Archive for the ‘刑事事件’ Category

ハサミを正当な理由なく所持していた事で取調べ

2025-06-25

ハサミを正当な理由なく所持していた事で取調べ

はさみ

今回は、ハサミを正当な理由がない状態で所持していたため、取調べを受けることになった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

Aさんは、普段から護身用としてハサミをカバンに入れていました。
ある日、京都府向日市の路上を歩いていたところ、警察官に呼び止められ、所持品検査を受けることになりました。
所持品検査の結果、Aさんのカバンの中から刃渡り5センチメートルのハサミが出てきました。
Aさんは、警察官からハサミを所持していた理由について聞かれると、「物騒な世の中なので護身用として持っていた。」と説明したところ、京都府向日町警察署に任意同行を求められ、取調べを受ける事になってしまいました。
(事例はフィクションです。)

銃砲刀剣類所持等取締法銃刀法

銃砲刀剣類所持等取締法とは、いわゆる銃刀法と呼ばれている法律です。
銃刀法では、正当な理由がなく銃砲や刀剣類を所持することを禁止しています。
事例のハサミは、包丁やナイフ、カッターと同じく、刃物に分類され、銃刀法の22条で刃物の携帯についてこのように規定されています。

刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

(銃刀法22条)

銃刀法における刃物の携帯の禁止違反で刑罰を受けることになれば、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金が科されることになります。
(銃刀法31条の18第2項)

銃刀法で携帯が禁止される刃物とは

銃刀法では、刃体の長さが6センチメートルを超える刃物の携帯が禁止行為となり、刃体の長さが6センチメートル未満であれば、携帯の禁止はされていません。
さらに、業務その他正当な理由による場合があれば、所持することを認められています。

正当な理由とは、社会通念上、合理的に認められ、正当化できる理由であることを意味します。
つまり、一般的な常識を基準として判断されるということです。

例えば、今からキャンプに行くためにナイフを運んでいる場合やこれから仕事で使う包丁や授業で使うカッターを持ち運んでいるような場合には正当な理由があると判断されるでしょう。
しかし、犯罪に使うために刃物を所持している場合や護身用で所持している、かっこいいから所持しているという様な理由での所持は、正当な理由とはいえず、違反となってしまうでしょう。

銃刀法の刃物所持の例外として、刃の長さが8センチメートル以下のはさみ、折りたたみナイフ、果物ナイフなどの刃物で政令で定められた基準に該当しているものは携帯が認められています。
(銃刀法22条)
例えば、ハサミの場合は、8センチメートル以下で、刃の先端が鋭くなく、刃が鋭利でなければ、携帯が認められます。
(銃砲刀剣類所持等取締法施行令43条1号)

銃刀法では、刃体の長さが6センチメートル未満の刃物の携帯については禁止行為ではありませんが、刃物を隠して携帯することは、軽犯罪法違反となってしまう可能性があります。

軽犯罪法違反の刃物所持について

軽犯罪法1条2号では、正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を与えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者は、拘留又は科料に処するとして禁止されています。
また、情状によってその刑を免除し、又は拘留及び科料を併科されることがあります。
(軽犯罪法2条)

軽犯罪法における刃物の所持については、隠して携帯することが禁止されています。

隠して携帯とは、自宅や居室以外の場所で、手に持ち、身体に帯びるなど直ちに使用できる状態で、人目につかないように隠して身辺に置くことをいいます。

人から見て刃物を持っていると分かる状態であれば問題ありませんが、人から見えないように隠して持っているのが禁止されているということです。

Aさんの行為について

Aさんの所持していたハサミは、刃渡り5センチメートルのため、先端が鋭利で鋭くなければ、銃刀法における禁止行為とは判断されないと思われます。
しかし、Aさんは護身用としてハサミを携帯し、かつ、カバンの中に入れて人から見えない状態で携帯しているため、軽犯罪法の違反行為に該当する可能性があるでしょう。

取調べを受けることになれば

まずは、弁護士に相談することをおすすめします。

Aさんは職務質問を受けた際、所持の理由について、「護身用として持っている。」と答えているため、警察官に正当な理由とならない違反行為と判断されてしまった可能性があります。
実際には、刃物所持について正当な理由があったとしても、職務質問を受けて気が動転してしまい、本心とは違う供述をしてしまう場合もあるでしょう。
その場合、本心とは違う供述調書が作成されてしまい、さらに不利になってしまうことも考えられます。

このような事態を避けるために、早期に弁護士に相談することをお勧めいたします。
弁護士に相談することで、適切なアドバイスを得られ、自身の有利な方向に事件を進めることができるでしょう。

銃刀法違反軽犯罪法違反でお困りの方は、まずは弁護士に相談することが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した法律事務所です。
銃刀法違反軽犯罪法違反でお困りの方、その他の刑事事件・少年事件でお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

公然わいせつ事件について ②

2025-06-22

公然わいせつ事件について ②

取調べを受ける男性

今回は、深夜の誰もいない公園で全裸になっていたところ、警察に職務質問された場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

Aさんは、日頃のうっぷんを晴らすために、京都府長岡京市にある深夜の公園で誰もいない時間を見計らって全裸になる行為をしていました。
ある日も同じように深夜の公園で全裸になっていたところ、パトロール中の京都府向日町警察署の警察官から職務質問を受け、職務質問の後、Aさんは公然わいせつ罪の疑いで取調べを受けることになってしまいました。
(事例はフィクションです。)

逮捕されてしまうのか

事例のように明確な被害者がいない場合は、逮捕されずに在宅事件として捜査されることもあります。
ただし、絶対に逮捕されないという訳ではありません。
Aさんのわいせつ行為を他の誰かが目撃して警察に通報していた場合、警察は周辺のパトロールを行い、防犯カメラが設置されていれば、防犯カメラ捜査も行われるでしょう。
通常、Aさんの様な行為は複数回行われる事が多く、常習性が高い傾向にあると思われます。
捜査の結果、犯人として特定され、同種の前科前歴があると捜査機関に判明すれば、常習性が高いと判断されて逮捕される可能性も高くなります。

弁護士に相談・依頼

逮捕されなければ、自身で弁護士を探して相談・依頼を行うことができます。
この場合は、早期に弁護士に相談して適切なアドバイスを受けることをお勧めいたします。
仮に逮捕されてしまうと、勾留の必要性について判断されることになります。
勾留の必要性がないと判断されればすぐに釈放されることもありますが、勾留の必要性があると判断されてしまうと捜査段階において最長23日間の身体拘束を受ける可能性もあります。

逮捕されれば

逮捕されると、身柄が拘束されて自由が制限されることになります。
逮捕された本人が直接、家族に連絡することも出来ませんし、ご家族であってもすぐに面会することもできません。
家族が面会できない状況においても、弁護士であれば接見することができます。
弁護士は接見を行い、逮捕された本人に事件の事実を確認した上、今後の取調べ等のアドバイスを行うことができます。
逮捕されて勾留されると、誰にも相談できませんし、今後どうすればいいかと不安が大きくなるでしょう。
そのような状況において、接見に訪れる弁護士に相談した上、具体的なアドバイスを受けることができるということは、とても心強いことだと思われます。

ご家族が事件を起こし、逮捕されてしまえば、まずは弁護士へ接見依頼することも重要だといえます。

弊所においても、逮捕された方に対する有料の初回接見をご案内しています。

公然わいせつ事件を起こしてしまい警察から取調べを受けている方やご家族が事件を起こして逮捕されてしまった方、その他の少年事件・刑事事件で警察から取調べを受けている方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にお電話ください。
ご相談は0120-631-881にて24時間年中無休でご予約を承っております。
初回無料相談逮捕されている方に対する有料の初回接見サービスをご案内いたします。
お気軽にご連絡下さい。

公然わいせつ事件について ①

2025-06-20

公然わいせつ事件について ①

取調べを受ける男性

今回は、深夜の誰もいない公園で全裸になっていたところ、警察に職務質問された場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

Aさんは、日頃のうっぷんを晴らすために、京都府長岡京市にある深夜の公園で誰もいない時間を見計らって全裸になる行為をしていました。
ある日も同じように深夜の公園で全裸になっていたところ、パトロール中の京都府向日町警察署の警察官から職務質問を受け、職務質問の後、Aさんは公然わいせつ罪の疑いで取調べを受けることになってしまいました。
(事例はフィクションです。)

公然わいせつ罪

刑法には、公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処すると記載されています。
(刑法第174条)

法定刑は、6月以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています。

公然とは

公然わいせつ罪における公然とは、不特定または多数人が認識することのできる状態のことをいいます。
不特定または多数人が認識する可能性があれば足りるとされ、実際に認識したことは必要とされていません。

わいせつな行為

わいせつな行為とは、判例では、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、普通人の性的羞恥心を害して善良な性的道義観念に反する」行為だとされています。

公然わいせつの具体例

公然わいせつ罪の具体例として公共の場所で、性器を露出する、性交等を行う、車の中から性器を見せ付けるという様な行為が挙げられます。

Aさんの行為について

Aさんは、公園において全裸になっています。
公園は、不特定または多数人が利用する公共の場所のため、公然性があるといえるでしょう。
全裸は性器の露出を伴うものであるため、わいせつ性が認められるでしょう。
よって、深夜の公園とはいえ、公共の場所において不特定または多数人が認識する可能性があるといえるため、公然わいせつ罪と判断されると思われます。
また、事例のAさんの行為は誰にも見られることはなかった様子ですが、実際に他人がわいせつ行為を認識した事は必要とされていないため、警察がAさんのわいせつ行為を確認して職務質問をしている以上、捜査されて事件化してしまう可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
公然わいせつ罪取調べを受けることになった方、捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

威力業務妨害罪について②

2025-06-18

威力業務妨害罪について②

サイバー犯罪をする男性

今回は、インターネットの掲示板に虚偽の爆破予告をした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市右京区在住のAさんは、世間から注目されたいと思い、インターネットの掲示板に「A中学校に爆弾を仕掛けた。」という書き込みをしました。
書き込みを見た人が通報したことで、A中学校は安全を確保するためにその日は休校となり、警察が爆発物の捜索を行いましたが、爆発物は設置されていませんでした。
Aさんはどのような罪となるのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

弁護士に相談

Aさんは、虚偽とはいえ、爆破予告を行ってしまった以上、警察の捜査は避けられないと思われます。
爆破予告は社会的影響の大きさから、捜査機関が犯人の特定に至った場合、逮捕・勾留、実名報道がなされてしまう場合もあります。
このような事態とならないために、まずは今後どのようにするべきかを弁護士に相談することをお勧めいたします。

早期に弁護士へ相談することで、自首や出頭、被害者側との示談交渉実名報道の回避も行えるかもしれません。
捜査機関に犯人だと発覚する前に自首を行えば、自首が成立して、刑の減軽の可能性もでてくるでしょう。
被害者側との示談が成立すれば、起訴前であれば、不起訴処分となる可能性も出てくるでしょう。
仮に事件が起訴されてしまっても、示談が成立することで刑事処分が軽くなる可能性もあります。

このように事件を起こしてしまっても、早い段階で弁護士に相談・依頼することで、自首示談交渉などがスムーズに行えるでしょう。

事件を起こして逮捕されてしまった場合でも、事前に弁護士に依頼しておけば、捜査の初期段階からしっかりとしたサポートを受けることができ、逮捕後の早期釈放や、重すぎる処分を回避できる可能性が出てきます。

まずは、弁護士に相談・依頼を行うことが大切だと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件・少年事件に精通した法律事務所です。
威力業務妨害事件を起こしてしまった方、ご家族が事件を起こして逮捕されてしまった方、その他の刑事事件について相談したい方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

威力業務妨害罪について①

2025-06-15

威力業務妨害罪について①

サイバー犯罪をする男性

今回は、インターネットの掲示板に虚偽の爆破予告をした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市右京区在住のAさんは、世間から注目されたいと思い、インターネットの掲示板に「A中学校に爆弾を仕掛けた。」という書き込みをしました。
書き込みを見た人が通報したことで、A中学校は安全を確保するためにその日は休校となり、警察が爆発物の捜索を行いましたが、爆発物は設置されていませんでした。
Aさんはどのような罪となるのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

Aさんはどのような罪となるのか

Aさんの行為は、威力業務妨害罪が成立すると考えられます。

威力業務妨害

威力業務妨害罪とは、威力を用いて人の業務を妨害するおそれのある行為をした場合に成立します。
条文にはこのように記載されています。

威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条による。
(刑法234条)

前条とは刑法233条のことを指します。
刑法233条は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処すると規定しています。

威力

威力業務妨害罪における威力とは、人の意思を制圧するような強い力や勢いの事をいいます。
暴行・脅迫行為の他に、団体の力を誇示したり、騒いだり、物を損壊することも威力と言えます。

実際にどのような行為が該当するのでしょうか。
例をあげると
・インターネットの掲示板に爆破予告の書き込みをする行為
・店の店員等に暴行や脅迫する行為
・大声で怒鳴ったり騒いだりする行為
・毎日、執拗なクレームを繰り返す行為
・殺害予告などの参考予告をする行為
等の行為によって業務を妨害するおそれが生じれば威力業務妨害罪が成立することとなります。

このように、威力を用いて人の業務を妨害するおそれのある行為を行い有罪判決となれば、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金となってしまうでしょう。

偽計と威力の区別

偽計と威力は、どちらも業務妨害の手段として用いられるものになります。
偽計とは、「人を欺く」「人を錯誤させて利用する」「計略や策略を講じる」等、威力以外の不正な手段の事をいいます。

偽計の例をあげると
飲食店に大量の注文や嘘の注文をする
店舗に対して根拠のない悪評や嘘の情報を流す
等の行為を行い、相手の業務を妨害するおそれを生じさせることで偽計業務妨害罪が成立するでしょう。

つまり、業務妨害罪における偽計は、「虚偽の情報を流す」「相手を騙す」「勘違いさせる」等の威力にあたらない行為により業務を妨害することで、威力は、「暴行」「脅迫」「威嚇」等の行為により業務を妨害する危険性を生じさせることを指します。

事例の検討

Aさんは、インターネットの掲示板に虚偽の爆破予告の書き込みをおこなっています。
この行為は、A中学校の生徒の安全を確保するために休校の措置を取らせているため、学校の業務を妨害した(業務を妨害するおそれを生じさせた)といえるでしょう。
事例の爆破予告は、虚偽とはいえ、実際に爆破行為が行われてしまうと、多数の死傷者や物が破壊されてしまうことから、A中学校関係者に恐怖心を抱かせて、その意思を制圧するに足りる強い力を示したと判断されて、Aさんには、威力業務妨害罪が成立すると思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では無料法律相談を行っています。
威力業務妨害罪で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

レンタル口座(口座売買事件)について②

2025-06-13

レンタル口座(口座売買事件)について②

通帳とお金

今回は、口座売買を行ったことにより、銀行口座が凍結されてしまった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市左京区に住むAさんは、生活に困窮していたため、SNSで見かけた「口座レンタル月々5000円」という話に応募することにしました。
応募後、Aさんは秘匿性の高い通信アプリに誘導され、通信相手から口座番号や暗証番号の情報を教えてレンタルさせるだけで、毎月5000円が手に入ると聞き、口座情報を教えてしまいました。
その後、相手からお金が振り込まれることもなく、さらに相手からの連絡も途絶えてしまいました。
数日後、銀行から口座を凍結する旨の連絡があり、Aさんの銀行口座が犯罪に使用されているおそれがあることを知りました。
Aさんはどうすればいいのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

逮捕されるのか

事例のAさんのように、他人に銀行口座を譲渡しただけの場合であれば、基本的には逮捕される可能性は低いと思われます。
しかし、絶対に逮捕されないというわけではないので注意は必要です。
仮に口座等の売買を行った本人が犯罪を行う実行犯と近い関係の場合や複数の口座売買を行っているような非常に悪質と言える場合は、逮捕される可能性もあるので注意が必要でしょう。

偽って口座を開設した場合

口座売買は、犯罪収益移転防止法の他にも、詐欺罪として捜査される場合があります。
事例のAさんは、自身の銀行口座を他人に譲渡していますが、譲渡した銀行口座を新たに開設する場合など、他人に譲渡する目的を隠して、銀行口座を開設すると、銀行に対する詐欺罪が成立するでしょう。

詐欺罪は刑法に定められた法律で、その法定刑は「10年以下の拘禁刑」となっています。
(刑法第246条)
詐欺罪は、犯罪収益移転防止法とは異なり、罰金刑の規定はありません。
詐欺罪となれば、犯罪収益移転防止法違反よりも、逮捕されてしまう可能性はさらに高くなってしまうでしょう。

口座売買に関与してしまえば

口座売買等により集められた銀行口座は、そのほとんどが詐欺などの犯罪に悪用されることになるでしょう。
前回のコラムにも記載したとおり、口座売買を行った本人が犯罪を行う実行犯と近い関係であったり複数の口座売買を日常的に行っているような非常に悪質と言える場合は、初犯でも起訴されるおそれがあるといえるでしょう。

口座売買等の事件に関与してしまい、今後、取調べを受ける可能性のある方は、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めいたします。

早期に弁護士への相談を行うことで、自身に有利となるように対応することができるでしょう。

銀行口座を他人に譲渡してしまい犯罪収益移転防止法違反で警察から取調べを受けている方や、ご家族が逮捕されてしまった方、その他の少年事件・刑事事件で警察から取調べを受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にお電話ください。
無料法律相談もしくは逮捕されている方に対する初回接見サービスをご案内いたします。
ご相談は0120-631-881にて24時間年中無休でご予約を承っております。
お気軽にご連絡下さい。

レンタル口座(口座売買事件)について①

2025-06-11

レンタル口座(口座売買事件)について①

通帳とお金

今回は、口座売買を行ったことにより、銀行口座が凍結されてしまった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市左京区に住むAさんは、生活に困窮していたため、SNSで見かけた「口座レンタル月々5000円」という話に応募することにしました。
応募後、Aさんは秘匿性の高い通信アプリに誘導され、通信相手から口座番号や暗証番号の情報を教えてレンタルさせるだけで、毎月5000円が手に入ると聞き、口座情報を教えてしまいました。
その後、相手からお金が振り込まれることもなく、さらに相手からの連絡も途絶えてしまいました。
数日後、銀行から口座を凍結する旨の連絡があり、Aさんの銀行口座が犯罪に使用されているおそれがあることを知りました。
Aさんはどうすればいいのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

口座売買とは

事例のように、「レンタル口座」をはじめ、「口座を利用する副業やアルバイト」の話がインターネット上で見られます。
「レンタルなので売買ではない」「口座の名義を貸すだけ」という話から一見犯罪ではないように感じますが、通帳やキャッシュカード、口座情報などを渡したり譲り受ける行為は、犯罪となります。
口座の譲渡・譲受、売買をおこなえば犯罪収益移転防止法により、処罰される可能性があります。

犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法とは、正式名称は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」のことをいいます。
犯罪収益移転防止法28条1項、2項では、他人に成りすまして使用する目的で譲り受け、譲り渡しするなど正当な理由なく通帳やキャッシュカード、銀行口座情報等の譲り受けや譲り渡しを禁止しており、これらの行為により有罪となれば、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科される場合があります。

Aさんの行為について

Aさんは、金銭を受け取るために口座を譲渡しようとしましたが、結果、金銭を受け取ることは出来ていません。
しかし、金銭を受け取ることが出来なくても、金銭を得る目的は正当な理由であるとはいえず、口座情報を譲渡してしまった以上は、犯罪行為となり、犯罪収益移転防止法違反として捜査機関からの捜査を受ける可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
犯罪収益移転防止法違反などでお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部へご相談ください。
無料法律相談に関するお問い合わせは、0120-631-881までご連絡いただくか、お問合せフォームをご利用ください。

口論からの暴力行為について

2025-06-08

口論からの暴力行為について

胸ぐらを掴む男性

今回は、口論からカっとなり暴力行為をおこなってしまった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市伏見区在住のAさんは京都駅構内を歩いていたところ、同じく歩行中のVさんと肩がぶつかり、口論となってしまいました。
口論が次第にエスカレートしていき、カっとなったAさんがVさんの胸ぐらを右手で掴み、そのまま突き飛ばしました。
突き飛ばされたVさんに怪我はありませんでしたが、Vさんが現場に駆け付けた警察官に胸ぐらをつかまれて突き飛ばされた状況を話したことで、Aさんは京都府伏見警察署に任意同行されることになりました。
(事例はフィクションです。)

暴行罪とは

暴行罪の条文には、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処すると規定されています。
(刑法208条)

暴行罪における「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
最もイメージしやすい行為としては、殴る、蹴るなどの行為が「暴行」と言えるでしょう。

人の身体に対する不法な有形力の行使とは、人の身体に対しての直接的な暴行行為以外にも人の身体に向けられたものであればよく、人の身体に向かって物を投げた結果、投げたものが直接当たっていないとしても、「暴行」となります。

なお、暴行行為の結果、人を傷害するに至らなければ「暴行」となり、人に傷害を負わせた場合に暴行罪よりもさらに重い刑罰である「傷害罪」が成立することになります。

暴行の既遂時期について

暴行罪は暴行行為に着手した時点で既遂となります。
暴行の行為自体が犯罪であるため、殴る、蹴るなどの暴行行為を行った時点で既遂となるのはもちろんの事、殴りかかったが空振ってしまい当たらなかった場合等でも暴行の動作をおこなえば暴行にあたるでしょう。

暴行の故意と過失

過失による罪の成否について刑法では、罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでないと規定されています。
(刑法第38条1項)
過失により犯罪にあたる結果が生じた場合については、原則として犯罪を行う意思(故意)がなければ罪は成立しないとされています。

暴行罪に過失についての規定はないので、過失によって暴行にあたる行為が生じても犯罪にはあたりません。
普段の日常生活においても、事例のように、道を歩いていて他人の肩や荷物が不注意でぶつかってしまう場合もあるかと思います。
不注意、つまり過失であれば、故意が認められず、暴行罪には該当しないと言えるでしょう。
ただし、わざと他人にぶつかりに行く様な明らかに故意と認められる場合は、暴行行為として判断されるでしょう。

事例の検討

AさんとVさんは、お互いに過失によりぶつかっているため、肩と肩がぶつかる行為は暴行罪が規定する暴行とは言えないでしょう。
その後、口論となり、Aさんはカっとなって、Vさんの胸ぐらを掴み、さらに押してしまっています。
Aさんの行為は、Vさんに対する不法な有形力の行使といえ、胸ぐらをつかんで押した結果、傷害に至らなかったとして、暴行罪と判断されることになるでしょう。

弁護士に相談

事例の場合では、すでにAさんに対して任意での取調べが始まっています。
取調べを受けることになったからといって直ちに逮捕されるわけではありません。
捜査機関が事件の内容を総合的に判断した上で、かつ、逃亡や罪証隠滅のおそれがあるかどうかによって逮捕されるかどうかが決まります。
本件の事例であれば、犯行の動機も単純であり、お互いの居住地が離れていて今後出会う可能性が低い等の事情があれば、逮捕される可能性は低いと思われ、逮捕されずに在宅事件として捜査が進んでいく可能性が高いと思われます。
ただし、絶対に逮捕されないというわけではないため、まずは、刑事事件に強い弁護士を探して、事件について相談するのが良いでしょう。

早期に弁護士に相談することで、今後どのように行動すればいいのか等の的確なアドバイスが得られるでしょう。
さらに弁護士に正式に依頼することで、相手方との示談交渉もスムーズに行うことができ、自身の有利な方向に進むかもしれません。

なるべく早く弁護士に相談・依頼して、事件解決に向けて行動していくことをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件・少年事件に精通した法律事務所です。
自身が暴行事件を起こしてしまった、ご家族が暴行事件を起こして困っている、その他の事件関係で相談・依頼を希望される方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

自身のわいせつ画像をインターネット上にアップロードしてしまった行為について②

2025-06-06

自身のわいせつ画像をインターネット上にアップロードしてしまった行為について②

サイバー犯罪をする男性

今回は、わいせつ画像をネット上にアップロード(わいせつ電磁的記録媒体陳列罪)の行為をおこなってしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

ある日、京都府城陽市に住むAさんは興味本位からインターネット上の誰でも閲覧可能なウェブサイトに自身のわいせつ画像をアップロードしました。
後日、自身の行った行為が犯罪となることを知り、すぐにウェブサイト上の画像を削除しましたが、警察の捜査が始まるのではないかと心配しています。
(事例はフィクションです。)

捜査及び逮捕されるのか

Aさんのおこなった行為が発覚する経緯として考えられるのは、Aさんがアップロードしたわいせつ画像や動画等を見た人が警察に被害申告をする場合や、ウェブサイトを運営する管理者が被害申告をする場合、警察のサイバーパトロールによりアダルト画像等が発見されて捜査が始まる場合などが考えられると思われます。
いずれも警察が事件を把握すれば、捜査が始まる可能性は高いと言えるでしょう。

本事例の事件内容であれば、逮捕の可能性は低いと思われます。
ただし、全く逮捕されないというわけではなく、警察が悪質な事案で逮捕の必要性があると判断すれば、逮捕される可能性もあります。
わいせつな画像や動画等をアップロードしてしまったという方はすぐに弁護士に相談することをおすすめします。

もし逮捕されたら

逮捕されてしまったらどうすればいのでしょうか。
通常、逮捕されると、身柄を拘束されることになり、自由が制限されます。
また家族等にも連絡できず、ましてや事件の事について誰にも相談できない状況となります。

このような事態を避けるために、まずは、弁護士へ接見依頼を行いましょう。
弁護士へ接見依頼することで、弁護士は逮捕された方と面会することができ、的確なアドバイスをおこなうことができるのです。

逮捕・勾留による身柄拘束が長引くと、仕事や学校等の社会生活が送れず、最悪、会社を解雇、学校を退学処分となってしまうかもしれません。
そうならないようにするためにも、早期に弁護士に依頼し、早期釈放に向けた弁護活動を行うことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した法律事務所です。
逮捕されてしまった方のために「初回接見」(有料)を実施しており、ご相談のお問い合わせについては、24時間365日受付中です。
わいせつ画像をアップロードしてしまった方やご家族が逮捕されてしまった方、その他の刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

自身のわいせつ画像をインターネット上にアップロードしてしまった行為について①

2025-06-01

自身のわいせつ画像をインターネット上にアップロードしてしまった行為について①

サイバー犯罪をする男性

今回は、わいせつ画像をネット上にアップロード(わいせつ電磁的記録媒体陳列罪)の行為をおこなってしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

ある日、京都府城陽市に住むAさんは興味本位からインターネット上の誰でも閲覧可能なウェブサイトに自身のわいせつ画像をアップロードしました。
後日、自身の行った行為が犯罪となることを知り、すぐにウェブサイト上の画像を削除しましたが、警察の捜査が始まるのではないかと心配しています。
(事例はフィクションです。)

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪とは、刑法175条1項のわいせつ物頒布等罪の一つの類型のことをいい、わいせつな電磁的記録に係る記録媒体を陳列した場合に成立します。

わいせつ物頒布等罪は、刑法175条に規定されています。

わいせつ物頒布等罪(刑法175条)
1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は拘禁刑及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

最高裁判所の判例で、わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものとされています。

頒布とは、不特定又は多数の人に対して交付することをいいます。
有償無償は関係なく、不特定又は多数の人に交付した時点で頒布となると解されています。
また、1対1の交付は頒布にあたらないと解されています。

公然と陳列とは、不特定又は多数の人が認識できる状態に置くことです。
不特定又は多数の人が認識できる状態に置くことで成立となり実際に認識できたかどうかまでは要求されていないと解されています。

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪により有罪判決を受けると、2年以下の拘禁刑若しくは250万円以下の罰金もしくは科料、又は拘禁刑及び罰金を併科されることになります。

どのような場合にわいせつ物陳列罪となるのか

・不特定多数の人が閲覧可能なインターネット上のウェブサイトにアダルト画像や動画等 をアップロードする
・不特定多数の人が閲覧できるSNS等にアダルト画像や動画等を公開する
・公共施設等、不特定多数の人が閲覧可能な場所にアダルト画像等を掲示する
このような行為がわいせつ物陳列罪に該当すると言えるでしょう。

Aさんは何罪となるのか

事例のAさんは、自身のわいせつな画像を不特定多数の人が閲覧可能なインターネット上のウェブサイトにアップロードしているので、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪が成立することになるでしょう。

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わいせつ電磁的記録媒体陳列罪などで捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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