痴漢

【京都府迷惑行為防止条例】
第3条1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。

第3条 何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる他人に対し、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。

(1) 他人の身体の一部に触ること(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触ることを含む。)
(2) 物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
(3) その意に反して人の性的好奇心をそそる姿態をとらせること。
(4) 着衣等で覆われている他人の下着又は身体の一部(以下「下着等」という。)をのぞき見すること。(5) 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は着衣等の中が見える位置に鏡等を差し出し、置く等をすること。
(6) 着衣等を透かして見ることができる機器を使用して、着衣等で覆われている他人の下着等の映像を見ること。
(7) 異性の下着を着用した姿等の性的な感情を刺激する姿態又は性的な行為を見せること。
(8) 人の性的好奇心をそそる行為を要求する言葉その他の性的な感情を刺激する言葉を発すること。(9) 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動(次項から第4項までに規定する行為を除く。)をすること。

(罰則)
第10条1項
第3条第1項若しくは第2項(第2号に係る部分に限る。)、第6条又は第8条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第10条3項
常習として第3条第1項若しくは第2項(第2号に係る部分に限る。)、第6条又は第8条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

1.痴漢について

一般的に、公共の場所又は公共の乗り物において、女性の身体を触る場合をさすと考えられます。

この場合、各都道府県に規定されている迷惑防止条例に違反することになります。

京都の条例では「京都府迷惑行為防止条例第3条1項」に規定があります。

法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金、常習として行為をした者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

2.痴漢についてのQ&A

①痴漢をした場合にどのような処分がみこまれますか?

行為の悪質性にもよりますが、一般的には初犯で前科がない場合には、示談できれば不起訴になる可能性が高いです。

一方、前科前歴がある場合、起訴される可能性が高くなります(但し、示談が成立すると罰金を支払うことによって手続きから解放される略式処分の可能性に落ち着く可能性があります)。

早期の示談解決が有利な処分を導く鍵となります。

痴漢は通常面識のない相手に対して行われるため、相手の連絡先を知っていることはまずありません。

被害者(又は被害者のご家族)の方が、ご自身で捜査機関に問い合わせをされても連絡先を教えてもらえることは少ないです。

もし、連絡先を知ることができても被害者が会ってくれない、または示談交渉で揉めてしまうことがほとんどいっても過言ではありません。

一方、弁護士にご依頼いただけますと、担当検察官から連絡先を教えてもらえる可能性が高くなり、弁護士に対してであれば示談交渉に応じてくれる被害者も多く、冷静な話し合いを持つことができます。

これにより、双方の意向を酌んだ妥当な金額での示談解決が可能となり不起訴処分に大きく近づきます。

仮に起訴されたとしても、有利な処分(例えば、略式起訴・執行猶予)を導く可能性が高まります。

②被害者が告訴しなければ起訴されませんか?

条例違反の場合、親告罪ではありません。

早期に弁護士にご依頼いただき、対応を検討する必要があります。

なお、告訴されていた場合、示談が成立し公訴の提起前に告訴が取消されれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

③「公共の場所」とは、どの範囲をいいますか?

迷惑防止条例における公共の場所とは、社会一般に開放され、不特定多数の人が自由に出入りし、利用できる場所を意味します。

④痴漢をして不同意わいせつ罪が成立することがありますか。

痴漢をしたときの態様により、不同意わいせつ罪が成立することがあります。

不同意わいせつ罪は、刑法176条の各号に定める行為や事由をして同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした場合に成立します(各号事由については不同意わいせつ罪のページをご確認ください)。

不同意わいせつ罪には、条例違反よりも重い法定刑が用意されています(罰金刑の定めがなく有罪となった場合には懲役刑が科されることになります)。

実際に不同意わいせつ罪が問題となるケースとしては「下着の下にまで手を入れる行為」や「胸を揉む行為が考えられます。

一方、着衣の外から触れる行為は迷惑防止条例違反になると考えられます。

⑤公務員の場合に気をつけることがありますか。

公務員については、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」について欠格事由が定められています(地方公務員法16条2号、国家公務員法38条2号)。

公務員の場合、懲役刑や禁錮刑になってしまうと、たとえ執行猶予がついたとしても欠格事由に該当し失職してしまいます。

強制わいせつ罪の場合、迷惑防止条例と異なり罰金刑がありませんので起訴されてしまうと、自白事件の場合、失職の可能性が非常に高くなります。

早い段階から示談交渉を行い、不起訴処分にむけて活動をすることが大切となります。

痴漢事件における弁護活動

1.捜査段階における弁護活動

  1. 弁護士が接見に赴き、嘘の自白調書やニュアンスが違った調書が作成されないようアドバイスします。
  2. 早期に示談交渉に着手して、不起訴処分など有利な結果を導けるように活動します。
  3. 早期の身柄開放を目指します。
    逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。
    そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。
  4. 否認事件では、独自に事実調査を行うとともに、不起訴(又は略式起訴)に向けて検察官に働きかけを行います。

2.公判段階における弁護活動

  1. 少しでも有利な処分(執行猶予)がでるように活動します。
  2. 依頼者の方と相談しつつ、必要であれば矯正プログラムの検討とともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポートします(捜査段階から行うこともあります)。⇒性犯罪を起こした方は、自分のした行為を恥じ、深い後悔をされている方がほとんどです。
    にもかかわらず、犯行を常習的に行ってしまう場合があります。
    繰り返し性犯罪で捕まった場合、反省や更生がされていないとして、重い処分がなされる可能性が高まります。
    しかし、そのような常習者のなかにも、犯罪行為を止めたいと思いながら、自らをコントロールできずに繰り返してしまう方がいます。
    このような場合には医療機関などの専門機関への受診と治療などを行い、根本からの改善を試みるように促します。
  3. 否認事件では、冤罪を防止すべく被害者の方に記憶違いがないかの検証・弾劾活動及び弁護側独自で有利な証拠を収集・提出できるよう活動します。

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