滋賀県甲賀市で保釈を目指す②
~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県甲賀市で強制性交等事件を起こし、滋賀県甲賀警察署に逮捕されました。
その後の捜査で、Aさんは同様の強制性交等事件を複数起こしていることが発覚しました。
Aさんは、最初に逮捕された強制性交等事件で勾留されましたが、勾留延長満期を迎えるとすぐに別の強制性交等事件の被疑者として再逮捕されました。
Aさんの家族は、Aさんの身体拘束が長引いていることからAさんを心配し、京都府・滋賀県で身柄解放活動に動いてくれる刑事事件に強い弁護士を探し、相談しました。
そこでAさんの家族は、保釈についても詳しく話を聞きました。
(※この事例はフィクションです。)
・保釈
保釈は、起訴後、つまり被疑者から被告人になった後、刑事裁判になることが確定した後に取ることのできるようになる手続きで、保釈金納付や住居の制限などの条件を課した上で釈放を許可するというものです。
被疑者段階での保釈は認められません。
これは、保釈について規定している条文が、「被告人は」という文言のみを使用しており、被疑者に対してこの規定を準用するような規定もないからです。
大まかな保釈の流れとしては、起訴後、裁判所に対して保釈請求を行い、保釈決定が出てから保釈金(保釈保証金)を納付することで釈放が行われる、というものになります。
この保釈は、前の記事でも取り上げたように、被疑者段階での身柄解放を求める活動に比べれば認められやすいのは確かですが、請求をすれば必ず保釈されるというものでも、保釈金を高額にしたら必ず保釈されるというものでもありません。
保釈については、刑事訴訟法に規定が存在します。
刑事訴訟法
89条
保釈の請求があったときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
1号 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
2号 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
3号 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
4号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
5号 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
6号 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
90条
裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
91条
勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、第88条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
このうち、刑事訴訟法89条に規定されている保釈について「権利保釈」(または「必要的保釈」、「請求保釈」)、刑事訴訟法90条に規定されている保釈が「裁量保釈」(または「職権保釈」)、刑事訴訟法91条に規定されている保釈が「義務的保釈」と呼ばれます。
権利保釈の場合、刑事訴訟法89条1号~6号の事由に該当しなければ原則として保釈は認められることとなります。
しかし、もしもこれらの事由に該当してしまった場合であっても、逃亡や罪証隠滅のおそれのないこと等を説得的に主張することによって、刑事訴訟法90条の規定する裁量保釈を狙うことができます。
ただし、この主張は刑事事件・刑事手続きの専門的知識がなければ説得的に行うことが難しいですから、専門家である弁護士のサポートを受けながら協力して保釈獲得を目指していくことが望ましいでしょう。
刑事訴訟法89条の事由に該当しているからといってすぐにあきらめず、弁護士と連携し、保釈を求めていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、事件ごとに臨機応変な対応を行い、保釈を目指して活動していきます。
京都府・滋賀県で保釈にお悩みの際は、弊所弁護士までご相談ください。
次回の記事では、事例のAさんについて具体的に当てはめて検討を行います。
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