【事例紹介】玄関マットに尿をかけ、器物損壊罪で逮捕

京都で起きた、隣人の玄関マットに尿をかけ器物損壊罪逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

(前略)
器物損壊の疑いで逮捕されたのは、(中略)看護師の男です。
男は今年2月12日の未明、自宅の隣家の玄関先に敷かれていたマットに自らの尿をかけた疑いがもたれています。
朝に持ち主が濡れているマットを発見し、設置されている防犯カメラを確認したところ、放尿している男の姿が映っていたということです。
男は警察の調べに対し「隣人宅の生活音に腹を立てていた」とし、「放尿したことは間違いありません」と容疑を認めています。
(後略)

(10月12日 ABCニュース 「隣人の玄関マットに尿かけた疑い 「生活音に腹立てていた」 54歳看護師の男逮捕 防犯カメラに姿映る 京都」より引用)

器物損壊罪

器物損壊罪は、簡単に説明すると、人の物(家や公的または私的な文書を除く)を損壊した場合に成立します。
器物損壊罪で有罪になった場合は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第261条)

損壊と聞くと物を壊してしまった場合にのみ適用されそうですが、物が壊れていなくても器物損壊罪が適用されるケースがあります。
例えば、人が飼っているペットを死傷させてしまった場合や、壊れてはいないが心理的に使えなくなった場合も器物損壊罪にあたります。

今回の事例では、看護師の男性は隣人の玄関マットに尿をかけています。
玄関マットに尿をかけただけで玄関マットが壊れるとは考えられません。
しかし、尿がかけられた玄関マットは、気持ち悪くて今後使えないでしょう。
ですので、玄関マットは男性の行為により心理的に使えなくなったと考えられます。
物自体が壊れていなくても、心理的に使うことができなくなれば器物損壊罪にあたりますから、今回の事例の男性の行為は器物損壊罪に該当します。

人の物に体液をかけ刑事罰が下された事例

「人の物に尿などの体液をかけただけで、罰金や懲役刑が下されるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実際に、人の物に体液をかけ罰金刑が下された事例をご紹介します。
(今回の事例とこれからご紹介する事例では事件内容など、異なる部分があります。)

その事件では、結婚式場でアルバイトをしている男性が、アルバイト先の式場で新婦の下着に体液をかけました。
その後、三重県警に器物損壊罪の容疑で逮捕され、略式起訴により罰金30万円が科されました。
(2022年5月31日 産経新聞 「新婦下着に体液かけた元津市職員に罰金30万円」より)

ご紹介した結婚式場の事例では、人の物に体液をかけたことによる器物損壊罪で罰金刑が下されています。
今回の事例も人の物に体液(尿)をかけていますので、事件の内容が多少異なるとしても、結婚式場の事例同様に罰金刑が下されるかもしれません。

今回の事例の男性は看護師です。
看護師資格などの国家資格は、刑事処罰を受けた場合に資格をはく奪される場合があります
また、罰金刑であっても前科になってしまいますので、転職などの際に前科があることで不利になるおそれもあります。

ここで注目すべきなのは、器物損壊罪親告罪であるということです。
親告罪という犯罪は、被害者などの告訴権者が告訴をしなければ起訴できません
つまり、器物損壊事件で被害者が被害届を取下げたり告訴の取り消しを行った場合は起訴されない=刑罰を受けないということになります。
被害届や告訴などを取下げてもらうためには、謝罪や賠償を行う必要があるでしょう。
ですが、加害者自らが被害者に謝罪と賠償を申し出ることでトラブルを生む可能性がありますし、被害者が加害者と直接連絡を取りたくない場合もあります。
そんな場合であっても、弁護士が代理人として間に入って謝罪や賠償を申し出ることにより、話を聞いてもらえる場合やトラブルを回避できる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
器物損壊罪で逮捕、捜査されている方、示談でお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120―631―88124時間受け付けております。

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