Archive for the ‘暴力事件’ Category

肩がぶつかった男性への傷害致死の疑いで男を逮捕

2025-03-12

肩がぶつかった男性への傷害致死の疑いで男を逮捕

胸ぐらを掴む男性

肩がぶつかった男性への傷害罪の疑いで逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。

事例

京都府綾部署によりますと昨年(2024年)5月20日、京都府綾部市内で面識のない大学生の男(21)と会社員の男性(45)が道ですれ違った際、肩がぶつかったことで口論になり、男は男性に対し殴る蹴るの暴行をし、男性は頭を殴られた際打ちどころが悪く意識不明の状態が続いていましたが、その後死亡しました。
男はかけつけた警察官により現行犯逮捕されました。
会社員は意識がない状態で病院に運ばれましたが、意識を回復することなく一週間後に死亡したということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

結果的加重犯とは?

結果的加重犯とは犯罪行為をした際、予想していたより重い結果が生じてしまった場合、その重い結果について罪を問われることを言います。

例として強盗致傷罪があります。
コンビニに強盗に押し入った場合、刃物をつきつけ店員に怪我を負わせない「暴行」「脅迫」によってお金を奪取する(強盗罪)つもりが、店員に抵抗されたため怪我をさせ「傷害」を負わせてしまった場合は、強盗致傷罪になります。
強盗罪の刑罰は「5年以上の有期懲役」(刑法第236条1項)になりますが、強盗致傷罪では「無期または六年以上の懲役」(刑法第240条)とより重くなっています。

では予想できなかった場合でもより重い罪に問えることができるのでしょうか。
判例によれば、基本の犯罪と故意の範囲を越えた重大な結果との因果関係の存在を必要とするにとどまり、予見可能性は不要とされています。

強盗をもくろんでの犯罪の結果として致傷が生じた場合、刃物をつけつけた結果、相手が刃物に当たり怪我を負ったわけですから、そこに強盗と致傷との因果関係は認められるので、強盗傷害罪が該当することになります。

今回の事例では、相手に暴行を加えた結果怪我を負わせており、傷害罪が成立します。
ですが、怪我を負わせた行為と打ち所が悪く男性が死亡してしまった結果には因果関係があり、結果的加重犯である傷害致死罪が適用され、傷害罪よりもより重い刑が科されることとなります。

傷害罪(刑法第204条)の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですが、傷害致死罪(刑法第205条)は「3年以上の有期懲役」となっています。
つまり傷害罪は1カ月~15年の懲役又は50万円以下の罰金、傷害致死罪は3年~20年の懲役であり、傷害致死罪傷害罪よりも重い罰則が規定されております。
なお、最初から殺意をもって暴行を加えていた場合は殺人罪(刑法第199条:死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)が該当することになるでしょう。

傷害致傷罪をおこしてしまったら

結果的加重犯は自分が予想していた以上の重い犯罪に該当するため、減刑や執行猶予を目指したいのであれば、法律に詳しい弁護士にいち早く依頼するのが大事になってきます。

また検察からの請求、裁判所の決定によっては最大20日間、留置所や拘置所に勾留される可能性があり、休業・休学により大きく社会生活に影響がでてくるでしょう。
一日でも早く釈放されるためには、弁護士によって「証拠隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」があると疑うに足りる相当な理由がないと裁判所が判断するよう、働きかけることが大事になります。
また被害者との示談交渉をすすめてもらうことにより、減刑や執行猶予の可能性もみえてくるでしょう。

刑事弁護のご相談は

警察に逮捕されるのではないか、またご家族の方が逮捕された、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、弁護士に接見にいってほしい、など刑事事件でお困りのことがございましたら、お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弊所フリーダイヤル(0120―631―881)にて、初回接見サービス無料法律相談のご予約を24時間365日受付しております。

介護疲れからの殺人事件

2025-02-23

介護疲れからの殺人事件

介護疲れ

今回は、実母の介護に疲れ、殺人事件に発展してしまった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

Aさんは、京都市上京区に住む65歳の男性です。
Aさんは、長年の介護に疲れ果て、同居する当時84歳の実母の首にロープを巻き付けて殺害してしまいました。
認知症の実母の介護に疲れ、Aさん自身もうつ病と診断されており、今後の生活への不安などから実母を殺害した後、自身も自殺しようとした。」と犯行を供述しています。
(事例はフィクションです。)

殺人罪

殺人罪とは、他人の生命を侵害する犯罪です。
法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と規定されています。(刑法199条)

殺人罪における殺人とは、「殺意をもって、他人の生命を断絶すること」です。
つまり、「殺意をもっていたのかどうか(故意)」が殺人罪における重要な要件であり、殺意(故意)が無く人を殺してしまった場合は、「過失致死罪」になります。

過失致死罪は、刑法210条で、「過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。」とされています。

介護疲れによる殺人事件

主に家族間において、介護を要する者の介護に疲れ果て、殺人事件に発展する悲劇がニュースで流れることがあります。
介護を行う方の負担は相当に大きいものであることは想像に難くなく、介護疲れの末に起きる殺人事件は「悲劇」といってよいでしょう。
どのような理由であっても、人が人を殺めることは重大な犯罪です。
殺人罪は最も重い法定刑として死刑となりうる可能性があります。

しかしながら、殺人に至るまでの経緯に事例のような介護疲れなどのくむべき事情がある場合には、執行猶予付き判決などの「温情的」な処分を得ることができるかもしれません。
実際に、介護疲れの果てに起きた殺人事件について、執行猶予付き判決がなされた事例もあります。
殺人罪の法定刑の範囲内では、最も軽い量刑であっても5年の懲役となるため、原則として執行猶予の基準(3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡し(刑法25条1項))に該当せず、何もしなければ執行猶予付き判決を獲得することはかなり難しいと言えるでしょう。

執行猶予付き判決を得るためには、酌量すべき事情があるなど、刑を減軽できる理由が存在し、刑を減軽するべきであることを裁判等で主張する必要があります。
そのためには、刑事弁護に精通した弁護士のサポートが重要となります。

弁護士への接見依頼

殺人罪では、科される刑罰が重くなることが予想されるため、逮捕される可能性が極めて高いといえます。
当事者が逮捕されているのであれば、まずは早急に弁護士の接見を受け、事件解決に向けたアドバイスを受けることが先決です。
殺人という重大な事件であるため、相談はなるべく早く行うことが事件解決の第一歩と言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件・少年事件を主に取り扱う法律事務所です。
介護疲れの末に起きた殺人事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

他人の自動車のタイヤをパンクさせたことにより逮捕

2025-02-21

他人の自動車のタイヤをパンクさせたことにより逮捕

逮捕、連行される男性

今回は、日頃のストレスを晴らすため、近所の自動車のタイヤをパンクさせた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市中京区に住むAさんは、仕事や家庭がうまくいかないことでストレスを溜める日々を過ごしていました。
ある日、ストレスを晴らすため、自宅周辺に駐車されている自動車のタイヤをアイスピックを使って全てパンクさせ、さらに塗装用スプレーで自動車に落書きをしました。
被害者が多数出たことから、警察の捜査が始まり、Aさんは自宅に来た京都府中京警察署の警察官に器物損壊罪の疑いで逮捕されることになりました。
(事例はフィクションです。)

器物損壊罪

器物損壊罪を大まかに説明すると、公用文書、私用文書、他人の建造物又は艦船など以外の、他人の物を損壊し、又は傷害すると成立する犯罪です。

「公用文書」、「私用文書」、「他人の建造物又は艦船」を破いたり、破壊した場合には、器物損壊罪とは別の犯罪が成立することとなります。

「損壊」とは、その物の効用を害する行為をいいます。
アイスピックで他人の自動車のタイヤをパンクさせたり、塗装用スプレーを用いて他人の自動車に落書きをする行為は、「他人の物を損壊」したものと判断される可能性が高いでしょう。
ですので、事例のAさんには器物損壊罪が成立する可能性があるといえます。

「傷害」とは、動物を客体とする場合であり、「損壊」と同じ意義です。
他人の動物を傷つけたり、死亡させたりすることはもちろん、養魚池の水門を開いて、飼養中の鯉を養魚地の外へ流出させる行為も「損壊」に該当します。

器物損壊罪について有罪判決が確定すると、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられます。(刑法第261条)

被害者との示談

Aさんは、しっかりと反省して、被害者たちに対して謝罪をし、生じさせた損害を賠償することが重要だといえるでしょう。
Aさんが被害者たちに謝罪と賠償を行い、示談を締結できれば不起訴処分を獲得できる可能性があります。

器物損壊罪「親告罪」とされており(刑法第264条)、告訴がなければ起訴されることがありません。
謝罪と賠償を尽くし、示談を成立させ、被害者全員に告訴を取り下げてもらうことができれば、事例の事件は不起訴処分となります。
不起訴処分を獲得することができれば、裁判にかけられることはありません。
しっかりと謝罪と賠償を行い、被害者たちに告訴を取り下げてもらうことで、刑罰を受けずに事件を解決することができるのです。

早期に弁護士を依頼

Aさんに愛車を傷つけられた被害者たちはかなり怒っているでしょう。
どれだけ高額の示談金を提示したとしても、被害者が応じてくれなければ示談を成立させることはできません。
被害者が多数の場合はさらに示談交渉に必要な時間が増えてきます。
示談交渉に十分な時間を用意する必要があると言えるでしょう。
一度示談を断られてしまった場合でも、弁護士から再度申し入れることで応じてもらえる場合があります。
なるべく早期に弁護士に依頼し、事件解決に向けて行動していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件・少年事件を主に取り扱う法律事務所です。
ご家族が器物損壊罪の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

店員の接客が気に入らずに土下座を強要し、逮捕された事例②

2025-02-19

店員の接客が気に入らずに土下座を強要し、逮捕された事例②

手錠とガベル

土下座を強要して強要罪逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

Aさんは、京都府綾部市にあるアパレルショップを訪れていました。
店員であるVさんの接客が気に入らないと感じたAさんは、「殴られたくなかったら、謝罪しろ」とVさんを脅し、謝罪をさせました。
ですが、Aさんの怒りは収まらず、「誠意が足りない。謝罪といったら土下座だろう」と土下座を強要し、VさんはAさんに土下座しました。
一部始終を見ていた別の店員が京都府綾部警察署に通報をし、Aさんは駆け付けた警察官によって、強要罪の疑いで逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

逮捕後の流れと釈放

Aさんはこの後、釈放されることなく送致されれば、勾留の判断が行われることになります。
勾留は検察官の請求を受けて、裁判官が判断します。
勾留は逮捕後72時間以内に判断されなければなりませんので、72時間後には、Aさんは釈放されているか勾留が決定し身柄拘束が続いていることになります。

勾留は1度だけ延長することができ、延長期間も含めると勾留期間は最長で20日間にも及びます。
勾留期間中は当然、家に帰ったりできませんから、通勤したり、職場に連絡を入れることはできません。
ですので、長期間にわたって無断欠勤状態が続いてしまったり、職場に逮捕のことが知られることで、解雇処分など、何らかの処分に付される可能性があります。

何とか勾留を避けることはできないのでしょうか。

結論から言うと、弁護士が検察官や裁判官にはたらきかけを行うことで勾留を避けられる可能性があります。

繰り返しになりますが、勾留は、検察官が勾留請求を行い、勾留請求を受けて裁判官が判断をします。
検察官が勾留請求をするタイミング、裁判官が勾留を判断するタイミングで、勾留をせずに釈放をするように求める意見書を提出することで、勾留を阻止して釈放を認めてもらえる可能性があります。

意見書では、どのように釈放を求めるのでしょうか

今回の事例では、AさんはVさんの名前や連絡先などを知らない状態だと思われます。
例えば、Aさんの家族がAさんの監督をしっかりと行い、AさんにはVさんが働いている事件現場であるお店には行かせないことでVさんに接触できないようにすること、家族の監督により逃亡や証拠隠滅をするような機会は与えないことなどを意見書を通じて主張することになるでしょう。

弁護士が意見書を提出することで、勾留を阻止し、早期釈放を実現できる可能性がありますから、ご家族が逮捕された方は、刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、数々の事件で早期釈放を実現してきた刑事事件の弁護経験が豊富な法律事務所です。
勾留は逮捕後72時間以内に判断されますので、意見書の提出は時間との勝負になります。
この意見書の提出を逃してしまうと、釈放を求める機会を2回も失ってしまうことになります。
ご家族が逮捕された方は、お早めに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

店員の接客が気に入らずに土下座を強要し、逮捕された事例①

2025-02-16

店員の接客が気に入らずに土下座を強要し、逮捕された事例①

手錠とガベル

土下座を強要して強要罪逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

Aさんは、京都府綾部市にあるアパレルショップを訪れていました。
店員であるVさんの接客が気に入らないと感じたAさんは、「殴られたくなかったら、謝罪しろ」とVさんを脅し、謝罪をさせました。
ですが、Aさんの怒りは収まらず、「誠意が足りない。謝罪といったら土下座だろう」と土下座を強要し、VさんはAさんに土下座しました。
一部始終を見ていた別の店員が京都府綾部警察署に通報をし、Aさんは駆け付けた警察官によって、強要罪の疑いで逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

強要罪

刑法第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

強要罪とは簡単に説明すると、脅迫や暴行を用いて、義務のないことをさせたり、権利を行使することを妨害すると成立する犯罪です。

事例のAさんは、Vさんに対して「殴られたくなかったら、謝罪しろ」と言っています。
Vさんの身体に対し害を加えると告知していますから、Aさんの行為は脅迫にあたるでしょう。
また、AさんはVさんに土下座をするように強要していますが、土下座をする義務はVさんにはないと考えられます。
ですので、Aさんには強要罪が成立する可能性があります。

示談交渉

強要罪は有罪になると、3年以下の懲役が科されます。
罰金刑の規定はありませんので、有罪になると必ず懲役刑が科されることになります。
懲役刑が科されることを避ける方法として、不起訴処分の獲得が挙げられます。
不起訴処分を獲得することができれば、刑罰は科されませんし、前科も付きません。

示談という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
刑事事件では、示談を締結することで加害者の有利にはたらくことがあります。
強要罪も例外ではなく、示談を締結することでAさんの有利にはたらき、不起訴処分の獲得につながる可能性があります。

今回の事例では、アパレルショップの店員であるVさんが被害者になります。
AさんはVさんの名前などは知らなくても勤務先を知っているわけですから、釈放後にAさんが店舗に赴いてVさんに接触することは容易でしょう。
ですが、Aさんが店舗に赴き、Vさんに直接接触する行為は証拠隠滅にあたると判断されてしまう危険性が高いといえます。

また、警察官や検察官を通じてVさんの連絡先を教えてほしいとお願いしても、VさんはAさんに土下座を強要されたことで恐怖を感じているでしょうし、既に勤務先を知られている状態でさらに連絡先を教えることは、またAさんに何かされてしまうのではないかと不安になり、Aさんに連絡先を教えようとは到底思えないでしょう。
ですので、AさんはVさんの連絡先を手に入れることは厳しいと思われます。
弁護士であれば連絡先を教えてもらえる可能性がありますから、示談交渉は弁護士を介して行うことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
強要罪でご家族が逮捕された方、示談交渉でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

貶める内容を記載したチラシを被害者宅周辺の50世帯に配布し、名誉棄損罪で捜査を受けることになった事例①

2025-02-12

貶める内容を記載したチラシを被害者宅周辺の50世帯に配布し、名誉棄損罪で捜査を受けることになった事例①

取調べを受ける男性

名誉棄損罪で捜査を受けることになった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

Aさんは、Vさんを貶めるような内容のチラシをVさん宅周辺の住居50世帯に配布し、同様のチラシをVさんが勤めている会社に送りました。
Vさんの務める会社はチラシに記載された内容を基に、Vさんに降格処分を下しました。
Vさんは突然会社から降格処分に付されたことでチラシの存在を知り、近隣の京都府城陽警察署に被害を相談しました。
翌月、京都府城陽警察署の捜査により、Aさんによる犯行だと発覚し、Aさんは名誉棄損罪の疑いで捜査を受けることになりました。
(事例はフィクションです。)

名誉棄損罪

刑法第230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

名誉棄損罪は簡単に説明すると、社会的評価が下がるような具体的な内容を不特定または多数の人が知ることができるような状態にすると成立する犯罪です。

今回の事例では、チラシを受け取った会社がVさんを降格処分に付したわけですから、チラシに記載されていた内容は、Vさんの社会的評価が下がるような具体的な内容であったと考えられます。
また、Aさんはそのような内容を記載したチラシをVさんが務める会社に送付し、Vさん宅周辺の住居50世帯に配布していますから、不特定多数の人がVさんの社会的評価が下がるような内容を知ることができる状態にあったといえます。
ですので、今回の事例では、Aさんに名誉棄損罪が成立する可能性があるといえます。

今回の事例では、Vさんが降格処分に付されていますので、実際にVさんの名誉が害されているといえます。
名誉棄損罪が成立するためには、実際に名誉が害される必要はありませんので、Vさんが仮に降格処分などの何らかの処分を受けていなくても、Aさんは名誉棄損罪に問われる可能性があります。

また、名誉棄損罪では、社会的評価が下がるような具体的な内容が真実であったとしても、成立する可能性があります。
ですので、Aさんがチラシに記載した内容が真実であったとしても、Vさんの社会的評価を下げてしまうような具体的な内容であったのであれば、名誉棄損罪は成立する可能性があるといえます。

ただ、刑法230条の2第1項では、公共の利害に関するものであって、公益を図る目的で行ったと判断された場合には、適示された内容が真実であることの証明があった場合に、罰しないと規定しています。

刑法第230条2第1項
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

ですので、Aさんが作成したチラシの内容が公共の利害に関するもので、公益を図る目的であったと判断された場合には、Aさんが記載した事実が真実であると証明をすることができれば、Aさんが名誉棄損罪で罰されられることはありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
名誉棄損罪などで捜査を受けている方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

一般企業に迷惑電話250回した男を威力業務妨害罪で逮捕

2025-01-01

一般企業に迷惑電話250回した男を威力業務妨害罪で逮捕

逮捕の瞬間

「迷惑電話」による逮捕に伴う弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

一般企業に250回に渡り電話をし、対応した社員に「アホ」などの暴言を吐き業務を妨害したとして、男が逮捕されました。
逮捕されたのは、同市内在中の58歳の無職の男です。
京都府舞鶴警察署によりますと男は、今年7月28日朝から夕方までの約8時間に、舞鶴市にある一般企業に250回に渡り電話をかけ、電話に対応した社員に対し、「アホ」などと暴言を吐き、業務を妨害した疑いが持たれています。
同署が捜査の結果、この男の犯行と突き止め、30日朝に男の自宅で逮捕しました。男は企業に電話をかけた事実は認めており、引き続き原因や動機を調べることにしています。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

迷惑電話はどんな犯罪にあたる?

迷惑電話とは受け手に不快感を与える広告や勧誘、嫌がらせなどを目的に電話をかける迷惑行為、及び犯罪行為のことです。
迷惑電話でも態様は様々で、金銭的な損害を与える目的でフリーダイヤルに電話する、いたずら・不快感を与える目的などで卑猥な言葉や暴言を発する電話をする、また無言電話や執拗な営業電話などがあげられます。
その内容、相手によって罪名に違いが出てきます。
例えば相手へ危害を加える旨、またはそれに相当する内容を発した場合は脅迫罪に該当し、繰り返しの電話によりうつ病など精神的疾患をもたらした場合は傷害罪になるでしょう。

今回の事例では業務をしている相手に対し、通常とは言えない回数の電話を執拗に繰り返し、業務に支障がでるような行為をしています。
この場合は、正常な業務(社会生活上、反復継続して行なわれる事務または事業のこと。利益を伴うかどうかは問わないため、経済的活動だけでなく宗教儀式など宗教活動も含まれるとされている。)に支障を生じさせ、もって威力(人の意思の自由を制圧するに足りる勢力のこと。)を用いて人の業務を妨害するおそれのある行為をしたことを処罰する威力業務妨害罪(刑法第234条)に該当するでしょう。
刑罰は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第233条、234条)と規定されております。

迷惑電話で逮捕されてしまったら弁護士へ

電話の受け手が業務を行っている会社や団体の場合、非通知電話を着信拒否にする対策を講じている場合が多く、着信履歴がのこり、警察に通報すれば容易に相手が特定できるため、逮捕につながりやすいといえます。
そのため今回の事例でも事案の数日後には警察の捜査により、逮捕につながっています。

逮捕され身柄が拘束された場合、警察から検察に送致するまで2日間、検察が勾留をするか裁判所に請求、請求を受けて裁判所が勾留を判断するまで1日間、勾留が決定してから20日間、合計で最大23日間、身柄拘束される恐れがあります。
その場合、職場復帰が難しくなり、解雇など社会的損失が大きくなるでしょう。
そのため一日でも早く釈放されるよう、検察官や裁判官に働きかけることが大事です。

その手段の一つとして示談があります。
しかし業務妨害罪の被害者は業務をしている企業や団体などのため、業務妨害の内容・程度によっては示談金額が高くなる可能性もあり、示談交渉も一段と難しくなるかもしれません。そのためにはいち早く弁護士に相談し、早期に示談を進めてもらうことが、重要になってくるでしょう。
またご家族が迷惑電話の事件を起こして逮捕されているけど早期釈放してほしい、不起訴処分を獲得して前科を避けたい、起訴されても量刑を少しでも軽くしてほしい、といった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをおすすめします。

私ども、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、威力業務妨害罪はもちろん、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に精通した法律事務所です。
ご家族が逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
弁護士がご本人から直接事実関係などを確認した上で、現在の状況や今後の見通しについて詳しい説明を受けることができます。

またその他にもご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120‐631‐881)にて24時間365日受付中です。

京都府内でご家族が刑事事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

救急隊員の顔を蹴り公務執行妨害罪の疑いで男を逮捕②

2024-12-18

救急隊員の顔を蹴り公務執行妨害罪の疑いで男を逮捕②

逮捕される男性

前回のコラムに引き続き、救急隊員の顔を蹴り公務執行妨害罪の疑いで逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。

事例

京都府木津川市で今年9月18日夜、自分を運んだ救急隊員に暴行したとして、会社員の男(43歳)が公務執行妨害罪の疑いで逮捕されました。
京都府木津警察署によりますと同日午後8時すぎ、木津川市内の路上に男が倒れていると119番通報があり、京都府木津川市の救急隊が出動しました。
同市内の病院に搬送される途中、男は近くにいた男性救急隊員(34歳)の顔面を足で蹴り、隊員は軽いケガをしました。
同署は翌日、男を公務執行妨害罪の疑いで逮捕いたしました。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

公務執行妨害罪で逮捕・勾留されてしまったら

逮捕され身柄が拘束された場合、最大20日間留置所や拘置所に勾留される可能性があります。
また、釈放されずに起訴された場合は更に身体拘束が続く場合があります
警察は身柄拘束した時から48時間以内に解放(釈放)するか検察に送る(送致)するか決定します。
検察庁に送られると、送致をうけてから24時間以内に、検察官が必要だと判断した場合は裁判所に勾留を請求します。
裁判所が勾留を決定した場合、最大10日間、捜査が難航している場合などには更に10日間延長される場合があります。
このように最大23日間、身柄を拘束されることになれば、学業復帰や職場復帰が難しくなる可能性があります。
そのため一日でも早く、釈放されるように、「証拠隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」があると疑うに足りる相当な理由がないと裁判所が判断するよう、働きかけることが大事になります。
それゆえ「証拠隠滅」(証拠書類・証拠物を破損・隠匿をしたり、証人・被害者・共犯者などに接触し不利なことを言わないよう接触する等)や「逃亡」(行方をくらます)のおそれがないことを弁護士が主張するなど、弁護士による弁護活動で、早期に釈放される可能性がみえてきます。

刑事弁護のご相談は

弁護士の専門知識と経験は、被疑者が最適な結果を得るために不可欠です。
特に、法律や手続きに詳しくない方にとって、弁護士のサポートは心強い味方となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、公務執行妨害罪をはじめとする刑事事件に精通した法律事務所です。
公務執行妨害罪などでご家族の方が逮捕された、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいなどの場合は0120ー631ー881までお気軽にお問合せください。

またご家族が逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
弁護士がご本人から直接事実関係などを確認した上で、現在の状況や今後の見通しについて詳しい説明を受けることができます。

その他にもご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120ー631ー881)にて24時間365日受付中です。
京都府内でご家族が公務執行妨害罪などの刑事事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

救急隊員の顔を蹴り公務執行妨害罪の疑いで男を逮捕①

2024-12-16

救急隊員の顔を蹴り公務執行妨害罪の疑いで男を逮捕①

逮捕される男性

救急隊員の顔を蹴り公務執行妨害罪の疑いで逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。

事例

京都府木津川市で今年9月18日夜、自分を運んだ救急隊員に暴行したとして、会社員の男(43歳)が公務執行妨害罪の疑いで逮捕されました。
京都府木津警察署によりますと同日午後8時すぎ、木津川市内の路上に男が倒れていると119番通報があり、京都府木津川市の救急隊が出動しました。
同市内の病院に搬送される途中、男は近くにいた男性救急隊員(34歳)の顔面を足で蹴り、隊員は軽いケガをしました。
同署は翌日、男を公務執行妨害罪の疑いで逮捕いたしました。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

一つの行為で二つ犯罪が成立する観念的競合とは?

観念的競合とは一つの行為で複数の犯罪が成立する概念です(刑法54条1項前段)。
処罰については、その最も重い罪の刑により処断するとされています(刑法54条1項後段)。
例えば、住居に住んでいる人を殺す目的で住居に火をつけ死亡させた場合は、殺人罪放火罪(現住建造物等放火罪)が成立しますが、行為者の行為は一個であるため、観念的競合として、より重い罪の方で処罰されることになります。
殺人罪現住建造物等放火罪はどちらも「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」(刑法199条、108条)ですから、殺人罪現住建造物等放火罪どちらで処罰が下されても刑罰は同じものになります。

事例の逮捕罪名である、公務執行妨害罪観念的競合が成立する代表例になります。
公務執行妨害罪公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫を加えた場合に成立します(刑法95条1項)。
刑罰は3年以下の懲役又は禁錮又は50万円以下の罰金です。

公務執行妨害罪「公務員」とは法令により公務に従事する職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員のことであり(刑法第7条)、「職務を執行するに当たり」とは、職務を執行中のときだけでなく、職務を開始しようとするとき、または今まさに職務を終了するときも該当します。
なお休憩中など、職務から離れた場合は該当しません。

また、公務執行妨害罪が規定する「暴行」「脅迫」は、暴行罪が規定する「暴行」脅迫罪が規定する「脅迫」よりも広く規定されています。
「暴行」は、殴る・蹴るなどの身体への有形力の行使だけでなく、目の前で物を割る・相手の耳元で拡声器をもって大声をあげるなど物理的・心理的な影響を与えるものも該当します。
「脅迫」は、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいい、「殺すぞ」「殴るぞ」など有形力を行使するかのように脅す行為などがあたります。

「暴行」「脅迫」が認められるためには、公務員の職務の執行を妨害するおそれがあればよく、警察官の目の前で証拠を毀損するなど、公務員に直接向けられた暴行や脅迫でなくても公務執行妨害罪は成立します。
また、上記のように公務員の職務執行を妨害するおそれがあればよく、現実に公務の執行を妨害する必要はないとされています。

このように職務中の公務員に暴行脅迫などを加えた場合、公務執行妨害罪が成立します。
その他に暴行の結果、傷害を負わせた場合は公務執行妨害罪以外に傷害罪が、「殴るぞ」など人の身体等に害を加えることを告知した場合は脅迫罪が同時に成立することになります。

今回の事例で男は通報を受けて駆けつけた消防隊員に対し、顔面を蹴り軽いケガを負わせています。
公務の執行中の公務員に対しての暴行になりますので公務執行妨害罪が該当し、また、消防隊員に傷害を負わせていますので、傷害罪も成立することになるでしょう。
この場合、公務執行妨害罪傷害罪の重い刑の方で処罰されることになります。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法第204条)ですから、事例の男性は公務執行妨害罪よりも科される刑罰の重い傷害罪で処罰される可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービスを行っています。
ご家族が逮捕された方は、お早めに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

歩道橋から自動車に向かって自転車を投げた事案について②

2024-12-13

歩道橋から自動車に向かって自転車を投げた事案について②

逮捕の瞬間

14歳の少年が歩道橋から自動車に向けて自転車を投下し、逮捕されてしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市に住むAくんは、14歳の中学2年生です。
Aくんはあまり両親の言うことを聞かず、学校にもほとんどいかないで、友人の家を転々とする生活をしています。
ある日、Aくんと友人たちは、歩道橋から自動車に向かって自転車を落とすイタズラを思いつき、すぐに実行に移しました。
Aくんは自転車を自動車に向けて投下したところ、自転車はフロントガラスを破壊し、運転手に直撃してしまいました。
運転手は重傷を負ってしまい、現場に駆け付けた警察官に、現行犯逮捕されてしまうことになりました。
(事例はフィクションです。)

今後の手続

14歳の少年とはいえ、逮捕・勾留されるという点では、成人と同じです。
逮捕後、48時間以内に検察官に身柄が送致され、場合によっては裁判官により勾留決定がなされることになるでしょう。

14歳の少年が起こした事件の為、検察官は、捜査を行った後、家庭裁判所にAくんを送致します。
事件の重大性を考慮すると、「観護措置決定」がなされ、少年鑑別所においてAくんの心身や家庭環境について調査されることになると思われます。

事件はどのように終了するか

14歳であっても、事件の重大性に照らすと、家庭裁判所から再び検察官のもとへ事件が送致される可能性もあります。
これを、逆送といいます。
逆送されれば、成人と同じく刑事裁判にかけられることになる可能性が高いです。

Aくんの更生を重視するならば、家庭裁判所の審判を経て、保護処分を受けることが最善と思われます。

保護処分の中では処分の重い、「少年院送致」が言い渡される可能性が十分ありえますが、Aくんの更生を重視した施設である以上、成人と同じく刑罰を受けるよりは、少年院送致の方が良いかと思われます。

弁護士への依頼について

Aくんに有利な事件解決を目指すためには、早期に弁護士を依頼することをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、少年事件・殺人未遂事件を問わず、さまざまな刑事事件に精通した法律事務所です。
お子様が殺人未遂事件逮捕された方やご家族様が警察の捜査や呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいと考えている方は、まずは0120‐631‐881までお気軽にお問合せください。

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