【事例紹介】国宝に傷をつけ、文化財保護法違反で追送検

国宝である仁和寺の金堂に傷をつけたとして、器物損壊罪文化財保護法違反の容疑で追送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都市右京区御室の真言宗御室派総本山・仁和寺の国宝金堂を傷つけたとして、京都府警右京署は5日、器物損壊と文化財保護法違反の疑いで、京都市右京区の無職の男(75)を追送検した。
追送検容疑は、(中略)同寺金堂に侵入しようと、工具で金堂西側の木製扉の金具を切断し、扉に長さ4センチ、幅5ミリの傷を付けた疑い。
(後略)

(7月5日 京都新聞 「「さい銭箱狙った」京都・仁和寺の国宝金堂傷つけた疑い、75歳の男を追送検」より引用)

国宝の毀損と文化財保護法、器物損壊罪

今回の事例では、容疑者が国宝である仁和寺の金堂に傷をつけたとして、文化財保護法違反の容疑で追送検されています。
国宝に傷をつけたことにより、文化財保護法違反で有罪になるとどのような刑罰が科されるのでしょうか。

文化財保護法第195条では、「重要文化財を損壊し、毀棄し、又は隠匿した者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
文化財保護法第198条が規定する重要文化財には、国宝も含まれます。
ですので、国宝損壊、毀損、隠匿した場合も文化財保護法違反にあたり、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

今回の事例では、容疑者が仁和寺の金堂を傷つけたと報道されています。
仁和寺の金堂は国宝に指定されていますので、実際に容疑者が金堂に傷をつけたのであれば、文化財保護法違反が成立するかもしれません。

加えて、今回の事例では器物損壊罪でも追送検されています。
器物損壊罪は、簡単に説明すると、他人の物を傷つけたり、壊した場合に成立する犯罪です。
器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料です。(刑法第261条)
国宝などの重要文化財を対象とした文化財保護法の方が、器物損壊罪よりも科される刑罰が重くなっています。

文化財保護法違反と弁護活動

刑事事件では、被害者と示談を締結することで、科される罪が軽くなる場合があり、文化財保護法違反も例外ではありません。

また、今回の事例では、文化財保護法違反の他に器物損壊罪でも追送検されています。
器物損壊罪親告罪(刑法第264条)ですので、被害者と示談を締結して告訴を取り下げてもらうことができれば、器物損壊罪で刑罰を科されることはありません。

示談交渉を行うためには、警察官などから被害者の連絡先を教えてもらう必要があります。
ただ、加害者自らが示談交渉を行う場合には、証拠隠滅などの観点から連絡先を教えてもらえない可能性が高いです。
弁護士が間に入ることで、被害者の連絡先を教えてもらえる場合がありますので、示談交渉を行う際には弁護士を代理人として行うことが望ましいでしょう。
また、弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、トラブルを回避できる可能性がありますので、示談交渉の際には弁護士を入れることをお勧めします。

弁護士は示談交渉以外にも、取調べのアドバイスや検察官への処分交渉なども行います。
今回の事例であれば、取調べの際に、何を使用してでどのように傷をつけたのかなどを聴かれることになるでしょう。
弁護士が事前に取調べで聴かれる内容を予測し供述すべき内容をアドバイスすることで、あなたの不利になるような証拠の作成を防げるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した弁護士事務所です。
刑事事件に精通した弁護士による、示談交渉取り調べのアドバイスなどによって、少しでも科される刑罰を軽くできるかもしれません。
文化財保護法違反器物損壊罪、その他刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部無料法律相談をご利用ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら