、②警察への相談
①配偶者暴力相談支援センターは、DV被害者保護のために、被害者などからの相談に応じたり、心理学的な指導を行ったり、被害者の一時保護を行ったりする機関です。
下記の全部又は一部のサービスを受けることができます。
- 相談又は相談機関の紹介
- カウンセリング
- 被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護
- 被害者の自立生活促進のための情報提供その他の援助
- 保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助
- 被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助
②警察に連絡して暴力の制止、被害者の保護その他の被害の発生を防止する措置を依頼することができます(DV防止法8条)。
被害者の意思を踏まえ、配偶者の検挙、指導・警告、自衛・対応策についての情報提供などの適切な措置をとります。
(2)自立支援
配偶者暴力相談支援センターでは、自立支援のため、生活の支援、就業の支援、住宅の支援等に関する様々な情報を提供しています。
(3)一時保護
夫が転居先まで執拗に追及することが予想され、単に転居しただけでは生命身体に対する気ギアを受ける大きなおそれが解消しない時には、配偶者暴力相談支援センターに一時保護(一時避難)を求めることができます。
(4)保護命令
被害者が配偶者からの暴力によりその生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、被害者の申立てにより、裁判所が一定期間、加害者を被害者から引き離すために発する命令のことをいいます。
ひとつは、接近禁止命令と呼ばれるもので、加害者が被害者につきまとい徘徊することを6か月間禁止する命令であり、もうひとつは、加害者に2か月間、被害者とともに生活の本拠としている住居から退去することを命令する退去命令があります。
また、裁判所は、被害者本人への接近禁止命令とあわせて、被害者の子や親族等への接近禁止命令を発することができます。
(5)通報
- 配偶者からの暴力を受けている者を発見した人は、その旨を配偶者暴力相談支援センター、警察官に通報するよう努めることとなっています。
- 医師その他の医療関係者が、配偶者からの暴力による怪我などを発見した時は、配偶者暴力相談支援センター、警察官に通報できることとなっています。
4.保護命令の流れ
5.DV加害者への弁護活動
1.早急に示談を成立させる
DV事件において、早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分や略式起訴(罰金を支払うことにより手続きから解放される制度)を獲得できる可能性が高まります。
また、裁判を経ても執行猶予判決を受けることが可能となりえます。できるだけ早く弁護士に依頼することをおすすめします。
DV事件の容疑で捜査機関に捜査され、又は逮捕された方は、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士にご相談ください。
2 不起訴処分又は無罪判決になるよう主張
身に覚えがないにも関わらずDV防止法違反の容疑を掛けられてしまった場合、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して、不起訴処分又は無罪判決になるよう主張する必要があります。
DV防止法違反を立証する十分な証拠がないことを指摘することも重要になります。
3.早期の身柄開放を目指します。
逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。
そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。
DV被害・DV防止法違反のことでお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部へお問い合わせください。
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