【事例紹介】魔改造フィギュアで書類送検

魔改造フィギュアを販売したとして、著作権法違反の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

人気アニメ(中略)のキャラクターのフィギュアを改造して販売したとして、京都府警北署は10日、著作権法違反の疑いで、(中略)書類送検した。
書類送検容疑は、(中略)に登場する(中略)の頭部と、別作品のキャラクターの胴体を組み合わたフィギュア4体を、ネットオークションを通じて木津川市の男性ら3人に計3万2400円で販売した疑い。「小遣い稼ぎにやった」などと容疑を認めているという。
フィギュアの頭部と胴体を組み替える手法は「魔改造」と呼ばれ、女性キャラクターの性的な外見を強調した改造品の販売がインターネットで横行している。(後略)

(3月10日 京都新聞 「「鬼滅」禰豆子と蜜璃の「魔改造」フィギュアを販売疑い 病院職員を書類送検」より引用)

魔改造フィギュアと著作権侵害

著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものをいいます。(著作権法第2条1項1号)
ですので、原則として、人によって創作された物は著作物に該当します。

また、著作権法では、著作物の財産的利益の他にも、著作者の人格的利益を保護しています。
この著作者の人格的な利益を保護する権利を著作者人格権といい、著作者人格権には「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」の3つの権利があります。

公表権、氏名表示権同一性保持権とはどういった権利なのでしょうか。

公表権とは、公表されていない著作物を公衆に提供、提示する権利をいいます。(著作権法第18条1項)
また、氏名表示権とは、著作物の提供や提示の際に著作者名を表示又は表示しない権利を指します。(著作権法第19条1項)
さらに、同一性保持権とは、著作物を著作者の意に反して変更、切除、その他の改変を受けない権利をいいます。(著作権法第20条第1項)

今回の事例では、容疑者が魔改造フィギュアを販売したとされています。
魔改造フィギュアとは、報道の通り、キャラクターのフィギュアの頭部と別のキャラクターのフィギュアの胴体を組み合わせて作成されたフィギュアのことをいいます。
フィギュアになっているアニメのキャラクターは、著作権者であるアニメの原作者が創作したものですので、当該キャラクターはもちろん、キャラクターが象られたフィギュアも著作物にあたります。
魔改造フィギュアを作成する行為は、著作者の同意なくキャラクターの姿を変える行為であり、著作物改変しているといえます。
したがって、魔改造フィギュアの作成は著作者人格権の1つである同一性保持権を侵害する行為になります。

著作権法第113条1項2号では、著作者人格権を侵害する行為によって作成された物を、事情を知りながら頒布することを禁止しています。
今回の事例では、容疑者が魔改造フィギュアを販売し、著作権法違反の容疑で書類送検されています。
先ほど述べたように、魔改造フィギュアの作成は著作者人格権の侵害にあたりますので、魔改造フィギュアだと知りながら、魔改造フィギュアを販売する行為は、著作権法違反の罪が成立する可能性があります。

著作者人格権の侵害と量刑

著作者人格権を侵害し、著作権法違反で有罪になった場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます。(著作権法第119条2項1号)
併科というのは、懲役刑と罰金刑の両方を科すという意味です。

刑事事件では捜査の一環として、取調べが行われます。
取調べでは、容疑者の供述を基に供述調書が作成されます。
供述調書は後の裁判で証拠として扱われます。
ですので、取調べであなたの意に反した供述調書が作成されてしまった場合は、後の裁判であなたが不利になってしまう可能性があります。
弁護士と事前に取調べ対策を行うことで、あなたの意に反した供述調書の作成を防ぎ、裁判になった際に執行猶予付きの判決を獲得するなど、あなたにとって良い結果を目指せるかもしれません。

また、著作権者と示談を締結することで、不起訴処分の獲得や科される量刑を軽くできる場合があります。
加害者が被害者に直接示談交渉を行うと、話を聴いてもらえない場合やそもそも連絡すら取れない場合があります。
そういった場合でも、弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、話を聴いてもらえる可能性があります。
示談交渉をする際は、弁護士を代理人として付けることが望ましいといえます。

取調べ対策示談交渉の他にも、弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
弁護士が、あなたの有利になるようになる事情を検察官に主張することで、不起訴処分の獲得など、あなたにとってより良い結果を得られる可能性があります。

著作者人格権侵害による著作権法違反は、懲役刑が最長で5年罰金額が最大で500万円とかなり重く規定されています。
刑事事件に精通した弁護士による弁護活動で、不起訴処分略式命令での罰金執行猶予付き判決の獲得など、少しでも科される量刑を軽くできるかもしれません。
著作権法違反でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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