足を踏まれて激怒し相手に土下座を強要した事件

足を踏まれて激怒し相手に土下座を強要した事件

胸ぐらを掴む男性

コンビニで誤って足を踏んできた相手に対し、土下座と謝罪を強要した事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都市西京区にあるコンビニで買い物をしていた男性(46)が、下校中の男子高校生(16)に足を踏まれたことに激怒し胸ぐらを掴んだうえ、「痛いなぁ!謝れ!土下座しろ!」などと大声をあげて謝罪と土下座をさせた。
被害にあった男子高校生は、友人と話しながら店内を歩いており、周囲のようすを確認できておらず誤って男の足を踏んでしまった。
被害男子高校生が泣きながら帰宅し両親が被害届を提出したため、西京警察署は店内のカメラから男を特定し、強要罪の疑いで一度署まで出頭するよう要請している。
(事案はフィクションです。)

強要罪

刑法223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

強要罪が成立するには、①強要の手段として脅迫・暴行を加えたこと、②人に義務のないことを行わせたこと、又は人の権利行使を妨害したこと、③強要の手段である脅迫・暴行と、強要の結果との間の因果関係が必要です。

本件では、男は男子高校生の胸ぐらを掴んでいます。
強要罪における暴行とは、人に対する有形力の行使を意味しますから、男の胸ぐらを掴む行為は強要罪における暴行と言えそうです(①)。

次に、男は男子高校生に謝罪と土下座をさせていますから、これが人に義務のないことを行わせたことになるのかが問題となります。
たしかに、悪気はなかったとしても人の足を踏んでしまったのであれば、法的義務はなくても、社会倫理上謝罪すべき義務があるといえるかもしれません。

この点、強要罪における義務とは、法的義務に限定するという立場(法的権利義務限定説)があります。
この立場に立てば、足を踏んだことに対して謝罪することは法的義務ではない以上、強要罪における義務を男子高校生は負っていないことになり、男は義務なき行為をさせたとして強要罪が成立する可能性があります。

これに対し、強要罪における義務とは、法的義務に限定されず社会倫理上の義務も含むという立場(無限定説)があります。
この立場に立てば、男子高校生には人の足を踏んでしまったため社会倫理上謝罪する義務があるといえそうであり、社会倫理上謝罪する義務があるのであれば強要罪における義務に含まれることになります。
そうすると、男は、男子高校生が負っている義務をさせたことになりますから、強要罪は成立しない可能性があります。

もっとも、本件で男は、謝罪だけでなく土下座までさせています。
うっかり人の足を踏んでしまったとしても、土下座させるのはやりすぎでしょう。
法的にはもちろん社会倫理的にも土下座をする義務はないと思われますから、土下座させた点をとらえて、男が「人に義務のないことを行わせた」といえそうです(②)。
したがって、男には強要罪が成立する可能性があります。

さらに①暴行と②土下座の因果関係も必要です。
本件では、高校生は男に胸ぐらを掴まれて怒鳴られたために土下座したようなので、因果関係もあるといえそうです(③)。
以上より、本件では強要罪が成立する可能性があります。

出頭の前に弁護士に相談を

本件では、被害届を受けた西京警察署が男を特定して出頭するように要請しています。
出頭すれば、取調べを受けることになります。
取調べでは、調書にサインを求められる可能性があります。
取調べの結果を記した調書はサインすることで裁判になったときの強力な証拠となるので、不利な調書の作成を防ぐためにも取調べの前に何をどう話すのか精査する必要があります。
もっとも、法的な知識が十分になくては、精査することは困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に一度ご相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強要事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
初回の相談は無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

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