市役所勤務の元部長が部下をたたいたとして略式命令

市役所勤務の元部長が部下をたたいたとして略式命令

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市役所勤務の元部長が元部下の頭を叩いたとして略式命令を受けた刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都地方検察庁によりますと、京都府南丹市役所の元部長の男(56)が昨年(2024年)12月15日、職場でその当時部下であった男性の後頭部をたたいたとして傷害罪略式起訴され、12月26日、裁判所から罰金15万円の略式命令を受けたとのことです。
同署によりますと、男は昨年12月1日、職場で元部下である男性を叱責し後頭部を厚みのある書類でたたいているところを、別の職員が目撃し110番通報をしたとのことです。
たたかれた男性はむち打ちと診断され、男は「ケガを負わせるつもりはなかった」と供述していたとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

人を殴ったら何罪になる?

故意をもって他人に暴行し相手がケガをしなかった場合は暴行罪(刑法第208条)が成立し、刑罰は2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられます。
一方、相手がケガをした場合は傷害罪(刑法第204条)が成立し、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処すると、さらに重い罰則が規定されています。

意図していた結果以上の重い結果が発生した場合を結果的加重犯と呼びます。
例えば相手にケガを負わせる意図がなく暴行をした末、結果的に相手がケガを負った場合には傷害罪が成立し、さらに重い結果として相手が死亡した場合には、傷害致死罪(刑法第205条)が適用されることがあります。

略式命令とは?

今回の事例のように財産刑(罰金、科料、没収)を科する、公判を開くことなく書面審理で行う簡易的な手続きを略式手続といいます。
刑事訴訟法第461条から第470条にて規定されています。

一般的に略式手続の流れは以下のようになります。
・検察官による捜査が終わり財産刑の処分が相当と判断した場合、被疑者および弁護士にその意向が伝えられます。
・被疑者および弁護士が承諾した場合、検察官は被疑者に対し、略式手続きの必要事項を説明し、通常の裁判を受けることができる旨を告げ、略式手続に異議がないか確かめます。
・意義がない場合は書面でその旨を明らかにし、被疑者が署名押印をします。
・検察官が上記の書面とともに起訴状、事件の証拠書類等を添付して裁判所に略式命令(一般の裁判でいう判決にあたります)の請求をします。
このように検察官が略式手続で起訴をすることを略式起訴といいます。
・特に審理が必要ないと判断した場合、裁判所は請求を受けた日から14日以内に略式命令を発します。
・納付書が届き、罰金を納付します。
ここで期日をすぎても納付ができない場合、その金額を日数に換算して労役場に留置し、労役に服する処分が科せられます(換刑処分)

なお略式命令を受けた者が正式裁判を請求した場合でも、判決が出る前に請求書を取り下げれば、略式命令を確定させることは可能です。

略式手続は被告人にとってメリットがあります。
①手続が簡易で時間がとられない
②公開の法廷に立つ必要がないため、公の場に晒されることがない
③身柄拘束がされていた場合は、早期に釈放になる

しかし、デメリットもあります。
①違法な捜査での証拠もそのまま審理で使用されることになる
②公判のように事実の争いができない(無罪の主張などができない)
③罰金刑でも前科がつきますので、前科がつくことが確定する

今回の事例では後頭部をたたき、むち打ちの診断を受けていますので、相手にケガを負わせる意図がなかったとしても、傷害罪が成立するでしょう。
また略式命令により罰金15万円を科されていますので、前科がつくことになります。

略式起訴されたら

上記に記載したように略式起訴はメリット・デメリットがあります。
身柄拘束が続きそのまま公判で争うことにより更に拘束期間が長くなる事を回避したい場合や、事実の争いがなく刑罰も財産刑で相当と認められる場合は、略式起訴で進めることを弁護士から検察に掛け合うことが可能な場合もあります。
また事実関係に争いがある場合には略式起訴を拒否し、公判に持ち込むことも可能です。

略式起訴を受け入れるか、拒否して公判を行うかの見極めは難しく、公判で争うことにより、財産刑より重い自由刑(拘禁刑など)になる場合もありますし、裁判次第では身柄拘束が長期に及び、社会復帰に時間がかかる可能性もあります。

略式起訴を受け入れるのか悩んでいる場合は刑事事件に精通した弁護士が力強い味方になります。
被疑者にとって一番に良い方法を一緒に考え、そのために検察との交渉を円滑にすすめてくれるでしょう。
場合によっては不起訴をめざすことも可能かもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件の実績を積んだ弁護士が皆さんのサポートをいたします。

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