少年事件

1 少年事件と成人事件の違い

少年法1条には次のようなことが書かれています。

「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う・・・ことを目的とする」

つまり、過ちを犯した少年に対しては成人のように刑罰ではなく、健全な成長・発達を促す働きかけが必要であるという考え方がとられています。

これに伴い、少年事件においては、手続きにおいて成人とは異なる進行がなされます(なお、捜査段階では、被疑者が少年の場合でも基本的には刑事訴訟法が適用されます)。

また、少年の被疑事実について捜査を遂げた結果、家庭裁判所の審判に付すべ事由がある場合には、すべての事件を家庭裁判所に送致することを義務付けています(全件送致主義)。

この点でも、不起訴処分制度がある成人の手続きと異なります。

具体的な手続きの流れを示すと、下記のとおりです。

 

少年事件と成人事件の違い 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部

2.具体的な手続きにおける説明

① 逮捕~検察官送致

警察官に逮捕されると、身柄を拘束され取調べなどを受けます。

そして、警察官は留置の必要があると思料するときは、被疑者が身体拘束されたときから48時間以内に、書類および証拠物とともに被疑者を検察官に送致する手続きをしなければなりません。

一方、送致がなされると検察官より24時間以内に長期の身体拘束を請求し、裁判官がこれを許可すると、さらに10日間(最長20日間)身体拘束が続くこととなります。

すなわち、逮捕による身柄拘束は、最長72時間になります。

もっとも、この間に被疑者の疑いが晴れる、あるいはこれ以上被疑者の身柄を拘束し続ける必要がないなどと判断された場合、容疑者は身柄拘束から解放されます。これを釈放といいます。

なお、逮捕から勾留までは国から弁護士をつけてもらうことができる国選弁護人を選任することができないうえ、ご家族と面会することも認められないことがほとんどです。

しかし、逮捕直後の段階で私選弁護人をつけることができれば、以下のような充実した弁護活動を行います。

【弁護活動の内容】

  • 必要な事項を聴取の上、黙秘権等の権利・取調べに対する対応などを助言
  • 調書作成までに間に合えば、接見で調書作成のアドバイス
  • 勾留請求までに間に合えば、検察官に対して、勾留請求をしないでほしい旨の働きかけ
  • 勾留が避けられない場合、「勾留に代わる観護措置(※)」をとるように働きかける

(※)「勾留に代わる観護措置」とは・・・
検察官は、勾留請求に代えて観護措置を請求することができ、この請求に基づく観護措置を「勾留に代わる観護措置」とよんでいます。

これが行われると、少年の身体拘束場所が留置所ではなく少年鑑別所で行われることとなります。
少年鑑別所は、罪を犯した少年がどのような理由から犯罪行為に至ったのかを医学や心理学、教育学といった視点から解明することを主と行う場所であり、留置所に比べ少年への配慮が施される施設です。
そこで、どうしても身体拘束を免れない場合は、検察官や裁判官に対して勾留に代わる観護措置をするよう働きかけを行います。

【「勾留」と「勾留にかわる観護措置」の比較】

  勾留 勾留にかわる観護措置
①勾留延長の可否 不可
②勾留場所 留置施設になることがある 鑑別所のみ
③接見禁止 可能  不可

 

②勾留・勾留延長

検察官は、少年の身体拘束を継続する必要があると判断した場合、裁判官に勾留の請求をします。

裁判官は、身体拘束を継続する理由があると判断すると、勾留の決定をします。勾留が決定されると、最大で10日間は身体拘束が継続されます。

また、検察官は、勾留期間の満期が近づき、さらに少年の身体拘束を継続する必要があると判断すると、裁判官に勾留延長の請求をします。

裁判官は、身体拘束を継続する理由があると判断すると、勾留延長の決定をします。

勾留延長が決定されると、最大でさらに10日間は身体拘束が継続されます。

かかる段階においては、以下のような充実した弁護活動を行います。

【弁護活動の内容】

  • 勾留請求(又は勾留延長請求)がなされた場合、裁判官に対し、勾留(又は勾留延長)しないように要請
  • 検察官に対して、勾留延長請求しないように働きかける
  • 勾留(又は勾留延長)決定が出た場合、この決定に対して不服を申立てる(準抗告)
  • その他、勾留をやめてもらうための活動(勾留の取消請求、執行停止の申立て等)を行う
  • 留置施設又は少年鑑別所での接見

 

③家庭裁判所送致

少年を身体拘束している間、検察官が事件の捜査を進めます。

そして、検察官は事件の記録を家庭裁判所に送ります。

成人の刑事事件においては、検察官の裁量で不起訴処分(事件を裁判所に送ることなく終結される処分)をとることもありますが、少年事件では検察官の裁量が認められておらず、犯罪の嫌疑がある限り、すべての少年事件を家庭裁判所に送ることになっています(「全件送致主義」といいます)。

かかる段階においては、以下のような付添い(弁護)活動を行います。

【弁護活動の内容】

  • 退学・解雇の危険を除去すべく、観護措置決定(※)がとられないように活動します。
    具体的には、検察庁に家庭裁判所送致日を確認し、意見書を提出したうえで、裁判官に面会します。
  • 環境調整活動の着手(又は続行)
    具体的には、少年の保護者(家庭)、学校、職場等の関係者への働き替え、少年自身の内省への働きかけ及び少年自身の内省を踏まえた被害弁償(示談)、不良仲間との絶縁など交遊関係の改善、親子関係の修復等に向けた活動などが挙げられます。

(※)「観護措置」とは、実務上、少年鑑別所に送致する措置をいいます。この観護措置のとられた事件を「身柄事件」、その他の事件を「在宅事件」と呼んでいます。

少年鑑別所は、非行少年の科学的な調査と診断を行うことを目的とした施設です。

少年院とは異なり、あくまで審判のために、少年の資質や生活について鑑別が行われます(心身鑑別)。

具体的には、知能検査や、心理テスト、日頃の行動観察などを行います。

これらの鑑別の結果は、「鑑別結果通知書」として家庭裁判所に送られ、裁判官が少年の処遇を決定する際の重要な判断材料の1つになります。

 

④観護措置決定

観護措置がなされると少年鑑別所に収容されます(原則4週間)。この場合、学校や職場を欠席せざるをえなくなり退学・解雇のおそれが生じます。

かかる段階においては、以下のような付添い(弁護)活動を行います。

【弁護活動の内容】

  • 事件について詳細に把握するため、弁護士が事件記録を謄写・閲覧し審判へ向けて準備
  • 少年鑑別所にて少年と面会し、今後のことや法的な観点からアドバイス
  • 状況をみて不服申立て活動を行う(異議申立て・観護措置取消しの申立て)
  • 環境調整活動の続行
    具体的には、少年の保護者(家庭)、学校、職場等の関係者への働き替え、少年自身の内省への働きかけ及び少年自身の内省を踏まえた被害弁償(示談)、不良仲間との絶縁など交遊関係の改善、親子関係の修復等に向けた活動などが挙げられます。
  • 家庭裁判所調査官(※)との面談
    (※)家庭裁判所調査官は,事件送致された少年及びその保護者を調査し,紛争の原因や少年が非行に至った動機、生育歴、生活環境等を調査する仕事です。
    裁判所は、家庭裁判所調査官の意見を重視するため、この意見は今後の少年の処分に多大な影響を及ぼします。
    弁護士が調査官と面談をして少年について有利な情報や、調査官が見落としている点をできるだけ伝えて有利な処分を導くように配慮致します。
  • 裁判官に対して少年の今後の処分について有利な結果となるよう意見書を提出します。
  • 成人の場合と同じく、被害者がいる事件では示談交渉など被害者対応を行います。

 

⑤少年審判

少年審判は、少年に非行事実の有無及び要保護性(※)があったかどうかを判断し、少年の抱えている問題点に応じた処分を選択するための手続きです。

少年審判では、裁判官が、法的調査と社会調査の結果を踏まえ、少年の最終的な処遇を決定します。

少年審判は、原則として非公開で行われます。

成人の刑事事件では、公開が原則ですが、少年審判では、成長発達途中にある少年を保護し、社会復帰を円滑に進める必要がある点と、審理内容が少年やその家族のプライバシーに深くかかわる点で原則非公開とされています。

(※)要保護性とは・・・
諸説ありますが、一般的には

  1. 再非行の可能性(犯罪的危険性)
  2. 保護処分選択相当性(保護処分による保護が当該少年に対して最も有効適切な処遇であること)
  3. 矯正可能性(保護処分による矯正教育を施すことによってその犯罪的危険性を除去できる見込みないし可能性)

をいいます。

かかる段階においては、以下のような付添い(弁護)活動を行います。

【具体的な弁護活動】

  • 少しでも軽い処分(例えば「不処分決定」「保護観察」等)になるように活動します。
  • 重い処分が見込まれる場合にも試験観察(※)の途を提案し、最終的に軽い処分となるよう活動します。

(※)試験観察
試験観察とは、審判に付された少年の終局処分を決定する以前に、少年を相当期間、家庭裁判所の調査官に観察させるという中間処分のことです。審判の対象となった少年の保護処分を決定する際に、当初の審判時点までに処分の判断が困難であり、引続き少年を観察した上で処分を決定する必要がある場合に、試験観察に付されます。

 

3 少年審判の処分

少年審判で家庭裁判所が行う判断には、大きく、(1)不処分、(2)保護処分(保護観察、児童自立支援施設送致、少年院送致)、(3)検察官送致(逆送)、の3つの判断があります。

 

(1)不処分決定

家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければなりません。

これを「不処分決定」といいます。

平成26年の司法統計年報によれば、終局決定総数110,430件のうち不処分は18,988件であり、全体の約17.2%を占めます。

不処分決定がなされた場合、事件の手続きはすべて終了となります。

審判開始された場合には、この不処分を目指し積極的に活動致します。

少年事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士にご相談ください。

 

(2)保護処分

保護処分には、ⅰ保護観察、ⅱ児童自立支援施設または児童養護施設送致、ⅲ少年院送致、があります。

ⅰ保護観察
保護観察とは、少年を家庭や職場等の環境に置いたまま、保護観察所の行う社会内処遇により、少年の改善更生を図ろうとする保護処分です。

ⅱ児童自立支援施設または児童養護施設送致
児童自立支援施設または児童養護施設送致は、児童福祉法上の支援を行うことを目的として、これらの施設に収容する保護処分です。
これらの施設は、少年院と異なり解放された施設ですので、解放された環境の中で訓練や指導を受けることとなります。

ⅲ少年院送致
少年院は、少年に矯正教育を授ける施設です。
少年院は、児童自立支援施設または児童養護施設と異なり、少年の非行防止のため、基本的に外出が許されない非開放的な施設です。
少年法上の保護処分として最も強力な処分といえます。

 

(3)検察官送致(逆送)

調査の結果、本人が20歳以上であることが判明したときや、死刑、懲役、禁錮に当たる罪の事件について、その罪質・情状に照らし刑事処分相当と認めるときは、検察官送致(逆送)されます。

なお、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すときに16歳以上の少年に係るものについては、原則逆送決定がなされます。

検察官送致(逆送)された場合、成人の刑事事件と同様の手続きの流れにのります。

 

少年事件の弁護活動のポイント

少年事件は、成人の刑事事件と比べ、少年の保護・改善のため特別な制度となっている部分も多くあります。

少年事件でお悩みの場合には、すぐに弁護士へ相談し、少年のいる環境の改善など適切な措置を講ずることが重要となっていきます。

弁護士は、家庭裁判所へ送致された後も、付添人として、少年に最適な処遇がされるよう活動を行います。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、少年事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています

少年事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士にご相談ください。

 

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