口論からの暴力行為について

口論からの暴力行為について

胸ぐらを掴む男性

今回は、口論からカっとなり暴力行為をおこなってしまった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市伏見区在住のAさんは京都駅構内を歩いていたところ、同じく歩行中のVさんと肩がぶつかり、口論となってしまいました。
口論が次第にエスカレートしていき、カっとなったAさんがVさんの胸ぐらを右手で掴み、そのまま突き飛ばしました。
突き飛ばされたVさんに怪我はありませんでしたが、Vさんが現場に駆け付けた警察官に胸ぐらをつかまれて突き飛ばされた状況を話したことで、Aさんは京都府伏見警察署に任意同行されることになりました。
(事例はフィクションです。)

暴行罪とは

暴行罪の条文には、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処すると規定されています。
(刑法208条)

暴行罪における「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
最もイメージしやすい行為としては、殴る、蹴るなどの行為が「暴行」と言えるでしょう。

人の身体に対する不法な有形力の行使とは、人の身体に対しての直接的な暴行行為以外にも人の身体に向けられたものであればよく、人の身体に向かって物を投げた結果、投げたものが直接当たっていないとしても、「暴行」となります。

なお、暴行行為の結果、人を傷害するに至らなければ「暴行」となり、人に傷害を負わせた場合に暴行罪よりもさらに重い刑罰である「傷害罪」が成立することになります。

暴行の既遂時期について

暴行罪は暴行行為に着手した時点で既遂となります。
暴行の行為自体が犯罪であるため、殴る、蹴るなどの暴行行為を行った時点で既遂となるのはもちろんの事、殴りかかったが空振ってしまい当たらなかった場合等でも暴行の動作をおこなえば暴行にあたるでしょう。

暴行の故意と過失

過失による罪の成否について刑法では、罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでないと規定されています。
(刑法第38条1項)
過失により犯罪にあたる結果が生じた場合については、原則として犯罪を行う意思(故意)がなければ罪は成立しないとされています。

暴行罪に過失についての規定はないので、過失によって暴行にあたる行為が生じても犯罪にはあたりません。
普段の日常生活においても、事例のように、道を歩いていて他人の肩や荷物が不注意でぶつかってしまう場合もあるかと思います。
不注意、つまり過失であれば、故意が認められず、暴行罪には該当しないと言えるでしょう。
ただし、わざと他人にぶつかりに行く様な明らかに故意と認められる場合は、暴行行為として判断されるでしょう。

事例の検討

AさんとVさんは、お互いに過失によりぶつかっているため、肩と肩がぶつかる行為は暴行罪が規定する暴行とは言えないでしょう。
その後、口論となり、Aさんはカっとなって、Vさんの胸ぐらを掴み、さらに押してしまっています。
Aさんの行為は、Vさんに対する不法な有形力の行使といえ、胸ぐらをつかんで押した結果、傷害に至らなかったとして、暴行罪と判断されることになるでしょう。

弁護士に相談

事例の場合では、すでにAさんに対して任意での取調べが始まっています。
取調べを受けることになったからといって直ちに逮捕されるわけではありません。
捜査機関が事件の内容を総合的に判断した上で、かつ、逃亡や罪証隠滅のおそれがあるかどうかによって逮捕されるかどうかが決まります。
本件の事例であれば、犯行の動機も単純であり、お互いの居住地が離れていて今後出会う可能性が低い等の事情があれば、逮捕される可能性は低いと思われ、逮捕されずに在宅事件として捜査が進んでいく可能性が高いと思われます。
ただし、絶対に逮捕されないというわけではないため、まずは、刑事事件に強い弁護士を探して、事件について相談するのが良いでしょう。

早期に弁護士に相談することで、今後どのように行動すればいいのか等の的確なアドバイスが得られるでしょう。
さらに弁護士に正式に依頼することで、相手方との示談交渉もスムーズに行うことができ、自身の有利な方向に進むかもしれません。

なるべく早く弁護士に相談・依頼して、事件解決に向けて行動していくことをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件・少年事件に精通した法律事務所です。
自身が暴行事件を起こしてしまった、ご家族が暴行事件を起こして困っている、その他の事件関係で相談・依頼を希望される方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

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